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好色王と呼ばれた男  作者: 空即是色
第1章 天界編
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3話 女神を誘惑する男

「……そんな…俺はただ普通に……」


『だから浩介が奈津美さんという彼女を作ったから、暴走した女の子達に浩介は刺されたんだよ。

誰も奈津美さんには叶わないと思ったんだろうね。だから浩介を殺して自分も死のうと思ったんだよ。

しかももうすでに、浩介の後追い自殺した女の子は15人に達したよ』


「……俺がフェロモンとかを出しているのは本当なんだな」


『それは間違いないよ。ただこれから私が検証するのはKフェロモンという特殊なフェロモンだよ。

これは浩介が相手をした女の子の潜在能力を引き出したり、あるいは今有る才能を大きくのばしたりするフェロモンらしいんだ。浩介の後追い自殺した女の子達を調べたら、それぞれ色んな能力に目覚めてたよ。

それにフェロモンはホルモンに強く影響するから何度も浩介の相手をした子は、めちゃくちゃ綺麗になっていったよね。それこそ芸能事務所からスカウトされるほどに』


それは俺も不思議に思っていた。

中学の頃から、月に何回か部屋に呼んでいた女の子達は、最近は別人のように可愛く綺麗な女の子になっていた。もともと可愛いから告白したんだが、あまりにも美少女になってしまい町でも評判の女の子になってしまっていた。まあ俺はその子達に刺されて死んだのだが…


「それで…その俺の後自殺した女の子達はどうなったんだ」


『自殺は重い罪になるから、普通は階位を下げられて結構悲惨な星に送られるんだけど、今回は事情が事情だし、彼女達にも調査に協力してもらってるから、今は待機させてるわ。彼女達の処遇は浩介次第ってことになると思う』


できれば彼女達には安全で平和な星に生まれ変わって欲しい。

みんな性格はそれぞれだけど純粋で一生懸命な素晴らしい女の子達だった。

これからは幸せになって欲しいと思う。


『普通は本人の希望はまったく考慮されないで、死んだら直ぐに階位や序列に応じて他の星に転生するんだよ。

だけど今回は一応希望を聞いてみたんだ。みんな浩介と同じ星に転生させて欲しいって言ってる』


「それは可能なのか」


『むずかしいね、転生時に前世の記憶は完全に消えるのだけど、前世で強い因縁を持った相手と出会うと、ふとした事で既視感きしかんを感じることがあるの。それを多く経験するうちに前世の記憶が少しずつ甦る可能性がある。だから同じ星に転生させることは出来ないと思うよ』


「奈津美さんとはまた会いたいんだが」


『彼女の場合は浩介の所為で特殊な能力を身に付けちゃったから、階位が数段あがって自殺なんてしなければ天使になれる位になってるんだけど、本人は浩介と一緒に同じ所に転生したいって言ってるのよ。これは叶えられる可能性が高いわね。

浩介も同じ気持ちのようだし、ちょっと妬けちゃうわねぇ』


「できれば要望をかなえて欲しい。それでこれからどうするんだ」


『うん、私も浩介には階位を上げてもらった恩も出来たし、私にできるだけのことはするよ。

まさか浩介が天界に響き渡る声で叫んだことで、こんな重大なことが判明するとは天帝も驚いてたよ。

まさに瓢箪から駒ってやつだね。

それで、これから浩介が生まれた時からの出来事とかを検証して、フェロモンを放出する体質になった原因を探っていくから浩介はそのベッドで仰向けになって寝てもらっていればいいよ。後は私にに任せて』


