第1話 とりあえず、ここどこ?
朝、目が覚めたら異世界にいました、か。……あまりにも典型的過ぎないか、これ?
目を開けるといつもの部屋はそこになくて、あたり一面砂漠だった。
……うん、なんというか、五感から察するにここは異世界であって夢ではないと分かったところで早速、異世界での第一声を高らかに叫びたいと思う。
「つか、俺を日干しにする気かこんちくしょーっ!」
現時点で俺が持つ不満を絶叫してみた。勿論返事など返ってくるはずがない。
でもまぁ、某ラノベの主人公のようにいきなり迫害されなくて良かったと思うよ、マジで。いや、野垂れ死によりも迫害の方が幾分かマシなのか?
ともかく人を探さなくては。原住民に会わないことには何も始まらないのだから。
……で、とりあえず、村どこだ?
って、あたり一面砂漠なのに村なんて見つかるわけないだろ、俺!
一人でボケツッコミをしながらじっとしていても暑いだけなので、思うがままに歩いてみることにした。
1時間後――飽きて砂漠で寝っ転がっている俺がいた。
「つか、つまらねぇよ」
独り言をぼやく。
歩いても歩いても同じ風景。暇だ。それに眠い。
今の若者は飽きやすいのだからここで寝ても仕方がないよな、と俺は自分に言い訳をして静かに目を閉じた。
意識が遠ざかる一瞬、暗闇の向こう側に誰かの気配を感じたが、すでにその時俺の思考は停止していた――。