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束縛の言葉

作者: かずさ

 初めて彼女に出逢ったとき、まるで祈りを捧げているようだとクラウスは思った。


 白い法衣を身に纏ったそのひとは、そっと目を伏せ、静かに窓辺に佇んでいた。

 次第に闇へ飲み込まれようとする残照は、いっそうその姿を幻想的に浮かび上がらせる。その姿は、決して手を伸ばしても届かぬ天のように、おかしがたい荘厳さにみちていた。


 ごく自然に、クラウスはその場に跪いた。

「聖女様、お初にお目にかかります。クラウスと申します」

「顔を上げてください」

 言葉に従うと、彼女は柔らかく微笑み、あろうことが、そのままクラウスに歩み寄り、躊躇わずに片膝をついた。

 クラウスは思わず目を見開いた。


「護衛をして頂けるのでしょう? 頭を下げなくてはならないのはわたしの方です」

 その瞳の静謐さから逃れようとして視線を逸らすと、神の印が額に刻まれているのに気づいた。

 遠目ではわからなかったそれは、彼女の髪と同じくうっすらと白銀に輝いて見えた。それこそが神の声を聴く者の証で、彼女がこの城に召された理由。そして、クラウスが彼女を守るべき唯一の理由。


「名を、教えていただけませんか」

 ふと我に返り、己の不躾な態度を誤魔化すように問うた。

 すると彼女は一瞬目を丸くして、花が綻ぶように笑う。

「リタル」

「リタル、様」

 確かめるように舌の上で転がすと、リタルは一層その笑みを深めた。

「もう呼ばれないと思っていたから、嬉しいわ。ありがとう、クラウス」


 名とはかくも大切なものだっただろうか。クラウスはぼうっとリタルを見返した。

 そして、気づいた。それは覚悟だ。『リタル』としてではなく『聖女』として生きるための。だから、名を呼ばれることを諦めている。

 クラウスは軽く戦慄を覚えた。なぜかそれがひどくゆるしがたくて、ほとんど無意識のうちに言葉を紡ぐ。

「聖女様、いえ、あえてリタル様と呼ばせて頂きます。あなたはあなただ。恐れる必要はないと思う」


 それは単なる慰めの域を越え、あまりに真摯で他の思惑など差し挟まる余地はなかった。内容こそ違えども、まるで王に捧げた誓いの言葉そのもの。

 だから、自分で発した言葉なのに、彼は戸惑う。


 その戸惑いが移ったのだろうか。クラウスの言を一言も逃すまいと、まっすぐに向けられていた瞳が、不意に迷い子のように揺らいだ。

「そう、ね。……ごめんなさい。心配をかけてしまったわ」


 そして、憂いをどこかに置き忘れてしまったように、彼女はもう一度微笑んだ。

「クラウス。今日から、よろしくお願いします」

 リタルはその場で優雅に一礼をした。ひどく儀式めいた光景だった。


 けれど、互いに忘れてはいなかった。聖女を召したこと、騎士を与えたこと。すべては王の思惑の中にあり、彼らの存在理由もまた、王のために在るのだと。

 故に、この誓いは欺瞞だ。

 けれど、欺瞞と呼ぶにはあまりにも痛切すぎた。その証は、騎士が聖女の名を呼ぶようになったこと。たったそれだけのことが、この誓いを真実にしてしまった。蓋をしたはずの想いを、揺り起こしてしまった。


 *


 窓から見える風景は、未だ日中だというのに、ふだんと違ってずいぶんと暗かった。無言の空間。けれど無音ではない。

 ひとり椅子に腰掛け、本を読んでいたリタルは、ふとページを捲る手を止める。先ほどから全く内容が頭に入ってこなかった。在るはずの存在がないせいで、どうにも落ち着かない。

