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第3説

遅くなって申し訳ありません。

翌朝、日の光が木製の窓から差し込んできて目が覚めてしまった。


少々眠たい気もするが今日はギルドで初クエストをすると決めていたんだった。

昨日はそのまま寝てしまったためにクエストがどんなのがあるかも見ていなかったんだっけか・・・


「ふあ・・・っ」


眠たい、すごく眠たい。

いつまでも駄々を捏ねても仕方ないのは理解してるつもりではあるがそこは許してほしい。


一頻りに伸びをして顔を洗うために洗面台を目指す。簡素な洗面台ではあるが今は顔を洗えれば良かったためバチャバチャと顔を洗う。


「この洗面台あるのは良いんだが瓶に水を予め汲んでおかないといけないのがなぁ・・・」


魔法使いな人たちは水魔法が使えるのなら問題ないがそうじゃない人たちは予めに水を汲んでおく必要があるのだ。

保存させる魔法が施されているために水は冷たいままで洗えるからいいのだが現代っこだったため便利な物から中々離れられずにいた。


一先ず、少し顔を引き締め朝食を食べに1階へと向かうとする。

すでに朝食の仕込みは終わっているのか食堂からはとても良い匂いが漂ってくる。これは朝食も期待出来そうだ。

食堂へと入るとすでに宿泊客の何人かは食事を始めており各々が料理を口に運んでいる。

おいしそうな匂いが我慢できず自分も早く食べようと決め開いている席へと座ると給仕のおばちゃんが朝食を持って近づいてきた。


「はいよ。お待たせ。今朝のメニューはサラダとルミの実入りパンと卵スープだよ。」

「ありがとうございます。あと昼食は持ち運べるものって作って貰えるんでしょうか?」

「おや、お兄さん長期滞在者かい?それじゃあ鍵を見せて貰えるかい?」


言われた通りおばちゃんに泊まっている部屋の鍵を見せる。

この宿は長期滞在者の場合鍵が301からの番号になっている。ちなみに1泊の場合は2階の201から209までである。


「ありがとね。それじゃあ今から作らせるから出来上がったら持ってくるよ」

「お願いします」


今朝のご飯もおいしいなぁなどと思っていると奥からおばちゃんが昼食を包んで持って来てくれた。大きさからしてワンサイズ大き目のホットドックのようなパンに挟んだものみたいだ。


「んじゃ、これが昼用のね。お兄さんカッコイイからもう一つおまけしといたから」

「あ、ありがとうございます。なんだかすみません」

「いいのよー。ウチの旦那も礼儀正しい子だって言って嬉しそうだったし気にしないの!」

「では、ご好意に甘えさせて貰います」


旦那さんにもよろしくと言い昼食のパンをアイテムボックスに入れてゆっくりとギルドへ向かった。

しばらく歩くとギルドの建物が見えもうすでに結構な冒険者が中に入って行くのが見える。これは少し急いだほうがいいかもしれない。

中に入ると案の定結構の人数がおり少しクエストの受付場に人が並んでいたが俺はそちらに並ばず緊急クエストボードを眺める。

宿にいる時に予め受けるクエストは一覧を見ていたため決まってはいたのもあるが緊急クエストというのもが少し気になったためそちらを少し見てみることにした。

そこには商人の護衛やら鉱山奥のモンスターの討伐などが貼ってあった。常設のクエストのように一覧が出るわけではなく緊急クエストはスクロールに書かれている。


とりあえず確認するのが目的だったためそのままボードから離れて予定通りクエスト受注場の列に並んだ。待っている間にクエストの難易度説明を読んで暇を潰すことにした。


※クエストの難易度

クエストは同ランクの中か下の難易度から選ぶことになります。

ランク難易度はそれぞれ決められた範囲内があり該当以上の難易度の受注は不可能となっているのでご注意ください。

難易度は以下の数字となっています。

1~10 青

11~30 緑

31~50 黄

51~70 銅

71~90 銀

90~150 金

151~  純白

以上となります。


クエスト一覧を見ていても青のクエストは採取系がすべてだった。しかも森まで行くなどは少なかったため基本街周辺でいいらしい。

こうなるとすぐにランクをあげるべきかとも思ったが今日は早めに切り上げて街を見て回るのも面白そうだ。


(街を見て回る方が今日は良さそうだし適当にブラつくか)


