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ここにあるもの

私が書いた野いちごの短編集の中で一番個人的に気に入ってる物です。

毎日、毎日、つまんないことばっか繰り返すなよな。


秋乃は可愛らしい人だった。


付き合って、と言われて断る理由が出てこないくらい。


好き、嫌い、嫌い、好き。


大嫌い、


大好き。


あーあ、ばかみてえだなーあ。


どうして俺、こいつと付き合ってるん。


俺のこと好きなんやったら、もっと可愛いやつでいろや。


性格的に。


めんどいねん!


「疲れてんなぁ、雅」


「秋乃なんか、相手してみぃや。疲れるやろ」


「気持ちはわかるで。こうやってうちと会ってることさえ秋乃ちゃんに怒られんのやろぉ?」


「あたりまえや」


女友達の咲。こっちと付き合った方がどんなに楽か。

考えたら、きりないけど。


「でも秋乃ちゃんの気持ちもわかるで」

「何言うてん」

「あの子雅のこと本気で好きなんやろな。不安でしゃーないんやろ」

「好きやったら、大切にしてくれへんの、普通?」

「してくれてるやん、疲れてまうほど」


「……そういうもんなんやろか」

「そこが女心だっちゅうねん」


わかれや、アホウ。

にやり、咲が笑った。


「もうっ、雅くん。ずーっと呼んでたのにぃ」


甘ったるいしゃべり方はこの際目をつむる。


「わるい」


「また、咲さんでしょ! 秋乃より、好きなんでしょ。ねぇ」


「そんな証拠、どこにあるん」

「だ、だって雅くん……秋乃のこと大切にしてくれないし」


「俺は不器用なんだよ」


秋乃を俺の腕に閉じ込めた。



やわらかい。


「俺、ちゃんと秋乃のこと好きだよ。だから友達と会うくらい、許してくれへん?」

「へ……」

「嫌なことあったら話し合お。俺女心とかわかれへんねん。咲に言われて気づいたん」


「いいよ、ありがとう」


ほわっと秋乃は笑って、きゅっと俺を抱き締めた。


ーfinー

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