 じんとしたさみしさを自覚する前に、瞼を閉じた。

 まるで寄り添うように、雨音が耳のすぐ傍で響く。神の声によく似た音色にいくらか慰められたけれど、心は晴れない。

 思わずこの感情の名を自問しかけ、止めた。これではいけない、と何かが警鐘を鳴らしたのだ。このままでは気付いてはいけないことに気付いてしまう。


 そっと息を吐くと、立ち上がり、扉の傍へと向かった。折よくというべきか、雨音に混じって聞こえてくる音があったのだ。


 リタルが扉を開くと、クラウスは一瞬虚を突かれたような表情をして、顔を強張らせた。

「何故、俺がここにいると……」


「いけなかったでしょうか?」

 問いに直接は答えず、躊躇いがちにクラウスを見上げた。黒い騎士服のところどころに、微妙に違った色味がのぞいている。血の跡だった。傷ついた表情をしてはいけないと思ったけれど、手のひらは無意識に自身の白い長衣を握りしめていた。

 それを見咎めて、クラウスはその場で片膝をつき、視線を落とした。姿を見せるつもりはなかったとはいえ、なぜひとを斬ったその姿のままここへ来てしまったのだろうか。少し考えれば、こうなることはわかったというのに。


「お怪我は」

「大丈夫です。俺の血ではありませんから」

「なら、どうして」

 微かな声が空気を震わせたかと思うと、彼女の気配が動くのを感じた。

 法衣の裾がはらりと地面へ零れおちたのを視界の端で捉え、弾かれたように顔を上げると、華奢な手が触れるか触れないかという位置で躊躇うように止まっていた。

 血で穢れた身に触れることは叶わないのに、手を伸べようとしてくれた。それだけで十分だと、クラウスはどこか悲しく笑った。


「聴こえてしまったのですね」

 どこか自嘲めいた口調で、今更のように先ほどの己の問いの答えを彼女に代わって呟いた。

 気配も足音も完璧に殺していた。なのに、来訪を知られたのは、きっと文字通り『聴こえた』からだ。心の奥底に仕舞い込んだ叫びを。神の声が聴こえるならば、ひとの声が聴こえないはずはない。けれど、不思議と心の底を知られても不快ではなかった。


 跪き、真っすぐに双眸をこちらに向けている聖女の姿は、いつかと同じ。違うのは、その色彩が今はうっすらと滲んでいるということだけ。

「泣かないでください」

 苦笑しながら言うと、彼女は初めて自分が泣いていることに気づいたようだった。

 何かを言おうと口を開きかけ、けれどすぐに手でそれを覆ってしまう。嗚咽を漏らさないようにと必死で、はらはらと落ちる涙はなすがままだ。


「どうか泣きやんで頂けませんか。俺はあなたの涙を拭う術を持ってはいないのです」

 心底戸惑ったようなクラウスの声に、リタルは胸が締め付けられるような心地がした。見上げる瞳の真摯さに耐えきれず俯くと、その拍子にまた涙が零れた。


「ごめん、なさい」

「リタル様。出すぎたことを申し上げるようですが、少々お休みになられてはいかがでしょうか?」

「そう、ね。そうするわ。ありがとう、クラウス」

「いえ。礼拝の時間に、またお迎えに上がります」

 リタルはクラウスの言葉に微笑み、もう一度礼を言った。どこか無理のある笑顔は、雨露に濡れた花のように凛と匂い立つ。それこそが彼女のちからそのものよりも、神に愛された証であるように思えて、クラウスは背けるように頭を垂れた。