そんなことを考えて今日の昼からの予定を立てていると自分の番が回ってきたために受付で受注を済まし採取した薬草を入れる袋を受付さんから貰った。

受付さんは昨日のイケメンの人ではなかったがかなりの美顔の持ち主だったため少し緊張してしまった。

門の近くに行くと門兵さんが立っておりギルドカードを見せるとすんなり通してくれた。


「では、早速薬草摘みをしますかね」


今回の採取するのは体力回復草。クエスト受注時にどんな薬草かを説明されはしたが採取出来る場所に関しては調べるのも冒険者として大事なことと言う事で教えてはもらっていない。


(森まで行くクエストではないため恐らく街周辺に生えてはいると思うのだが・・・薄い緑色した草・・・お?これか?)


見ると薄く緑色の高さ10センチくらいの草が生えていた。間違いなくこれだろう。

生えている同じ薬草を摘み必要分摘み終えたため少し森の方へ向かっていく。とは言っても森の入り口付近までに留め辺りを散策する。

しばらく散策していると遠めではあるが冒険者のパーティーが魔物と戦っていた。


(俺も、もうしばらくしたら魔物と戦う日が来る・・・その時に俺はちゃんと剣を振り切ることが出来るだろうか・・・)


先日まで平和な国で過ごしていた自分だ。命を摘み取ると言うことに抵抗や迷いはどうしても出てしまう。

決めたはずの決心が一瞬揺らぐ。小説やゲームなら主人公はもっと素直に受け入れているのに自分はこんな調子だと苦笑してしまう。


そんなことを考えているといつの間にか観察していたパーティーは討伐を終えてすでに見えなくなっていた。恐らく他の魔物を探しにいっているのだろう。


(魔物との戦闘も観察を出来たし帰るか)


そう決め再び街へと戻っていった。ギルドに戻ると先ほどの受付嬢のところへ行きクエスト達成手続きを完了させる。


「ではこちらが報酬の銅貨20枚になります。次のクエストもがんばってくださいね」

「ありがとうございます。それとすみません。この辺りで街全体の地図みたいなのとか魔物の図鑑を売ってあるところってありませんか?」


報酬を受け取ったあと俺は受付嬢に街の地図と魔物の図鑑を販売しているところがないか聞いてみることにした。


「ええ。ギルドでも販売しておりますし街の雑貨屋でも販売しております。お一つに付き銅貨10枚頂戴致しますがよろしいですか?」

「じゃあ、お願いします」


代金を渡し代わりに地図を受け取ってギルドを後に現在俺は街を歩いている。

街は活気に満ち溢れており少し賑やかすぎるくらいだがなんだかお祭りのようでこっちまで楽しくなってくるようだ。


「しっかし、滅茶苦茶広いなぁ。一日じゃとても回りきれない広さだわこりゃ」


今俺が言ったようにこの街は本当に広い。そしてその分街には沢山の商業施設やら店がある。

例えばこの街は中心部は貴族が住むような裕福層向けの家が立ち並びその周辺は一般の家が立ち並んでいる。

そして冒険者ギルドの反対側には商会支部がありそこでは現代で言う不動産屋なことや商売をする際の物流などを取り扱っている。

あとは人材派遣ギルドというのが冒険者ギルドの横にある。そこでは主に街中での仕事の斡旋をしている。冒険者のように命の危険が常にあるようなのではなく主にどこかのお店の仕事の手伝いや街の中のゴミ拾い等が主な仕事だ。

