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ドーピング  作者: 銀槍
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まどろみの

 

「シ・・・シンさ・・・め・・・・て・・・・・」


まどろみの意識の中、僕は、誰かに呼ばれている気がするが、

意識がどうも、ハッキリしない。


やがて頬に水が当たる感覚を覚え、雨でも降り出したかとも思ったが、

どうもそうではないらしい。

やがて少しづつではあるが、意識が目覚めつつあると、

僕はようやく目を開ける事ができた。


目をゆっくりと開くと、ぼやけた視界が目に映る。

やがて誰かが、僕の傍に居るのが判ると、その人物が誰なのか確認するために

なんとか目だけを動かす。

すると僕には、その人物が誰なのか判り、言葉を掛ける


 「マリー・・どうし・・て・泣い・・てい・・るの?」


その言葉を聞いたマリーは、更に涙を流す。

その涙が、まだ満足に動く事が出来ない、シンの頬に当たる


 「ごめんなさいシンさま、わたし気が付かなくて、わたし・・シンさまがこんなつらい目にあっていたのに、なにも・・・なにも出来なかった」


マリーが、気が付かなかったのには理由がある。

メイド長が、旦那様がシンの事を粛清すると聞いて

マリーにも危害が及ばない様に、わざと仕事を押し付けたのである。


 「僕と・・し・ては・・マリー・に迷惑を・掛けな・・く・良かったよ」


そう伝えると、また意識を失った。


シンの身体は、神の血の力によって修復・強化が行われている。

現に強化によって、幼稚言葉から卒業している。


 「シン様 シン様しっかりして下さい、しんじゃいや」


マリーが話しかけるが、シンはピクリとも動かない、やがて空から雨が降り始める


 (いけない、このままではシン様が)


彼女は大事なものを扱うかのように、シンを背中に背負うと、

メイド長に教えられた場所まで、移動を開始した。


そんな二人を、遠くの木の上から見つめる、ひとつの影があった。


其処は何処なのか誰にも判らない、霧が立ち込める中をただ一人シンは歩いていた

 

(此処は何処なのだろう、夢なのか、それとも死んだのだろうか)


シンがそんな事を考えながら歩いていると、霧の中にぼんやりと、

一人の人影が見える。その場所を目指して歩いて行くと、そこには

小さな椅子に腰かけながら、釣りをしている一人の老人がいた。

老人は、シンが傍に来たのが分かると、


「 ほー魂だけのアストラル体とはいえ、この次元まで来る者が居るとはのー」


老人は少し驚いた様にシンに向けて言いました。

シンには老人の言っている事がさっぱりわからず、


「お爺さん、僕は死んでしまったのでしょうか」


そうシンが質問すると、


「お前さんは、まだ死んではおらぬよ 此処に居るのが良い証拠じゃよ」


カッカッカッと笑いながら彼に話しかけます


 「此処は一体何処なのですか」


「ふーむ、今のお前さんに説明しても、判らんじゃろうしのう」


顎に手を当てながら、考え込むお爺さんに、僕は質問を変えた


 「お爺さんは、此処で何をしているんですか」


 「待っておるのじゃ」


 「何を待っているのですか?」


 「ふむそれはじゃな・・・・・


お爺さんの言葉を聞いてる時、いきなり後ろに引っ張られる力が働き、

シンは前に倒れながら、後ろに引っ張り続けられる。


 「ちょ・ちょっと何これ」


シンはどんどん後ろに引っ張り続けられ、お爺さんとの距離が開いてゆく

やがてシンの姿が完全に見えなくなると、老人は、


「ようやくまいた種が芽吹いたか」 と呟いた。


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