5話 お仕置きとアミダくじ
アリアンロッドは『こんなものっ』と引き千切ろうとしたがビクともしない。
いくら力を入れても無駄だった。
『無駄だよ、その鎖は神通力を封じる鎖なんだ。アリアンロッド』
と、上空からフェイトの声が聞こえた。
『えっ』
顔を上げるとネメシス、ルサリィ、マアト、フェイトの4人が空中からこちらを見ていた。
『その鎖はボクとマアトが全力で作った封神緊縛鎖だよ』
『いきなり何するのよ。私は浩介さんを守ってたのよっ』
アリアンロッドは怒りの声を上げるが鎖はびくともしない。
フェイトとマアトを先頭に4人の女神はアリアンロッドの前に降りてきた。
マアトは直ぐに浩介に駆け寄っている。
浩介の無事を確認すると心から安心したようで笑顔を見せる。
瞳の色が真っ赤からブルーに変わっていく。
そして浩介をベッドの上にいるように話すと障壁を掛け、フェイトの隣に移動した。
『天城さんを避難させてくれたことには感謝するよ。ボクもホッとしたよ。
だけどね、ボクを奴隷にするって笑えない冗談だよね』
『うんうん、野蛮だとかろくでなしとか駄女神とか言いたい放題言ってくれたよね』
『私は念入りに消滅させてくれるんだって』
『そうそう、あたいとルサリィは次元の狭間に突き落とすんだろ。力を奪って』
『ほう、おもしろい。やってもらおうか』
アリアンロッドは先ほど浩介と話したことをフェイト達に聞かれていたことを理解した。
それにしてもこの鎖で身動きが取れないが、この鎖さえ何とかなればまだ勝ち目はある。
自分は十分に力を温存しているのだ。
どう見てもネメシスとルサリィはぼろぼろの状態だ。
二人とも顔が腫れ上がって酷い顔になっている。
相当なダメージを受けているようだ。
フェイトとマアトも疲れた顔をしている。
『やあねえ、冗談に決まってるでしょ。そろそろあなた達の喧嘩を止めようと思っていたところなのよ。
まったくもう、早くこの鎖を解いてよ。フェイト、あなたとは数百年来の友人じゃない。
さっきだって私は本気であなた達と戦ってなかったでしょ。直ぐに引き上げたんだから』
『それは私達に同士討ちさせて、自分は力を温存するためじゃなかったのか』
『…そんな訳ないでしょ、興奮してるあなた達を後で止めるために力を温存してたのよ』
『みなごろしにするって言ってなかったか』
『それは、それくらい頑張らないとあなた達を止められないでしょうが。例え話よ、例え話』
フェイトは何か考えているようだがにっこりと笑ってアリアンロッドの鎖を消した。
『まあ、天城さんを保護してくれてたんだしね。分かったよ』
だがアリアンロッドは鎖が消えて自由になると態度を豹変させた。
邪悪な笑顔を浮かべるとメイスを持ち振りかざした。
『ふふふ、ありがとうお馬鹿さん、あんた達は本当に馬鹿ね。じゃあ死になさいっ』
と、何か神通力を使おうとしたようだが何も起こらなかった。
『えっ、えっ、あれっ』
それどころか急に持っていたメイスが消え白銀の鎧も消えてしまい全裸になってしまった。
いやアリアンロッドは全裸にはなっていなかった。
よく見ると細い鎖で身体が亀甲縛りにされていた。
手足は自由に動かせるが力が入らない。
『な、何よこれ』
『あっはっは、やっぱりね。そうだと思った。ボクは封神緊縛鎖を鎧の下にも掛けておいたんだよ。
アリア、あんたの悪だくみなんてマルッとお見通しだよ。
みんな天城さんを独り占めしたいんだ、あんたの気持ちなんか全員がお見通しさ
ふっ、馬鹿なのはどっちかなぁ』
フェイトがちょっと斜に構えビシッと人差し指をアリアンロッドに向けて言い放った。
『くっ』
アリアンロッドは悔しそうにフェイトを睨むが、フェイトは嬉しそうだ。
『あたい達を始末して浩介を連れて自分の星にずらかろうって腹だったんだろ。
これからはお仕置きの時間だよ、覚悟しな』
ネメシスとルサリィが指をポキポキと鳴らしながらアリアンロッドに迫る。