教会や騎士団の詰め所などもあり街というよりは国に近い形だった。そんな街に住んでる人や兵士の人たちに聞く所によると王国の主要都市はどこも似たような規模らしい。

世界について知ろう知ろうと思っていたが少し後回しになっていたが元々今日は時間もあるし拠点に帰ってゆっくり調べることにした。

そして粗方大きな建物の見て回り世界について書いてる書物を買って拠点へと戻った。


書物を読んで判ったことは

この世界「アルフォンド」はとてつもなく広い大陸であることが判った。判っている土地だけでも地球の2倍の面積となっている。

そしてそんな世界には現在「人間族」「魔族」「エルフ族」「ドワーフ族」「獣人族」「竜人族」が住んでいる。

それぞれが国を統治し国交も盛んであり、また、そんな大陸の中心には中央国セントラルと呼ばれる多種族統治の国がある。


「これはまた世界を見て回ろうと思ったけどかなりの時間が必要になりそうだなぁ」


当面は今の街で冒険者としてのノウハウを覚え行く行くは世界を旅をするつもりだ。これは来た時から決めていることではある。

だが、世界を回るということは絶対に争いからは避けられないだろう。

そこでまた手が震えてきたが気持ちで押さえつける。時間を見るといい時間だったのでそこで切り上げ夕食を食べに宿に戻ることにした。



それから1週間が過ぎ俺はクエストをこなし宿に戻るという生活を続けてきたが昨日、ようやくランクが上がり俺のギルドカードが緑色へと変わった。

今日からは討伐系のクエストも受けれるようになりついに俺は魔物退治クエストへと挑戦することにした。


「では、魔物討伐に関してのご説明をさせて頂きます。まず、魔物を倒したあとに魔結晶という欠片が出てきますので忘れずに回収して下さい。その欠片をこちらに持ってきて下されば買取をしますので。それではガロン様討伐頑張って下さい。」


受付のお姉さんはそう言って手を振ってくれた。俺はそれに軽く手を振って答えギルドから出る。

街道を抜け少し歩いた先に森の入り口が見えてきた。この森は俺が拠点を置いている森とは少し場所が違う場所だ。

そして森に入りしばらく散策しているとお目当ての魔物がチラリとサードアイで確認が出来た。

ゴブリンだ。ゴブリンはまだこちらに気が付いていない。

マジックサーチも使い周囲にゴブリン1体以外いないのを確認し改めて標的を定める。

大丈夫だ。上手くやれる。

そう自分に言い聞かせ愛剣を取り出しゴブリンへと一気に駆け寄る。

物陰からガサッという音が聞こえたからかゴブリンが音の鳴った方向へ首を向けた――刹那、ゴブリンの首を斬りおとす。

悲鳴を上げる暇さえ与えられなかったゴブリンはそのまま首と胴体が分かれ胴体からは緑色の飛沫が出てドサッと倒れるが倒れたあとも飛沫はしばらく収まらずに飛び続ける。

そんなゴブリンの最後を俺は魔結晶が出るまで見続けた。それが義務であるかのように。いや、これは義務だ。自らの行いに対する責務とでも言うべきか。


俺はこの日、初めて人型の魔物の命を奪った


手が震える。魔物とは言え人のような形をした魔物の命を奪ったのだ。断末魔さえあげられず自分の命がなくなったのも判らずに死んだ。

そして脳裏にあの瞬間の光景が蘇ってくる。気持ちが悪い。胃の中のものがこみ上げてくる。

俺は我慢が出来ずに近くの木に手を付き嘔吐した。そして胃の中のものを全部出したような疲労感に襲われる。

しばらく疲労感に襲われた俺は魔結晶を回収し喉が渇いているのもありアイテムボックスから疲労回復ポーションを取り出し一気に飲み干す。無駄にソーダ味。


少しだけ落ち着いてきた。そしてクエストの討伐数を見ると3体の内1体討伐済みとなっている。

あと2体・・・しかし、ここで泣き言を言っても討伐が達成されるわけではない。まだ吐き気は残ってるが覚悟を決め再び散策することにした。

あれから程なくしてゴブリンを2体倒した。倒す度に気持ち悪くなるがなんとか吐かずに済んだのは僥倖だろう。

そして討伐を終えギルドに戻ると受付のお姉さんが笑顔で迎えてくれた。


「お帰りなさいガロン様。初めての討伐は如何でしたか?」

「只今戻りました。えぇ、初めてだったもので気持ち悪くなって見せられない感じな状態になりましたよ。ははは」

「あらあら、大変でしたね。討伐を初めてされる方は皆それを経験しています。気持ち悪かったでしょうけどその初心の気持ちを忘れないで下さいね。ところで今日は何体ほど倒されたのですか?」

