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58 クマとエルフの兵士

 夕食後、再度ログインすると、NPCの人……なんだっけ……そうそう、ジャックはまだそこにいてくれた。

 どうやら、シナリオモードの時はオフラインのゲームみたいに、NPCの人たちの行動は停止しちゃってるようですね。

 そうじゃないと、長時間かかるシナリオとか進行できないもんね。


 でも、そうするとマルチプレイヤー参加型のシナリオとかはできないのかな?

 そういうのは、そういうので別のシステムがあるんでしょうか?

 そのうち、そういうようなイベント的なシナリオが公開されると面白そうだよね。


 さーて、何してたんだっけ?

 エルフの村に行く途中で、オオカミに襲われて逃げ出したら迷子になったんだよね。

 そのままNPCのジャックと2人で森をさまよってるというわけでした。


 なんて説明的な回想なんでしょう。

 別に、あなたに説明してるわけじゃないんだからね!


 そのまま、ジャックと2人で森を当てもなく進んでいくと、突然、まわりに複数の人影が!


「侵入者め!

 平和なエルフの聖なる森を侵すものに災いあれ」


 いつのまにか、わたしたちはエルフの兵士に囲まれてました。

 兵士たちは皆、男性で革鎧を身に着け、短剣を手にしています。

 そんなエルフの兵士たちが6人。


 こちらは、戦力にならななさそうなジャックと、もっと戦力的には低そうなわたしの2人。

 当然、かなうはずもありません。


 まぁ、これでなんとかシナリオも進展したみたいだから、よかったね。

 そんなふうに気軽に考えてるわたしがいたりします。


「わたしたちは侵入者ではありません。エルフの村を尋ねて行く途中で……」

 ジャックが必死に弁解しています。


「黙れ、嘘を言うんじゃない。

 ここはエルフの村のはるかに奥地だ。

 普通に進んでいけば、エルフの村を通り過ぎて、この森に入るはずがない」

 エルフの兵士の隊長風の男がそう言います。

 隊長風って思ったのは、他の兵士より少しだけ革鎧が立派だったからなんだけど。


 そうだったのか。

 確かに普通に進んでこなかったからねぇ。


「途中でオオカミに襲われて逃げる途中で迷子になってしまって……」

 ジャックはそれでも弁解を続けています。


「黙れ!

 そのような猛獣を連れて、エルフの聖なる森に侵入するとはなにか企みがあるに違いない。

 連行して取り調べを行うから、おとなしくしろ」


 猛獣ってどこどこ?

 え、もしかして、わたしのこと?

 猛獣じゃないよ、おとなしいクマだよ。


 と、言おうと思いましたけど、興奮してる人にそう話しかけるのもはばかられます。

 っていうか、わたし、それほど饒舌な方じゃないですし……


「ねぇねぇ、ジャックさん。

 ここはおとなしく連行されましょう」

 しばらくいっしょにいたので、エルフの兵士よりは話しかけやすいジャックの方にそう話しかけることに。


「わかった。

 ミュウがそういうのなら、そうしよう」


 こうして、わたしたち2人はエルフの兵士に連行されて、エルフの村に入ることになりました。


 でもさ、あのまま迷子のまま、森をさまよってるより、こうして連行された方が確実にエルフの村にたどり着けるんだから、結果としてこれでよかったんじゃないかな?

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