『ちょ、ちょっと待って…今は障壁も掛けられないんだよ。お願いだから許して』
アリアンロッドは全裸に亀甲縛りの姿で土下座をするが、
『『『駄目に決まってるだろ』』』
※注意 この先、残酷なシーンが続きますので、音だけで事態を想像してください。
バキッ ボギッ ドガン 『ウギャアー』
ズガッ ガギッ ドサッ 『ガッハァーーッ』
チュドォーーーン 『グッヘェ』
ドガンッ ヒュー ズボッ
浩介はベッドの上で見ていたが、あまりの惨劇に目を背けていた。
だが最後にネメシスがアリアンロッドを蹴り上げると、はるか上空まで打ち上げられたアリアンロッドが落ちてきて、ズボッと頭から落ちて地面に上半身が埋まってしまったのを見ていた。
どこぞの村で起こった惨劇の被害者を思わせる光景である。
ただアリアンロッドの下半身は亀甲縛りで股間には銀色の鎖が食い込んでいたが。
「おい大丈夫か。アリアは命の恩人なんだよ」
マアトはやれやれと言った感じだ。
『ぶっ殺してやろうと思ったんだけどね。浩介を助けたことは事実だし、殺していないわよ。
アリアンロッドを殺したら浩介に嫌われちゃうでしょ。だから誰も本気で殺そうとは思って無かったわよ』
だがアリアンロッドはまだ頭から地面に埋まったままだ。
「そうか、じゃあ、早く助けてやって、治療してやってくれ」
それを聞くとフェイトは嬉しそうに、アリアンロッドの足を持って地面から引き抜いた。
美人が台無しである。完全に別人と思えるほど顔がボコボコになっている。
『やっぱり天城さんはやさしいね。うん、そういうところがボクは大好きだよ。
じゃあちょっとだけ神通力を使わせてあげよう。アリア、自分で回復できるでしょ』
アリアンロッドはすぐに回復を唱えた。
身体がぼんやり輝き元の美しい姿に戻っていた。
だが亀甲縛りされた鎖は解けていない。
『まあ、さっき制裁というかお仕置きしたとき、ネメシスとルサリィにずいぶん力を奪われていたから、封神緊縛鎖を解いても問題無いんだけど、ちょっとエロいでしょ。天城さんが喜ぶかなと思って解いてないんだ』
と、フェイトは言うが確かにエロい。おっぱいとか強調されてるし股間には鎖が食い込んでいる。
アリアンロッドは恥ずかしそうに浩介を見ていて、浩介は股間を熱くしてしまう。
『ああん、浩介さん、恥ずかしいからあんまり見ないで』
この期に及んでまで、あざとい仕草である。
とても先程までボコボコにされていたとは思えないあざとさだ。
さらにアリアンロッドは何か唱えた。
すると鎖がキュッと締まって、亀甲縛りにされた身体はさらにおっぱいが突き出され股間に鎖が食い込む。
『ああん、食い込んでくるぅ。あああん、いやあん』
アリアンロッドは浩介が見やすいように身体を向けて悶えている。
浩介は目を皿のようにしてアリアンロッドを凝視してしまう。
エロ過ぎる眺めだ。
「ああ、アリア、大丈夫か。フェイトさん、もうやめてあげて」
『はあ、ボクは何もしてないよ。でもなんかムカつくから鎖は消してやる』
フェイトはアリアンロッドの身体にくいこむ鎖を消した。
アリアンロッドはすごく残念そうだ。
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『じゃあ、アミダくじはマアトが作れよ。調和と秩序の女神なんだからさ』
『そうね、分かった』
『おいおいマアト、なんで縦線が5本なのよ。マアトはさっき散々天城さんとしたんだからもういいでしょ』
『冗談じゃないわ。こうなったら引けるわけ無いでしょ』
『それにアリアンロッドは抜け駆けしようとしたんだから、罰としてやらせないわよ』
『あん、ふざけた事言ってると殺しますよ』
俺の目に前で女神達が殺気立ちいがみ合ってるのを見るとうんざりしてしまう。
ずっとこんな感じで揉めていて、事態が進行しないのだ。
「なあ、マアト、マアトってば」