 衣擦れの音が遠のいた後も、クラウスはしばらくその場を動けなかった。

 綺麗な涙だった。一瞬、自分のために泣いてくれたのではないかと思ってしまうほどの。

 だから、かなしい。穢れに触れた身と、神の愛し子の違いを突き付けられたようで。


 同時に、ほの暗い感情が呻く。何が聖女だ。彼女のどこが己と違うというのだ、と。

 ――なら、どうして、泣いているのですか。


 言葉が耳を震わせることはなかったけれど、確かに、彼女が呑み込んだ叫びはこの耳に『聴こえた』のに。

 クラウスは己の手を見つめ、溜息をついてようやく立ち上がる。礼拝の時間までに禊を済ませなければ、傍にいることも、ましてや守ることも叶わないから。


 *


 再びクラウスが室を訪ねたとき、もうリタルの目から腫れはすっかりひいていて、彼は密かに安堵した。

「行きましょう。猊下をお待たせしては申し訳ないわ」

 柔らかな、けれど凛とした声。それに応えて、クラウスは拝礼をとった。

「仰せのままに」


 その後は、双方無言のまま回廊を進んだ。クラウスが足音を殺すのは常のことだが、リタルのそれも雨音に紛れるほどにしか響かない。裾の絡げそうなほど長い衣を纏っているため、自然と足運びに気を配らなければならないのだろう。


 城中とはいえ、ここは聖堂に程近く、もとより行き交う人影もない。リタルが室に居たときもそうだったが、無音ではない静寂が、今日に限っては奇妙なほど重く感じられた。

 聖堂まであとわずかというところで、不意にリタルは足を止めた。怪訝に思いながらも、隣に従っていたクラウスはそれに倣う。


「クラウス」

 名を呼んで、躊躇うように一拍、間を置いてから、ゆっくりとリタルは彼に向きなおる。

 そちらに目を向けてはいなかったものの、気配だけでそれを感じ、クラウスもまた伏せていた視線を上げた。

「どうかなさいましたか?」

「あなたは強いのね」


 驚愕に目を見開き、数度瞬いた。けれど、彼女が浮かべる表情はそれを偽りだと告げてはくれなかった。

 どこかむず痒いような、いたたまれないような気持ちで視線を彷徨わせた。まるで褒められることに慣れていないこどものように。

「……ありがとうございます。修練を積んでおりますから」

 やっとのことでそう答えると、リタルはどこか悲しげに、緩く首を振った。

「もちろん武術もそうなのだけれど、少し違うの」

「では、なぜ?」

「だって、あなたは泣かなかったでしょう? 強くなければ、できないことだと思うわ」


 先ほどまでの困惑をすべて打ち払うかのような、清く潔いちからに満ちた声だった。それは紛れもなく聖女としての言葉。救いを感じたのは確かだ。けれど、クラウスは言葉を受け取ることを拒んだ。

「それは違います、リタル様。俺なんかより、あなたの方がずっと強い」

「そんなこと、ないわ。わたしはあなたに心配をかけることしか」

「いいえ」

 被せるようにして、言葉を遮った。かつて聞いたことのないような低い声に、リタルは驚きでその身を震わせる。

 クラウスがそれを見逃すことはない。その震えが、恐怖からでなければいいと、祈りにも似た願いを抱いた。


「それに、俺は泣かないんじゃない。泣くことができないだけの臆病者なんです」

 それは先ほどと打って変わって、悲しいほど優しく聴こえた。けれど、クラウスに促されるまで、リタルは俯いたまま、その場から動くことができなかった。ともすると、口にしてしまいそうだった。


 ――もしも、自分が聖女でなければ、言葉を受け取ってくれましたか、と。


 そして、クラウスは聖堂の外に、リタルは聖堂の奥深くへ。

 ふたりを隔てているのは、聖印をあしらった扉だけではない。

 それは最初からわかっていたこと。互いに相容れない世界にいきていた。

 けれど、王の采配の元、出逢ってしまった。それどころが、許されるはずのない想いに気付いてしまった。


 だから、王は騎士に告げた。こたえを出せ。そして覚悟を決めろ、と。


 *


 雨音が、ひたひたと重い空気が、室を満たす。

 開け放たれた窓の向こうを見やりながら、リタルはそこに佇んでいた。


 いつか見た景色がクラウスの頭によぎる。けれど今はかつての残照の影もなく、聖女は暗がりに沈みゆくように見えた。


 一歩、また一歩と距離を詰める。

 手を伸ばせば届く距離になって、ようやくリタルが半身をクラウスに向けた。目が、クラウスの表情と手の先とをなぞる。

 これから何が起こるのか知っているだろうに、彼女はみなまで確かめ、微笑んだ。いつかと同じ、どこか諦めたような、けれどそれでも幸せだと言わんばかりの、胸にじんと染み入るような笑顔だった。

