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好色王と呼ばれた男  作者: 空即是色
第1章 天界編
4/30

4話 女神達の戦いとヤンデレ化した女神

閻魔堂の前は殺気の嵐が吹き荒れ、一触即発の空気が渦巻いている。

それはやがて5個の巨大な竜巻となって荒れ狂い始めた。

俺は閻魔堂に逃げ込み恐怖のあまり腰を抜かしていた。


そして5人の戦いは始まった。


『ふん、死にな!』


という言葉と共にネメシスの騎獣である黒龍の口から赤黒いブレスが吐き出された。


ゴアアアアァァァァァーーーー!


黒龍のブレスで地面は真っ赤に燃え盛り灼熱の熱風で荒れ狂っていた竜巻を全て消し去る。

だが他の4人の女神達の前には見えない障壁があるようで、影響を受けていないようだ。

アリアンロッドの海竜が巨大な津波を発生させると、巨大な水蒸気爆発が起こり全てを吹き飛ばす。

だが、やはり女神達は無傷だった。

その後ヒュドラの分子レベルで破壊する超音波ブレスやフェニックスの高速飛行からの超高熱の炎の絨毯爆撃、フェンリルの燃え盛る隕石群の召還など、ありえないレベルの威力を持った攻撃が続く。

俺はただ震えながら見ているだけだったが、なぜか全ての攻撃は俺のいる閻魔堂を避けていたため無事だった。


どのくらい時間が経ったのだろう。

燃え盛る隕石が雨のように降り、無数の風の刃が吹き荒れ、雷撃が縦横無尽に走り、無数の氷の槍が降り注ぐ。

5人の女神達の眷属達はダメージを受け消え去り、女神達の神通力と肉弾戦に移っていた。


『オラァ、死ねや』『フゥン!!』


ネメシスがハルバートをルサリィに叩きつけるがルサリィはクレイモアで受けきった。


グァキィン!!!