「えっとですね。今日は3体すべて倒してきました。あ、これギルドカードと魔結晶です」


そう言って俺はギルドカードと魔結晶を差し出すと受付のお姉さんは少しだけビックリしていたが笑顔に戻り


「まあまあ!初めての討伐で3体すべて倒すなんてすごいじゃないですか。それでは魔結晶の買取で少し色をつけさせて頂きますね」

「え?いいんですか?」

「ええ構いませんよ。初日で3体も倒されたガロン様へのご褒美です」

「そういうことでしたら頂きます。ありがとうございます」

「ふふっ、これからもクエスト頑張って下さいね。それでは、銀貨30枚です」


差し出された銀貨30枚を俺は袋に入れて最後にもう一度だけお礼を言い宿に戻ってきた。

部屋に入るや否やベッドへと向かいうつ伏せになりながら今日のことを思い出す。

そして今日は食事は取れないなと思いながら目を閉じ意識を沈ませていく



そして目が覚めると辺りはすっかり暗くなっており自分がかなりの時間眠っていたのだろうと状況を理解する。

ベッドから起き上がると汗でびっしょりと体が濡れていた。それもそのはずだ。あんな夢を見たのだから。

あれはすごく嫌な夢を見だった。真っ暗な空間に一人佇んで身動き取れずに目の前でゴブリンの体が飛び散っていき部屋が緑の色で塗りつぶされていく光景をずっと見せられるという夢だった。

一度頭を左右に振り気持ちを切り替えようとするが中々気持ちを切り替えることが出来ない。それに喉も少し渇く。


「気持ちを落ち着かせて向き合わないとな・・・少し街に出て頭冷やしてくるか」


そう自分に言い聞かせながらすっかり夜の街へと変わった街を一人歩き出した。

少し通りを歩いていると居酒屋的な場所以外で開いている店はほとんどなかった。さすがにこんな気持ちで賑やかな所へ行く気にはなれないのでもう少しだけ歩いたら宿に戻り拠点で酒でも飲もうと思っていたら一人の女性が声をかけてきた


「お兄さん、こんな場所で何をしているんだい?」


歩みを止めて辺りを見渡すとそこは娼館が並んでいた。まさか気が付かないままこのエリアまで来てしまったとは思っていなかったのだ。


「すまないな。考え事をしていたらこっちまで来てしまっていたようだ」

「そう?考え事と言うよりは悩みって感じだったけど」


ガロンは内心で驚いた。まさか自分が悩んでいるってことに気が付くとは思いもよらなかたのだ。

そして声を掛けてきた女性の次の言葉さらに驚くことになる


「貴族さんが一人で来ることはないだろうしお兄さん冒険者かね?お兄さんくらい格好良い人なら女性関係なんてことはなさそうだし精神的な何かかね?」

「驚いたよ。まぁ、確かに精神的なことだな」

「ふ~ん。じゃあさ、お兄さん私のお店に来て見ない?お酒でも飲みながら愚痴でもなんでも聞いてあげるからさ」


そう言って女性は腕を組んで自分の店へと案内しようとする。


「ちょ、ちょっと待ってくれ。確かに悩んではいたが君にそこまで「アリーシャ」・・・え?」

「私の名前よ。アリーシャ。ねえ?お兄さんの名前は?」

「・・・・ガロン」


少し戸惑ったがこの女性には魅かれる面がある。改めてみても髪は水色でウェーブのロング。服も髪の色と同じ水色のワンピースに胸元は見せ付けるかのように大きく強調する胸をしている。

腕に押し付けられ少し胸が苦しそうに形を変えているがこっちとしてはその弾力が気持ちが良すぎてどう反応しようかと別の意味でも悩みが出てきてしまった。


「ふふっ、ガロンさんも男ね。悩んでいても元気になってる♪」


今なら彼女がサキュバスとか言われても信じてしまいそうだ。それほどまでに彼女が誘っているのではと勘違いをしてしまう。

悶々とした気持ちのまま彼女に連れられ一角の娼館に到着する。

そこで彼女はフロントのボーイに声を掛け二三言葉を交わし再び俺の腕を取り階段を上っていく。

最上階へと向かうとそこには大きな扉があり鍵を開けると彼女は俺を呼び中へと案内した。中には机と大きなベッドそしてソファーと化粧台とクローゼットがありそこが彼女の生活兼仕事場なのだと一瞬でわかった。