 剣の柄に掛けられた手に力が籠る。けれど、クラウスはどうしてもその刀身を抜き去ることはできなかった。


「何故、笑っていられるのですか」

 リタルは困ったように首を傾げた。少しだけ苦い表情ではあったけれど、やはりその笑みは損なわれていない。

 何故、とクラウスはもう一度心の中で問う。彼女を傷つけようとしているのは、他でもない自分なのに、なぜ笑っていられるのか。

 本当の表情を見せない彼女に憎しみさえ感じた。何度でも思い知らされる。彼女が神に愛された少女なのだと。初めから手の届くはずのない存在なのだと。


「――違う。本当はそんなことが聞きたいわけではない」

 彼女が口を開く前に、クラウスは自分の問いを打ち消した。彼女には『聴こえて』いるはずだ。なぜなら、彼は今、あの雨の日と同じくらい混乱している。

 わかっていながら、何も言わずに微笑む彼女が、憎くてならない。


「どうか、言葉にして下さい。あなたの思いを。あなたの口から聴きたい」

 けれどリタルはそう言う。残酷だ、と彼はうっすらわらう。

 主従の立場など、とうに越えて、それでもあらがえない。いつしか絡めとられていた視線は、聖女らしい穏やかさや慈愛に満ちている。それを歪めたくて仕方なくて、昏い想いの欠片を吐き出す。


「なぜ、抵抗しないのですか」

 すきだから、とリタルはこどものように微笑む。それは聖女の清らかさとはかけ離れ、ひどく無邪気で残酷だ。まるで、神の眷属としてではなく、ただひとりのひととしての感情だと示すように。


「嘘だ」

「いいえ」

「なら、なぜ俺にあなたを傷つけさせようとする!」

 癇癪を起したようにクラウスが叫び、敵意さえうかがえるような激しいまなざしを投げる。

「あなたには聴こえるだろうに。俺が何より恐れていることを知っているだろうに」

「クラウス」

 リタルは思わず、クラウスの手を勢いよく握り、引っ張った。鍛えられているはずの身体が揺れ、その場でたたらを踏んだ。


 クラウスは夢から覚めたように、まなざしから怒りを消したあと、きつく繋がれた手を食い入るようにじっと見つめた。

「申し訳ございません。……どうかしていた」

 暴走する己の心を心底醜く感じた。これほどにまで醜いから、だから惹かれずにはいられなかったのだろうか。神の娘の名を冠す、彼女の存在に。


「何も醜くはありません。いえ、醜くてもいいのです。あなたがあなただから、わたしはあなたを想ったの」

 否定が入りこまぬ強さで、リタルは誓う。遠い昔、彼が自身に誓った言葉のように。

「けれど、俺は『聖女』を葬らなくてはならない。もう守れないのです。あの時の言葉も、あなたのことも」

 それが命令だから、と。呆然とうわごとのように呟いた言葉は、自分が一番嘘だと言いたかったこと。

 その先にあるのは絶望。そして、それを与えられるのはリタルだけ。それを命じた王ですら、為すことのできないこと。

 そして、クラウスはようやく悟った。己の問いに対する、彼女のこたえを。それを察して、優しく突き放すように、リタルがその手を離した。

 

