13 クマとモフモフ
『21:00~21:30の予定で緊急メンテナンスを実施します。
メンテナンス時間までに安全なところでログアウトするようにお願い致します』
おや、メンテがあるみたいだ。
何か致命的な問題が出てきたのかな?
まだ、メンテまで30分あるけど、どうしようかなぁ。
はじまりの村の最初の広場まで戻ってきて、ぼーっとしてる。
狩りに出ていた人たちもどんどん引き返してきてるみたい。
昼間より人が増えたなぁ。
そうか今日は金曜日だっけ。
お仕事してる人たちは、ログインしたばかりで急にメンテなのかもしれないなぁ。
うちはもうたっぷり遊んだけど。
「あのー、クマさん」
キョロキョロ、クマってうちのことだよね。
まわりに他にクマっぽい人いないし。
あれ?どこから声がしたんだろう。
まわりを見回していたところ、
「ここです。
あのー、お願いが」
左の足元にリスの人がいた。
うわ、ちっちゃいな。
これ多分カスタマイズで小さいサイズ選んでるんでしょうねぇ。
最小のリスと最大のクマでは2倍以上の大きさの違いになってるみたい。
「あ、はい、なんでしょうか」
「モフモフしてもいいですか?」
リスの人は恥ずかしそうに聞いてきた。
「え……」
モフモフ……このリスさんをモフモフしていいの?
なんか、それ犯罪じゃないかって思える光景になりそうな気が。
クマがリスを襲ってるようにしか見えなくない?
「ダメですか……」
「……いえ、ぜひお願いします」
「ぅわーい。いきますよ」
リスの人がうちのおなかに抱きついてきた。
おなかに顔をうずめて、モゾモゾしてる。
くすぐったい!
『プレイヤーからハラスメント規定に該当する行為を受けました。
ハラスメント報告をいたしますか?』
YES
NO
「ハラスメント報告しますかって出たんだけど……」
「きゃー、報告しないでくださーい」
「うん、しない」
NOをポチリと。
「うちからもモフモフしますね。
ハラスメント報告しないでくださいね」
「はーい、きてきて」
リスの人をむぎゅっと抱きしめる。
何これ、ぬいぐるみ抱きしめてるのとは全然違う。
あったかいし、動くし、モフモフだし、なんかいい匂いまでするし……天国か、これは。
「すみません、私も混ぜてもらっていいですか?」
今度はウサギの人から声がかかった。
うちもだいぶ高揚してきてる。
「「どうぞどうぞ」」
大きさの都合もあって、ウサギの人もリスの人に並んでうちに抱きつく感じに。
うちは右腕でリスの人、左腕でウサギの人を抱きしめる。
ハーレムだよ。
この光景は目立つらしく、周りには人々が遠巻きに取り囲んでいる。
うー、恥ずかしい。
でも、この天国から逃げ出すなんてとんでもない。
そんな群衆の中から獣人たちが1人また1人とモフモフに加わってきた。
後ろからイヌの2人連れがうちに抱きついてきたかと思ったら、ネコの人がウサギの人とリスの人の間に割り込んできた。
それをきっかけにした感じでどんどん獣人が集まって、おしくらまんじゅう状態に。
もうハラスメント確認のウィンドウが出まくってるんですが。
かたっぱしからNOを押してるけど、間違ってYES押しちゃったらゴメンよー。
「「「「「「「「「「「「「「「「モフモフしあわせー」」」」」」」」」」」」」」」」
メンテの時間までモフモフの幸せを味わっていた。
☆☆☆
職業 釣り師
スキル
【ステータス系】
生命 1.1 精神 1.2 筋力 2.8 頑強 0.8 敏捷 0.7 技量 1.4 知力 0.5
【戦闘系】
魔法 3.4 格闘 3.4 防御 2.6 回避 2.1
【生産系】
料理 4.1 釣り 7.1 採集 1.0
【その他】
水泳 2.0 疾走 2.1