「俺の記憶を辿るのか、忘れてることも多いと思うんだが」


『それは大丈夫、記憶を辿るんじゃなくて浩介が見たこと、体験したことを高速で辿って行くだけだから。

ただ、5柱の女神が3~4年分ずつ担当してやるんだけど、実は浩介と肉体的に繋がる必要があるんだよ』


「な、なんだって」


そこにいきなり身体からなにかオーラのようなものを放つ4人の美女が現れた。

4人とも一糸纏わぬ姿だ。


『ヤッホー、君があの断末魔の叫び声をあげた天城君だね』


『すごい往生際の声でしたね。あんなこと初めて経験しました』


『君のいまわの際の叫びは笑えたよ。やり直しを要求するぅーってなんだよ。あははは』


『皆さん失礼ですよ。死に際の叫びを天界にまで届かせるなんて奇跡なんですから』


それぞれ個性的な美女だが、やはり若返ったマアトが一番綺麗だ。

肌が瑞々しいし若々しいしスタイルも美しい。


『ふふん、そうでしょ、そうでしょ。浩介は正直だね。うん、正直なのはいいことだよ。

それで、ここにいる年増の女神は右からルサリィ、フェイト、ネメシス、アリアンロッドって言うんだけど、私を含めてこの5人で浩介を調査するから』


それを聞いたルサリィという女神がじろっとマアトをにらむ。

一瞬怯んだマアトだったが


『うっ、ふ、ふん、私を今までと同じと思わないでね。もう階位も1階位上がって8級女神になったんだから。

それに序列も上がってるんだからね。今はルサリィと同じ階位にいるんだから』


『不思議なこともあるもんだよ。マアトの階位が上がるなんてさ』


浩介の前に燃えるような赤い髪をした1柱の凛々しい雰囲気の女神が来た。

そして片手を腰に手を当て、浩介を真っ直ぐに見ながら毅然とした態度で話し出した。


『天城君、あたいはネメシスと言うんだ。

君の心の声はマアトだけじゃなくあたい達も聞けるんだよ。

いいかい、今までここで君が思ったこと、話したこと、それとやったことはみんな見てたし聞いてたんだよ。

君の魅了の力は女神にも通用するみたいだけど、それはマアトみたいな下級女神だけだと思ったほうがいいよ。

あたい達のような中級女神には絶対に通用しないからね。覚えときな』


俺に魅了の力なんて無いと思うけど、俺は女の子にしたいって言って断られたことだけは無いんだよな。

試してみるか。

俺はネメシスの目をじっと見つめて真剣な顔で囁いた。


「ネメシス、あんたは綺麗だ。一目で好きになってしまったよ、あんたとしたい」


ネメシスはボッと一瞬で顔を赤らめたと思うと、今までの凛々しさから一転してしおらしく見つめてきた。


『えっ、ええっ、そ、そりゃ本当かい。本当にあたいが綺麗だなんて思ってくれるのかい』


俺はにっこりと笑顔でうなずいた。

なぜか俺が笑顔になると女の子は恥ずかしがるんだよな。

ネメシスも顔を真っ赤にしていて、俺の顔が見られないようだ。


『まあ、き、き、君が本気であたいとしたいって言うのなら……あたいは一度も経験が無いけど』


俺は笑顔から真剣な顔に戻してネメシスの目を見て言った。


「ああ、本当だ。あんたは俺の心が読めるんだろう、俺はあんたとしたい」


『う、うん、わかったよ。そんなに真剣な目で見られたら信じるしかないね。じゃあ、さっそくあたいの部屋に…』


ネメシスは満面の笑顔で俺の手をにぎってきた。目が潤んでいる。

だがそこにマアトが割って入ってきた。


『待ちなさいよネメシス、今はそんなことしてる時じゃないでしょう』


『だって、この子があたいとどうしてもしたいって』



どうやら俺には魅了の力とかいうのがあるらしい。

これがマアトに言ってたことなのだろうか。

マアトとネメシスが揉めてる間に2人の女神が俺に近づいてきた。



『天城さん、私はアリアンロッドと言います。アリアと呼んでください』


アリアンロッドは亜麻色の髪の乙女と言った感じだ。


『ボクはフェイトって言います。あなたがマアトの階位を上げたんですよね。ぼくも上げて欲しいなあ』


フェイトは銀髪のショートヘアーでボクっ娘のようだ。


『私も情熱的に口説いて欲しいです』


『ボクもあなたに押し倒されたい』


『私もネメシスのように口説かれたいぞ』


とルサリィまでが言ってきた。


そこに出遅れたマアトとネメシスまでがやってきて喧々諤々の騒ぎになってしまった。



『だからこの子はあたいとしたいって言ってるんだ。あんたたちは引っ込んでな』