 それは、彼女に与えられた特権。世界中どこを探しても、彼を絶望させることができるのは彼女だけ。

 だから躊躇わなかった。こうして相手を傷つけることを。愛おしさでいっぱいで、思いやる気持ちなんてない。その気持ちは、あらゆることをなぎ倒す傍若無人さを持っている。まるで諸刃の剣。


「あなたがその感情を醜いというならば、それを向けられて嬉しいと思う、わたしもまた醜いのでしょう」

 これは懺悔ではない。なぜなら、彼女はよろこびに顔を歪めていたから。

 クラウスは不意に泣きそうになった。同じなのか。自分もまた、彼女に何かを与える特権を有しているのか。けれど、それが絶望ではないのは確かだ。


 一瞬躊躇ったのち、強張った表情のまま、今度はクラウスがリタルの手をとった。恐る恐る、まるで確かめるように。リタルは先ほど彼がそうしたように、じっとそれを見つめていた。

「今だけでいい。傍に」

 誰かがいると泣けない。けれど、ひとりでいてもやっぱり泣けない。それを悟った彼が、今泣くのは、他の誰かではなく、リタルが、傍にいて欲しいひとがそこにいるからだ。


 リタルは黙って彼の涙の跡を指で辿る。涙を拭うことを忘れたような彼の代わりに。そして、ひどく満ち足りた微笑みを浮かべ、静かに告げた。

「約束します。叶う限りは傍にいることを。それがわたしの願いだから」

 この言葉もあの時の誓いと同じ。どれほど真実であろうと、仮初のもの。

 けれど、クラウスが縋ることのできるものは、もうそれしかなかった。だから、応えるように、心から愛おしさを込めて神の印を指で辿り、そっと口付けを贈った。


 ――そうして、聖女は騎士の手で、空へと還された。


 *


「また祈っていたのですか」

 窓辺にそっと佇む彼女の傍へと近づくと、彼女はゆっくりと振り返り、いとしいひとの姿を認めて、徐々にその表情を笑みへと変えた。

「クラウス」

 クラウスは、ごく自然にその隣に立ち、彼女の見ていた景色を前に、目を細めた。


 曇りのない空から、眩いほどの明かりが世界へと落ちてくる。それはまるで神の愛。自分にも、傍らに佇む彼女にも、みなに等しく降り注ぐ。

「祈っていたわけではないの。綺麗だと思ったから」

 穏やかに微笑む彼女は、総てを愛していた。額の聖印はとうに消えうせていたけれど、聖女に相応しい広やかな愛は、この世界の隅々まで行き届き、あらゆる生命を魅了するかのようで。

 だから彼は、自分が所詮その一人に過ぎないのだと時折思い知る。それなのに、何故彼女が彼の名を特別の響きを含ませて呼ぶのか、未だに理解できない。この幸福が空恐ろしい。


 クラウスはそっとリタルを抱き寄せた。不意のことに驚きながらも、リタルはそれに応え、背を彼に預ける。


「……クラウス?」

 何も言わない彼を不思議に思ってか、リタルは振り返り、彼の目を覗き込んだ。

 ほんの少しだけ不安そうな表情。それは今まで彼が見たことのないもので、だから彼は笑いそうになるのを耐えた。不安になる必要など、どこにもない。彼女は、こうして確かに手の届く存在なのだから。

 喉の奥で低く笑いながら、彼は囁く。聖女ではなく、ただひとりの彼の愛するひとの名を。そして、紡いだ。かのひとを己の腕の中に繋ぎとめるための、優しい愛の言葉を。


 神の愛に比べると、ひとの愛は小さくて、醜くて。けれど、痛みも哀しみも苦しみも、その気持ちが与えてくれるものならば、喜んで耐えよう。

 そして、それよりもっとたくさんの嬉しい気持ちを、共に分かち合おう。神に与えられた言葉という魔法で、互いに束縛の呪文をかけあおう。


 ――けれど、それはきっと、幸せな呪縛だ。

(初出:2008.08.03)

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