ありえない轟音と共に発生した衝撃波で地面がクレーター状に陥没する。

だがその衝撃波が閻魔堂を襲った。


『はっ、しまった』『あっ』『危ないー』『ああ、危ないー!こうすけぇー』


女神達は一瞬で戦いをやめそれぞれ神力障壁を閻魔堂にかけようとしたが遅かった。


閻魔堂は衝撃波で木っ端微塵に砕け散ってしまう。



ネメシスは腰砕けで座り込み、ルサリィはクレイモアを落として呆然と立ちすくんでいる。


『あ、あああぁぁ』『……ああ』


フェイトとマアトは戦っていたが閻魔堂が木っ端微塵になったのを見てあわてて駆け寄ってきた。


『こうすけぇー』『天城さん、死なないで』


フェイトとマアトは浩介を助けようと必死に閻魔堂の瓦礫をどかしている。

だが浩介の体も木っ端微塵になってしまったのか見つからない。


『浩介ぇー、ああぁ』


ついにマアトは泣き出してしまう。

ネメシスとルサリィはがっくりと項垂れている。

フェイトは考え込んでいる。


『おかしいよ、天城さんの身体はボクが強化して結構頑丈になってたはずだよ。

あのくらいの衝撃なら例え死んだとしても身体は残ってるはずなんだけどなぁ』


フェイトはさらに瓦礫を調べていたがマアトの様子がおかしい。


マアトは蹲って泣いていたが、いきなり立ち上がるとネメシスとルサリィを睨みつけた。

怒りに満ちた瞳はブルーからは真っ赤に変わり、身体全体から巨大な青白いオーラが炎のように立ち上がっている。

まるで別人のようだ。

そして呆然としているネメシスとルサリィに向け右手の掌を向けた。



『よくも…よくもよくも浩介を殺したね。あんた達はかけらも残さず消滅させてやる』



と叫ぶとネメシスとルサリィの前まで瞬間的に間合いをつめ、ネメシスの顔を雷を纏った拳で殴りつけた。


『がっはっああぁぁぁ』


ネメシスは地面に叩きつけられ、さらにバウンドしたところをマアトの強烈なかかと落としを後頭部に受け地面にめり込んで動かなくなった。

それを見たルサリィは恐怖に駆られ逃げようとしたが、いきなりマアトが目の前に来た。


『マアト、待て、わざとじゃないんだ』


必死の思いでルサリィは叫ぶが狂気に染まったマアトは止まらなかった。

マアトのストレートパンチをクレイモアで受けようとしたルサリィだったが、それはフェイントだった。

マアトはルサリィのわき腹に強烈な蹴り叩き込んでいた。


『ぐあっはぁぁぁ』


未だかつて受けたことの無い強烈な蹴りをわき腹に受け、身体をくの字に曲げ横に吹っ飛ぶルサリィだったが、飛んだ先にマアトは瞬時に移動していた。

そして飛んできたルサリィにマアトは右手を振りかぶると拳を叩きつけるように振り下ろす。

ルサリィはこめかみにマアトの拳を受け2度3度地面をバウンドして倒れた。

それでもまだルサリィは意識があったが、マアトのルサリィの背中を踏み抜くような攻撃で沈黙した。

巨大なクレーターの中にルサリィの身体は沈んで動かなくなった。


マアトはルサリィの髪の毛を掴むとルサリィを引きづって、ネメシスが倒れているところまで来てネメシスの隣に放り投げた。

そして上空に飛び上がると両手を空に向け巨大な青白い炎の玉を作っていく。


それを見ていたフェイトは恐怖に駆られながらも思った。

マアトは何故あれほどの戦闘力を持っているのだろうか。

階位が一つ上がったのは知っているが、ネメシスとルサリィを瞬時に倒してしまうほどとは。

天城さんが殺されたと思った所為で狂戦士化したのかも知れないが、あれほどの戦闘力は中級女神に匹敵する。

それより問題はマアトが作っている巨大な青白い炎の玉だ。

あれを落とされたらネメシスとルサリィは間違いなく消滅してしまう

それどころかこの辺り一帯が廃墟となってしまうだろう。

マアトは小さな惑星なら消滅させるほどのエネルギーをあの炎の玉に込めようとしている。


フェイトは全力で移動しマアトの後ろに回るとマアトの首筋に電撃を込めた手刀を打ち込んだ。

ふいを突かれたマアトは崩れ落ち地上に落下して行った。

作っていた巨大な青白い炎の玉もそのエネルギーを発散させ消滅した。


『ああ、ぎりぎり間に合った。あれを落とされたらルサリィとネメシスだけじゃなく、私もマアト自身も消滅しちゃうよ。

とにかく天城さんは閻魔堂にはいなかった。どこかに隠れているんじゃないかな。

皆を起こして探さないと。だけどもし天城さんが死んでいたら私もルサリィとネメシスは許さないよ』


フェイトはマアト起こそうと近づいていった。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




俺は閻魔堂から100mくらい離れた場所でアリアンロッドと一緒に居た。

と言うのはしばらく前に閻魔堂で震えていた俺の元にアリアンロッドが来たのだ。


なにしろ直接攻撃は受けてはいないが、衝撃は伝わってきて閻魔堂自体が地震に襲われたように震えるのだ。

いつ閻魔堂が倒れてしまうか分からないほどだ。

震度3~4くらいの地震が絶えず起こっているくらいの揺れを感じていた。

「このままじゃ俺は死ぬ、死んでしまう」と思って震えていた。


