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好色王と呼ばれた男  作者: 空即是色
第1章 天界編
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2話 特殊なフェロモンを発散する男


事が終わった後、アへ顔で呆けているマアトを見て俺はびっくりしていた。

始まる前のマアトの身体はちょっとだらしない感じで、下腹もぷっくりしていたのだ。

まったく運動していない30代の女性の身体といった感じだったのだ。

だが終わった今は引き締まって下腹もすっきりしているし、小ぶりのおっぱいも張りがあるように見える。

なによりおばさん顔だったのが女子大生に見えるほど若返っていた。

肌も艶があるように見える。


「おい、マアト、お前若返ってないか」


『えっ、なあに、あん、恥ずかしいから顔を見ないでよ』


「あのさ、別人とは思わないけど、ずいぶん変わったぞ」


『そーお、だけど男女の性愛がこんなに気持ちいいものだとは知らなかったわ。

ヴィシュヌがよく話していたけど、これほどとは思わなかった。

浩介、なかなかやるわね。浩介が床上手だって事は知ってたけどね』


「それより鏡で自分を見てみろよ。なんだか10歳くらい若返ってるぞ」


『もうちょっと余韻に浸らせて。まだ収まってないんだから。

浩介も暇ならおっぱいくらい触ってよ。えっ、若返ってる』


マアトは飛び起きると大きな丸い鏡を出して鏡の前で全裸でポーズを取っている。

うん、お尻も垂れ気味だったのがツンと上向きになっている。


「……こんなこと、信じられない…あっそうだ」


マアトは額に両手の指を沿え、なにか唱えている。

するとマアトの身体がうっすらと輝いた。


『嘘ぉ、階位が上がってる。しかも序列も上がってるよぉ』


満面の笑顔で俺に言った後、どれだけ嬉しいのかピョンピョン飛び跳ねた後、奇妙な踊りを踊り始めた。


「うははは、うわっはっはっはぁ」


全裸で鏡の前で大笑いしながら踊りまくるマアト。

だがその後、笑いすぎて過呼吸でも起こしたのだろうか、四つんばいになって蹲った。

突き上げたお尻を俺のほうに向けているので何もかも丸見えである。


「おい、マアト大丈夫か」


駆け寄ってマアトのお尻に向かって話しかける俺。


『もう、どこに向かって話してるのよ。大丈夫に決まってるでしょ。

ああ、もうこれでパシリをやらされなくて済むし、見返してやるんだから』


そうか泣いていたんだ。

涙でくしゃくしゃな顔で笑っているマアト。

俺は思わずその不気味さに引いてしまうが、マアトは気にしてないようだ。

マアトは湯がいっぱいに入った浴槽を出した。


『そうね、まずお風呂に入りましょう』


その風呂なんだが微妙に狭いんだよな。

俺はマアトを後ろから抱くようにして風呂に浸かっているんだが、この体勢だと危険だ。

マアトの身体が格段に綺麗になったためか、俺の愚息がまたもや臨戦態勢に入ってしまっている。

心を読めるマアトは気付いているのだろうが、なにか黙って考え事をしている。

マアトもずいぶん落着いてきたようだ。


『ねえ浩介、実は浩介が死んだ後すぐなんだけど、浩介を刺した8人の女の子達も全員が後追い自殺したのよ。

私はその子達の記憶も見て調べたの。あの子達の頭の中は浩介のことでいっぱいだった』


なんだって!あの子達が後追い自殺しただって。

なんでだ。訳わかんねえ。警察に捕まるのが嫌だったのか。

それより何で俺を殺したんだ。そんなに俺が憎かったんだろうか。


ようやく風呂から出るとマアトは二人用のラブチェアーを出してくれた。

たすかったぜ、ずっとマアトのおっぱいを揉んでたから爆発しそうだったんだ。

なんかマアトはちょっと残念そうな顔しているが。

二人でマアトが出したラブチェアーに座って話しの続きを始める。



『浩介が刺された原因は浩介が彼女を作ったからだよ。

星蘭女子大のミス星蘭で長谷はせ 奈津美なつみが浩介の彼女でしょ。

頭脳明晰、容姿端麗、性格温厚、剣道三段、おまけに父親は日本有数の商社の取締役で次期社長、祖父は自動車会社の元専務取締役で米国支社の支社長まで勤め上げたと言う人だよね』


