66 クマと妹
夕飯を終えてから、しばらくは家族団らんの時間。
妹が席を外したのに便乗して、わたしも自室へ戻ることにする。
さーて、いよいよDWOログインの時間ですよ。
VR用ヘッドセットを装着し、いざログインってタイミングで、
「お姉ちゃん、ちょっといいかな」
そう言っていきなりドアを開ける妹の由宇。
VR用ヘッドセットを装着したままのわたしとバッチリ目があってしまった……
同性の姉妹ってことで、ノックするとかいう習慣がないのよねー。
「お姉ちゃん、それってVR用ヘッドセットじゃない!
どんなVRゲームしてるの?」
見つかってしまったからにはしかたがないね。
ここは正直に言うことにしましょう。
「んとね、ドリームワールドオンライン、通称DWOってやつ」
「それ確か、まだ始まったばかりのMMOだよね。
どう? 面白い?」
「んー、わたしは面白いと思うんだけど」
「そっか、VRMMOはやったことがないなぁ。
今やってるゲームも飽きてきたし、わたしもやってみようかな」
由宇は昔からのゲーマー。
VRゲームはわたしの記憶の限りではしてなかったとは思うけど、シューティング系のゲームが好きだったはず。
「由宇もVRゲームするようになったの?」
「うん、春にVR用ヘッドセット買って、ずっとVRのサバゲーやってきたんだ」
「サバゲーって、銃持って撃ち合うようなやつ?」
「うん、そっちはそっちで続けるけど、あれは一日中してるとさすがに疲れるからねぇ。
別の軽い感じのやつもやってみようかなって」
そうか、由宇にはちょっとDWOは合わないかもって思ったけど、サバゲーの息抜きにならいいかもしれないね。
「DWOは結構マッタリ系だけどいいのかな?」
「基本無料だよね。
ちょっと覗くだけならいいかなって」
「そうね。面白く感じなかったらやめちゃえばいいんだし」
「よし、思い立ったが吉日。
さくっとダウンロードしてキャラメイクしちゃうから、あとでゲーム内で会いましょう。
どこかわかりやすい場所ある?」
「そうね、最初にログインする街の広場に噴水があるから、そこはわかりやすいと思う」
「わかった。
お姉ちゃん、ゲームでの名前は?」
「ミュウよ」
「そのままじゃん」
「わかりやすくていいでしょ」
「そりゃそうだけど……
じゃ、わたしもユウとかそれっぽい名前にするから。
1時間後に噴水で会いましょう」
そう言ってバタバタと由宇は自分の部屋へ戻っていっちゃいました。
ひょんなことから、妹にバレちゃったけど、まぁそれはそれでいいか。