72 クマと料理屋開店
よーし、ついにわたしのお店が開店だ。
時間かかったなぁ。でも、やっと待望のお店を持つことができて大感激だよ。
まさか、はじまりの村のメインストリートにお店出せるなんて思いもしなかったよ。
だって、ここって大人気だったもんね。
ゲーム開始後半年たってのアップデートで個人店が解放されたときに、オークションでありえないくらいの高値で落札されたからね、ここの権利証。
はじまりの村はもちろんのこと、どんな過疎地のエリアもあっという間に高値で落札されていって、わたしみたいな初心者が個人店開くなんて夢のまた夢って感じだったもん。
辺鄙な街だけどギルドで共同でお店出して、わたしも料理の一部を担当させてもらえたときはとっても嬉しかった。張り切って赤字同然の値段でいろいろ売ってたんだけど、ほんの少ししか売れなかったんだよね。
でも、少しずつ馴染みのお客さんが増えてきて、あまり儲からなかったけど、わたしの作った料理を楽しみにしてくれるお客さんがいるっていうだけで、続けられていたよ。楽しかったな、あの頃は。
でも、1年目のアップデートあたりからいろいろおかしくなってきたんだよね。
ガチャでありえないくらいの高性能のアイテムが出るようになって、それが超低確率。なんか、それを持ってるかどうかでPvPでの性能がありえないくらい違うようになって。
そこからはなんか札束で相手を引っ叩くような課金ゲーがエスカレーションしてきて……
微課金してた人たちは次々に引退して行っちゃった。そして廃課金者とガチャでラッキーにもハイレアを入手できた人たち、そしてわたしたち無課金なエンジョイ勢の一部が生き残っただけだった。
ギルドの皆も次々に引退していって共同で出していたお店もオーナーしてたメンバが消えてから、家賃滞納で閉鎖になっちゃった。家賃くらいはわたしでも払えたんだけど、オーナーからじゃないと払えないシステムだったからね。
それからどんどんゲームも過疎化していっちゃった。
他の多くのお店もギルドショップと同様の運命を辿っていった。
そんな中、偶然見つけたんだ。はじまりの村のメインストリートにあったお店の権利証が出品されてたことに。
初期値からしてずいぶんえげつない価格だったけど、この価格ならなんとかなる程度にはわたしもゴールド貯めてたからね。
そしてこのゲームのシステムが味方しました。ゲーム内の個人店や住居はアカウントごとに1つしか所有できないってこと。
もうアクティブなほとんどのユーザーは自分のお店や家、廃な人とかはお城だったりするけど、そういうのを持っていたからね。
ってことで、なんと初期価格で、はじまりの村のメインストリートにあるお店を所有できたんだ。超ラッキー!
「くまこー、開店おめでとう」
「くまこじゃなくて、ミュウです」
いつもの会話で数少なくなったギルドの仲間や、その後に知り合いになった数少ないフレンドたちがお祝いに集まってくれた。
「皆、ありがとー。今日だけは無料よ。
料理たくさん用意したから食べていってね。
あ、一見さんも気にせずに食べてね。別に紹介のいるようなかたくるしいお店じゃないから。
もちろん、無料よ。今日だけは」
お店を開けるとあらかじめSNSなどで宣伝しておいたおかげか、たくさんのお客さんが押し寄せてきた。過疎化したっていっても、まだまだこんなに人がいるんだね。
うわ、用意しておいた料理足りるかな?
ささっと、追加で料理してこよう。
もう料理スキルはさすがにカンストしてるし、敏捷や技量も多めにスキル振ってあるから、料理の追加も手慣れたものです。
品質も安定してB以上、高確率で品質Aも作れるようになりました。
さぁ、忙しくなってきたよ。
わたしの冒険はまだこれからだからね!
長らく放置して申し訳ありませんでした。
リアル面でいろいろありまして2年間の長期放置になってしましました。
大好きな作品でしたし、未完のままずっと放置しておくのはとても心苦しかったんですが、どうにも続きを書く気持ちになれませんでした。
ということで、ずっと先に書くつもりでいた最終話をここに書き上げてこの物語の完結とさせていただくことにしました。中途半端な形で申し訳ありません。
このお話はこれまでですが、のんびりとしたペースで作品発表は続けていこうと思ってます。今も「競走馬転生~ハーレム種牡馬の余生のために最強馬を目指す」という話を連載中ですので、覗いてみてもらえると幸いです。