「まあな」


『浩介はいたって普通のサラリーマン家庭で育って、いたって普通の高校に通う普通の高校生でまったくの一般人だけど、奈津美さんは日本有数の完璧なお嬢様で三歳年上でしょ。普通はまったく釣り合わないと思うんだけどね』


「うっさいな。普通、普通って何回言うんだ。趣味が合ったんだよ。

俺たちはサバゲーが趣味で同じ店のサバゲー会員だったんだ」


『えー、浩介が星蘭女子大の文化祭に行ったときナンパしたんじゃないの。

奈津美さんは浩介に合わせてサバゲー始めたんでしょう』


「まあ、最初の出会いは文化祭だけど」


『それでまだ奈津美さんの名前も知らないのに、出会ってすぐ【あんたが好きだ。あんたとしたい】って、ワンパターンの口説き文句を言ったんだよね。まったく信じられないよ。それでOK貰って奈津美さんの家に入り込んで、そのまま奈津美さんの部屋で一発やってから、お互い自己紹介するなんてさ。あははは』


「……ワンパターンって言うなよな。それ以外に何て言えばいいんだ。正直に言ったほうがいいだろ」


『よく浩介みたいな一般ピープルがあの豪邸に平気で入り込めたもんだよ。普通は恐れ多くて入れないよ。

奈津美さんもよく浩介と付き合うことを決心したよ。

親に反対されるだろうに、それでも浩介を選んだ。

そして奈津美さんも浩介が死んだと知らされてすぐに後を追って自殺したんだよ』



「何が言いたいんだ」


『つまり浩介は普通じゃないって事、浩介には何か不思議な力がある。

私が浩介に抱かれて女神としての階位が上がったのもたぶん浩介の力だと思う。

女神が普通に階位を上げるには、数百年単位で修行を積むか、天帝に認められるほどの功績を挙げたときだけ。

それが浩介に抱かれただけで上がったんだよ。

確かに私が男に抱かれたのは初めてだったけど、そんなことで階位が上がるわけないし、私が男に抱かれたいって思ったことなんて一度も無いのに……浩介にはどうしても抱かれたいって思ったんだ』