そこにアリアンロッドが来て俺に避難するように言ってきた。


『天城さん、ここにいては危険です。私と一緒に避難しましょう』


「そうしたいけど、ここから出るのも怖いんだ」


アリアンロッドは閻魔様の木像の裏の壁をメイスで叩き壊した。


『大丈夫ですよ。私が守りますから。さあここから早く出ましょう』


俺達は閻魔堂の裏から逃げ出し、100mくらい離れたところまで来た。


『ここは神力障壁を何重にも掛けた部屋です。

ドラゴンのブレスくらいじゃビクともしません。

外からは中が見えませんし、ここにいれば絶対に安全です。

それに音も遮断してますから安心できますよ』


「そうか、ありがとう、あそこにいて生きた心地もしなかったんだよ。怖かったんだ」


『そうですよね。怖かったでしょう。もう大丈夫ですよ。

まったく野蛮な女神達ばっかりで本当に困ったものです。

浩介さんを怖がらせて戦っているなんて酷い女神達です。

浩介さんは私が守りますから安心してくださいね』


「アリアンロッドさん」


『アリアと呼んでください。私も浩介さんと呼びますから。

もう大丈夫ですよ。こうして私が抱きしめてあげますから、もう怖くないでしょう』


「うん、アリア」


いつのまにかアリアは鎧を着けていなくて全裸になっていた。

しばらくの間、アリアのふくよかで柔らかな胸に顔を埋めているうちにようやく俺は落着いてきた。

この部屋にはベッドしかなくて、俺達はベッドの上で裸で抱き合ってる状態だった。

この状態はちょっとまずいような気がするが、つり橋効果なのだろうか、助けてくれたアリアに対する俺の好感度はどーんとあがっている。命の恩人とまで思っている。なにしろ俺はさっきまで戦場にいたんだ。

人間はいつ自分が死ぬかわからない状態に長くおかれていると、本能的に子孫を残したくなるらしい。

だからだろうか、近くで見るとアリアンロッドはものすごく綺麗なおねえさんに見えた。

やっと少し余裕が出来た俺とアリアは見つめ合っていた。


「ねえ、アリア、アリアってすごく綺麗だ」


『ああ、浩介さん、浩介さんの気持ちが伝わってきます。私としたいんですね』


「ああ、そうなんだ、アリア、おれはアリアと…」


だがアリアンロッドが何か気付いたようだ。


『んっ、でもちょっと待ってくださいね、外が静かになりました。

あの野蛮な女神達が力を使い果たして共倒れになってるのでしょう。

まあ誰かが勝ち残ったとしても、ろくに力は残って無いと思います。

私は力を十分に温存してますから、あのろくでなし共など問題なく殺せると思います。

トドメを差して来ますからここで待っていて下さい。

ちょっとみなごろしにしてきます』


「待って待って、みなごろしはやめて」


『何故ですか、あのろくでなし女神達は浩介さんを怖がらせていじめてたんですよ。

私に言わせれば万死に値します。すぐに消滅させるべきです』


「いや、その、だけどマアトだけは……みなごろしなんてやめよう」


『マアト?あの駄女神ですか。そうですか。じゃあ、特に念入りに消滅させなければなりませんね。

それで浩介さんもあの駄女神の事は忘れることが出来るでしょう。

まあ、浩介さんがそこまで言うなら、フェイトは私達の奴隷にしてあげてもいいかもしれません。

隷属の呪術をかけてあげましょう。

ルサリィとネメシスは…そうですね、力を奪った後、次元の狭間に閉じ込めてあげます。

力を失ったらまず出ることは不可能でしょうから。うふふふふ』


アリアンロッドが黒い。黒すぎる。

どうやら完全にヤンデレ化を果たしたようである。

そして笑っているが嫉妬に狂った目をしている。


『その後、私の星に一緒に行きましょう。すごく綺麗な星でいいところなんですよ。

そこで二人っきりでゆっくりと愛し合いましょう。永遠に幸せになりましょうね』


浩介はベッドから降りて歩き出そうとするアリアンロッドの腰にしがみついた。


「アリア、マアトを殺さないで、他のみんなにも酷いことはしちゃだめだ。

俺はアリアとどこへでも行くから」


アリアはにっこりとして頷くと


『そのためにもあの駄女神達には消えて貰わなければならないのです。

これは私と浩介さんが幸せになるために仕方の無い事なのですよ。

大丈夫です。あんな駄女神達のことなんか直ぐに忘れさせてあげますから』


ルン♪ルン♪ルン♪ 


作戦通り上手く行ったわ。

浩介さんの私に対する好感度はドーンと上げられたし、力も温存できたし。

後はあのアホ共をさっさと片付けて浩介さんをつれてここから転移してオサラバしよう。

その後はえへへ、もう笑いがとまらないよ。


女神とは思えぬほどの黒い笑顔である。

よく堕天しないものだ。

ご機嫌で白銀の鎧を纏いメイスを手にしたアリアンロッドは、部屋から出ようとして障壁が消えているのに気付いた。

あれっ、障壁が消えてる、なんで…と思ったときいきなり漆黒の鎖が身体に巻きついた。



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