『なによ浩介、私は絶対に引かないからね』
「そうじゃなくて、おれの過去を遡ってフェロモンが出るようになった原因を調べるんじゃなかったのか」
『えっ……あっ…そ、そうね。もちろん分かってるわよ』
本当かよ、まったく……忘れてたんじゃねえの。
『そ、そんなこと無いわよ。ほら、それには肉体的に繋がる必要があるって言ったでしょ。
その順番を決めてるのよ』
「肉体的に繋がるってどうやるんだ」
『だから浩介は立派な棒を持ってるでしょ。それを私に差し込んで出したり入れたりするのよ』
そこにルサリィが入ってきた。
『いやマアトとアリアは浩介と手を繋ぐだけでいいと思っ ほげぇっ!』
そこでいきなりマアトのまわし蹴りとアリアンロッドのハイキックがルサリィのわき腹と後頭部に同時に打ち込まれた。
見事なツープラトンの攻撃だった。たまらずルサリィは倒れこむ。
『下半身で繋がったほうが効率がいいのよ。特に人間の男と女神の場合はね。ルサリィは本当に馬鹿ね』
倒れこんだルサリィの頭を踏みつけながらマアトはしれっと嘘をついた。
その後、何度も何度もアミダくじをやり直すことになった
何度やっても、かならず誰かが納得しないので揉めてしまう。
やっと浩介が作ったアミダくじで決着した。
「もう本当にこれで最後にしてくれ、これで決まった順番で頼む。じゃないと俺は協力しない」
結局、1番からネメシス、フェイト、ルサリィ、アリアンロッド、マアトの順で決まった。
マアトの悔しがり様は半端じゃなかった。
『じゃあ、あたいからだね。浩介はただ仰向けになって寝てればいいよ。私が上になるから。
まあ、天井のシミでも数えているうちに終わるからね』
とネメシスは言っていたが天井などどこにも無かった。
※注意 この先、18歳未満の方にはお見せできないシーンが続きますので、音だけで事態を想像してください。
『アン、アンアン アアー、いいー』
ギシギシギシ
『アンアン、アーン』
ギシギシ
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
女神達が浩介の上で腰を振り始めてからかれこれ6時間は過ぎてるだろう。
マアトを初め5人の女神達は、すでに女子高生位まで若返っていた。
さらにそれぞれ階位も上がり大喜びだ。
アリアだけじゃなく全員が回復の神通力を使えるようになり、浩介はその都度回復され肉体的には疲れていない。
だがもう3順目に入っている。
精神的には疲れ果てている。
「マアト、もう調査は終わったろ。俺は休みたいんだが。腹も減ったし」
『そうね、もうちょっとかなぁ、でもあんまり無理させるのもね。
じゃあ、私まで終わったら切がいいから食事にしましょう』
浩介は食事の後、疲れたのだろう。寝てしまった。
本当はもう調査は終わっていた。
とんでもないことが判明していた。
それをマアトが天帝に報告したら浩介は能力を封印されて転生させられてしまうだろう。
マアトの調査で判明したことは、浩介が元は男神だったということだった。
ゼピュロスという風神が天界を追放され人間として何度も転生を繰り返し、現在は天城浩介となっているのだった。
彼が天界を追放された原因は、彼の女好きにあった。
アフロディテやアルテミス、エロス、セレネといった天界でも有数の美女神と愛人関係にあった彼は、多くの神々から嫉妬され攻撃された。多くの女神達の反対もあったが結局天界を追放され人間として転生させられたのだった。
彼の女好きは人間になって何度転生しても直らなかった。
転生するたびに多くの女性と関係を持ち、女性が原因で死んでまた転生、それを繰り返していた。
そして転生するたびに少しづつ神であったときの能力が甦ってきていたのだ。
だが今回はちょっと事情が違った。
浩介はたった一人の恋人を求めていた。
そしてようやく理想の恋人が出来たにもかかわらず、運命的に女性達に殺されてしまった。