「……」



『浩介に関係した女性達を調べたんだ。そしたら例外なく何かの才能が開花していたの。

潜在能力っていうのかな。浩介と関係したり、あるいは友人関係にいる女性は、本人も知らなかった才能が開花していくんだよ』


「その原因をマアトは知りたいのか」


『うん、天帝から命じられたことは、浩介の秘められた力、それが何か調べることなんだ。

でも、目処は立ってるんだ。それを証明すればいいんだよ』


とマアトは言うけど、俺の秘めたる力って言われても、そんなもんある訳ねえと言うのが俺の考えだ。

マアトが若返ったっていうのは…あれだ、はじめて男に抱かれたからだろう。

だいたい階位が上がったって言われても階位ってなんなんだ。

序列っていうのはたぶん女神は大勢いて偉さの順番みたいなものか。

女神が人間の男に抱かれて偉くなるって……どうなんだ。

いや、この天界だか神界だかの常識は俺の想像を超えているのかもしれない。


『そんな訳無いでしょ、さっき言ったとおり女神の階位はそう簡単には上がらないのよ。

今回の事は完全に奇跡みたいな…じゃない奇跡なのよ』


まあいい、しばらくはマアトに付き合ってもいいさ。

だけどこの先俺はどうなっちゃうんだろう。

死んだんだし天国とか地獄とかに行くのだろうか。

俺は特に悪事とか働いたことないし地獄って事は無いだろう。

ガキのころトカゲとかカエルとかいっぱい殺したけど、殺すのは罪にならないってマアトも言ってたしな。

いや、女子の更衣室やシャワー室の覗きは頻繁にやってたっけ。これは罪になるのかな。

バレなきゃいいんじゃね。


『ばっかねえ、天国とか地獄とか、本当にあるって信じてるの。

だいたい天国とか地獄に行って帰ってきた人はいないのよ。そんなもん人間が作った話でしょうが。

考えても見なさいよ、だいたい浩介の世界の神様なんて昔の人が考えて作った神様だよ。

人が作った神様が人を救える道理がある訳無いし』


「そうなのか、じゃあ、人は死んだらどこに行くんだ」


『この宇宙には地球と同等の環境の星が無数にあるのよ。生物が死んだらその魂は他の星に転生するのよ。

もちろん科学が発展しているとは限らないし、もっと快適に暮らせる技術が進んでいる星もある。

当然生きていくのに厳しい環境の星もあるわ』


「それって行き先を選べるのか」


『無理に決まってるでしょ。死んだ時点での階位と序列で行き先が決まるのよ』


「じゃー、俺は毎日遊んで暮らせて、美味しいものが食べられて、退屈しないでいられる星がいい。

あっ、それと可愛くてスタイルと性格の良いえっちな女の子が多くいないとだめだぞ」


『何聞いてるのよ。死んだ時点での階位と序列で行き先が決まるって言ったでしょ。

でも浩介の場合は私の胸先三寸で行き先が決まるかもね。ふふふ、そんな星があったらいいわね』


「マジかっ、わかった。マアト愛してるぞ。だから何とかしてくれ」


『馬鹿っ、愛してるって…そんなこと判ってるわよ。それよりこれから色々と検証するから協力しなさいよ』




――――――――――――――――――――――――



※上記の会話で浩介・マアト両者の認識に重大な誤解があることが判明いたしました。


浩介:何とかしてくれ → そんなこと判ってるわよ


マアト:愛してるぞ → そんなこと判ってるわよ



――――――――――――――――――――――――



「おう、何でも言ってくれ」


『あのね、浩介は特殊なフェロモンを身体から放出してるみたいなの。

性的に発情(興奮)を誘発させる性フェロモンはもちろんだけど、それ以外に特殊なフェロモンが出てるみたいなのよ。実はそれは浩介の身体を作って魂を入れたときに判明したの。私はその特殊なフェロモンをKフェロモンと名付けたわ』


「はあぁ、なんだそりゃ」


『普通、人間から出るフェロモンは性周期同調フェロモンだけって言われてるんだけどね。

ほら、修道院や女子寮のルームメイトなどの月経周期が次第に同調してくるっていうやつ。

どうでもいいフェロモンね。

だけど浩介は性フェロモンとKフェロモンという2種類のフェロモンを体内で生成して放出してるのよ』


「そんな馬鹿な、俺は普通の人間だってば」


『本当だってば、そのフェロモンは浩介のおちん…ごほん…下半身の一部分から放出されてるのよ。

特に浩介が性的に興奮状態にあるときに多く放出されるのよ。

通常の状態の時は微量だけど、性フェロモンは極めて低濃度でその効果を果たすから、浩介の近くにいる女性は影響を受けてしまう。だから浩介は中学・高校時代は女生徒には絶大な人気だったでしょう』


「ふん、まったく逆だよ。彼女が欲しくて何回も交際を申し込んだけど全部断られたんだぜ」


『あのさ浩介、同じ学校の女の子に【あんたが好きだ。あんたとしたい】って告白してOKして貰って、部屋にお持ち帰りしてエッチした後【彼女になってくれ】って頼んだんでしょ』


「そうだよっ、そしたら必ず【天城君の彼女になるのは無理】って断られるんだ。毎回だぞ。

理由を聞いても答えてくれねえし、そのうちにふられ浩介ってあだ名が付いたくらいだ」


『だけどその後【ずっと友達でいようよ。ね、天城君がしたくなった時は誘ってね。私はいつでもOKだから】って言われてたよね。告白した女の子全員から』


「……だけど彼女とは違う。俺は彼女と呼べる女の子とデートしたりイチャイチャしたりしたかったんだ」


『それで浩介は【俺がエッチがへたくそだから断られるんだ】って勘違いして、中学2年生の頃から3日と空けず女の子をとっかえひっかえ部屋に連れ込んでエッチしてたよね』


「……修行を積んでたんだよ。おかげでやっと最高の彼女が出来たのに俺は……死んじまった」


『浩介と同じ学校に通う女の子達の多くは浩介のフェロモンに影響されて浩介に夢中だったんだよ。

だから浩介の彼女になったら他の子に妬まれるし、いじめに遭う様になる。学校にいられなくなるかもしれない。

だから誰も浩介の彼女になりたくてもなれなかったんだ。モテすぎるのも考えものだね』


浩介と同じ口説き文句で女性を口説いた男を知っていますが、当然、変な顔をされ『全力でお断りするわ』と言われたそうです。

皆さん、ご注意を。

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