「それじゃあ、ガロンさんはソファーで寛いでて?飲み物はこの紅酒でいいかしら?」

「あぁ、構わないよ」

「じゃぁ、これと・・・んー・・・これ」


彼女は2個グラスを用意し紅酒ともう一本白酒を持って俺の横に密着するように座りグラスに紅酒を注いでいく。


「じゃぁ、ガロンさんと出会えた記念にまずは乾杯」

「乾杯」


グラスを綺麗にチンと鳴らすと俺はその紅酒を半分ほど飲んだ。

紅酒は見た目からワインだなと思っていたらなんと味までワインだったので少し驚いた。となると白酒もおそらく白ワインだろう。


「おいしい」

「良かった。このお酒他のウチで働いてる女の子に飲ませても苦いとしか言わないから私だけがおいしいと感じてるのかって思っちゃってたわ」

「確かに飲みなれていないと苦いと思うかもしれないな」

「あら、その口ぶりだとガロンさん飲んだことある口?」

「あぁ、この街に来てからは飲んでないけど飲んだことあるよ」

「へぇ~。あ、詮索とかはしないから安心してね?私としてはこうやってこのお酒を知ってる人が居てくれて嬉しいんだから」


そういって彼女はワンピースから見える白い足を俺の足と絡ませてきた。


「さっきも言ったけど愚痴なら聞いてあげるわよ?どうする?」

「そうだなぁ。酒の勢いで愚痴ってもいいんだけど・・・」

「ふふ、ガロンさんのココ辛そうだものね?私としてはそっちでもいいけど?」

「後悔するなよ?」

「あら、私を後悔させること出来るかしら?」

「その挑発受けてたとう」


アリーシャと何度も口付けをしながらベッドへと運び激しく何度も何度もアリーシャを俺は求めた。


「それで?ガロンさんは何に悩んでいたの?」

「ん?そうだな・・・俺はこの街へ来て初めて冒険者になってな。で、昨日ランクが上がって今日は初めて討伐をしたんだ。そこで初めて魔物を3体倒したんだ。魔物と言っても人型のゴブリンだった。人型だってのもあってな・・・

倒したあと情けなく吐いて手が震えた。そして宿に戻ったあと寝ているとひどく酷い夢を見たんだ。で、夜風を浴びながら散歩してた所にアリーシャと会ったわけって所だな」


彼女は俺を膝枕しながら俺の独白を聞きそして頭を撫でた。


「貴方は悪くないわ。相手は魔物。放って置けば街に来て被害が出たかも知れないわ。月並みな言い方だけど貴方は街の危機を救ったのよ。」

「はは、ゴブリンだったけどな。少し大げさすぎる気もするよ」

「いいえ。大げさでも何でもないわよ。確かに騎士団の人や他に冒険者は沢山いるわ。そしてその人たちも沢山倒しているかもしれない。

でも、それは貴方だってそうよ。貴方が倒したからこそそのゴブリンたちに街を襲われることなんてなかったのよ」


それを聞いて俺は彼女の言いたいことが伝わってきた。力を持たない人たちを貴方だって守ったんだ。それは誇っていいと


「そうか、俺は人を守ったのか・・・」

「ええ、貴方に守られたからこそ私は今もここにいる。それが全てよ」


そう言ってアリーシャは優しく髪を撫で笑った。

その顔を俺は眺め、目が合ってしまい赤面しているのを誤魔化すために目の前のたわわな胸を揉んだ。


「あんっ、もう、悪戯っ子なんだから」

「すまないな。アリーシャに顔を見られてると照れくさくてな・・・」

「仕方ない子ね。ねぇ?まだ朝まで時間はあるわ。だから・・・んちゅっ」

「今度こそ後悔させて見せる」

「ふふっそれは楽しみね」


そしてまた激しく求めあう中で俺は顔を知らない人たちを守ったという実感は沸かないがそれでも、今目の前に居るアリーシャを守れたのなら俺は勇気を持って力を振るえるだろう。

なお、結局朝まで求め合ってアリーシャの方が一枚上手だったようで彼女の口から「また次も頑張ってね」と言われてしまい次は勝つと心の中で誓ったのだった。


異世界さんこんにちわ~不死王だけど元人間です~ 第3説「クエストと魔物」

次回の更新は来週の火曜日を予定しています

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