ネメシスは顔を真っ赤にしてマアトや他の女神に威嚇している。

なんだか必死になってるようだ。


『浩介の事は私が天帝から任されているんだよ。引っ込んでいられるわけ無いでしょ。

それに浩介の体は何日か持つようには作ったけど、さっきかなり消耗したから、もう出来ないと思うし』


『マアトッ、あんたがあんなに夢中になって何回もしたからだろ。この淫乱女神』


『それは…そうだけど…何よっ淫乱て、私は初めてだったのよ』


『それよりどうすんだ。あたいはこの子としたいんだっ』


ネメシスとマアトは掴み合いを始める寸前と言った雰囲気だ。

俺にはどうすることも出来ないし傍観するしかない。


『まあまあまあ、大丈夫ですよ、天城さんの身体は私とフェイトで回復と強化を行いますから』


アリアンロッドが何か唱えると俺の体がうっすらと輝き、いきなり身体が軽くなった気がした。

そして元気を無くして項垂れていた俺の愚息が、いきなり元気になってへそまで届かんばかりに…


『おー、元気になったねぇ、うん、じゃあ、次はボクが身体を強化してあげる』


フェイトが何か唱えると、やはり俺の体が一瞬輝き今度は身体が引き締まった。

まるで完璧に仕上がったバンタム級のボクサーのような体になった。


『うん、これでこの天界にいても10年は持つ身体になったよ。

ボクは神通力の強さがマアトの5倍くらいはあるからね。

これで君はボク達全員を相手にしてもまったく問題ないよ。

それにアリアがすぐに回復してくれるから何回でも出来るし』


5人の女神は俺の体を見て目を潤ませうっとりとしているようだ。

俺が興奮状態にある時フェロモンが大量に放出されるってマアトが言ってたっけ。

この状態はかなりまずいかも。

いつのまにかネメシスとマアトも喧嘩をやめていた。


『よしっ、これならあたいも文句は無いよ。じゃあ早速しようか』


ネメシスはにこにこ顔で俺の手をとろうとしてきたが、後ろからルサリィに羽交い絞めにされた。


『待ちなよ、ネメシス。順番はアミダくじで決めるんだよ。文句は無いだろうね』


ルサリィに羽交い絞めされたネメシスが首だけで振り向くと、他の女神達が強烈な殺気を放っていた。

うん、俺は恐怖で小便漏らしそうだ。

だがネメシスはルサリィの羽交い絞めを強引に振り解くと、他の女神達を殺気を放って睨み付ける。


『おもしろい、あたいとやろうってのかい。この男はあたいの物だよ。

ちょうど良い、あんたたちを倒してこの男はあたいの星に連れて行くよ。

そしてあたいとこの男は幸せに暮らすんだ』


そして突然ネメシスが光に包まれたかと思うと白銀の鎧を全身に纏い、巨大なハルバートを構えていた。


『いでよっ、ヴァドニール!』

 

キッシャアアアアアァァアー


と大地を震わせるような叫び声と共に巨大な漆黒のドラゴンが出現した。

そしてネメシスはその自ら召還したドラゴンに騎乗した。



それを見た他の女神達も眩しい光を放ち白銀の鎧を全身に纏いそれぞれ武器を手にしている。

アリアンロッドとフェイトは巨大なメイス。

ルサリィはクレイモア。

マアトの武器はモーニングスターだ。


『ネメシス、あんたの勝手にはさせないよ。だがまあいい。こうなったら全員倒して天城君は私が貰う』


ルサリィは巨大なライオンのようだが尻尾が蛇の怪物を召還した。ヒュドラだ。


『ふふふふ、本当にちょうど良かった。みんなを消滅させてボクが天城さんと幸せになるよ』


フェイトは巨大な狼を召還した。フェンリルのようだ。


『まさか皆さんを殺すことになるとは思いませんでしたが、天城さんを手に入れるためなら仕方ありませんね。

皆さんが復活するまで何百年掛かるか知りませんが、私と天城さんの幸せのためです。死んでください』


アリアンロッドは巨大な海龍を召還した。リヴァイアサンだ。


『私だって階位が上がって戦闘力は上がってるんだ。絶対に負けないよ。もともと浩介は私のものなんだ』


マアトは炎を纏った巨大な鳥。ああ、フェニックスなんだろう。

マアトまで戦闘的になってしまった。

いったい俺の何がこの女神達を戦闘に駆り立てているのだろう。



読者様が浩介のワンパターンの口説き文句をマネして女性を口説いてふられたとしても、苦情は受け付けません。あしからず


しばらくの間は水曜日と土曜日の20時に定期更新していくつもりです。

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