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ドーピング  作者: 銀槍
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青竜の猛威そして消滅

シンは魔力と体力の温存の為、出来るだけ戦闘を避ける為に、『ステルス』の魔法を掛け、40階層から上を目指す。目指すは90階層にある 再生の実 先は長い。

ステルスの魔法のおかげと迷宮の構造は100階層まで憶えていたので比較的楽に75階層まで来る事が出来たが、76階層以降からステルスの魔法を掛けていても、シンの存在に気が付く魔獣が多くなり、進撃スピードが格段に下がり、83階層の辺りまでくると、転移 の魔法が使えないほど魔力が減ってしまう。それだけ魔獣の力が強くなっている証拠だが、シンは後ろから追いかけてくる魔獣を気にしつつ記憶にある魔獣が寄り付かないエリアまでユニコーンをひたすら走らせる。


何度も魔獣に迫られそうになったが、ギリギリ安全エリアまでたどり着くと、シンを襲っていた魔獣はシンにはもう興味が無いとばかりに迷宮の奥に消えていった。


ユニコーンを降りヘナヘナと倒れ込むシン

迷宮の構造を調べ上げた先人達に感謝しつつ、そのまま眠りについた。


次の日、魔力が完全に回復しているのを確認すると『ステルス』の魔法を自らに掛けると、再度迷宮の上を目指して動き出した。


(マリーの怪我を治したい)


ただそれだけの為に


力を増してきている魔獣に何とか苦戦しつつも、索敵の魔法で魔獣をいち早く発見し、長距離から迷宮の本に載っていた魔獣の弱点を攻撃する戦法でなんとか対処していたが、この攻撃方法は、結構精神を消耗するらしく、90階層を目前とした89階層で魔力よりもシンの精神がまいってしまい、再び安全エリアに入った途端に眠り込んでしまった。それから数時間後、お腹の音で目を覚ます。


(そういえば迷宮に入ってから、あんまり食べてないや)


ユニコーンの台車に行き、食料が入っている袋から干し肉とパンを取り出し、近くから湧き出ている清水をコップですくうと食事を始める。パサパサのパンを水で胃袋に押し込み、干し肉を齧る。

食事としては味は上手くはないが、迷宮ではお腹が一杯になるだけでも幸せな気持ちになる。


食事が終わり、装備品と魔道具の調子を確認したが、ほとんど被弾もしていなく、ヤバそうな魔獣に遭遇しそうになったら、迂回して闘いを避けていたのでほとんど破損していなかった。いかに早く周りの情報を得る事が大切かという事が骨身にしみて理解するシン。


ユニコーンに跨り、最短ルートで90階層を目指す。そして遂に90階にシンは到達した。

90階層は森林の階層であり、迷宮の床には、外の世界と変わらない川が流れ、土が敷き詰められていた。


(これでマリーの怪我が治せる)


はやる気持ちに後押しされ、ユニコーンを一気に走らせる。

すると突然索敵の魔法に巨大な何かが引っ掛かった。詳しく調べてみると、30メートルほどの大きさをした全身が青い鱗に覆われ、巨大な翼を背中から生やし、頭の額から巨大な一本の角の付いたドラゴンがいた。


(ダメだ、こんな相手に勝てる訳がない、それに迷宮の本にはこんな魔獣は載って無かった筈だ)


突然の事態に戸惑うシンだったが、恐怖心からか直ぐに回避行動に移る。シンの動きを察知したのか凄い速さで青竜が飛行しながらシンに迫る


(なんで?、ステルスの魔法は掛けているのに、まさかこの距離で気付かれたのか)


シンが考えてる間にも青竜はシンに近づき、シンの目の前でその巨体を着地させる。

シンと青竜の目線が会うと、その恐怖で


「嫌だ―――――――――――――――」


と叫び声を上げてユニコーンを走らせる。シンの魔力に反応してユニコーンが走る速度を上げる。

青竜の脇を抜けて一気に離れようとするが、青竜がそれを許さなかった。後ろの尻尾を振り上げてシンに叩きつける。叩きつけた衝撃でユニコーンと台車がバラバラに砕け飛ぶが、其処にシンの姿は無かった。

次の瞬間、シンは青竜の後ろ100メートル程離れた場所に現れる。青竜の攻撃が当たる直前に『転移』の魔法を発動してその位置まで瞬間移動したのだ。


向きを変えて、シンの姿を確認すると、大きな翼を広げて飛翔する青竜。

しかし先程の飛行とは違い、青い光の粒子を撒き散らしながらシンに迫る。

青竜が発する巨大な翼の強風が青い粒子と共にシンを包む。


シンは直ぐに『転移』の魔法を発動しようとするが、魔法が発動する事は無かった。


(魔法が発動しない?、何で?、どうして?)


疑問に思っている暇も無く、青竜が口から青白い炎をシンに向けて吐きだす。シンは炎が迫る直前に『飛行』及び『結界』の魔法を発動して右斜め上へと飛翔して逃げるが、炎の一部が結界に当たり、結界は数秒、青白い炎の攻撃を凌いでいたがその後あっさりと破られ、結界によって弱められた炎がシンの左半分を掠める。かすっただけなのに、ゴーレムの鎧はボロボロと崩れ、シンの身体から離れていった。


どうやら炎を吐いた後には一定のタイムラグがあるらしく、青竜は数秒の間だが動きが止まった。

その間、シンは自分の手元に残った只一つの道具である魔道具に魔力を込めて、10メートル程の巨大な魔法剣を作り上げ、青竜に斬りかかると同時に『解析』の魔法を発動して青い粒子を調べる。


「うわ――――――――――――」叫び声を上げて青竜の左腕に斬りかかるシンだったが、ガキンという音と共に、シンの攻撃は青い鱗で完全に防がれてしまった。


<空間に干渉して、転移魔法を阻害する働きがある>


(だから転移魔法が発動しなかったのか)


そんな一瞬の思考が仇となった。


青竜は攻撃された左腕を振り抜きシンを弾き飛ばした。強烈なスピードで後ろに弾き飛ばされるシン。


『エアボール』


魔法を発動して衝撃に備える。弾き飛ばされた先には木々が存在しているので、背中から木々にぶつかる。直径40センチはある木を10数本破壊しながらもその勢いは衰えず、地面に激突してようやく止まる。地面にはシンが衝突し、通過した際に出来た溝がハッキリと残っていた。


エアボールの魔法を以ってしても完全には衝撃を殺す事が出来ずに木を背に仰向けに倒れているシン。

何とか意識はあるが、衝撃で直ぐには身体が動かない。


そんな隙を青竜は見逃さなかった。

再び大量の青白い炎を吐きだし、シンに炎の全てを向かわせる。大量の炎を前になんとか身体を動かそうとするが、痺れて少ししか動かす事が出来ない。そんな中シンの身体が青白い炎に包まれた。勝利を確信し、炎を吐きだし続けながら、シンの居た場所を見つめていた青竜だったが、青白い炎の流れの中に一つの人影が有る事に気が付いた。


『多重結界』


シンは魔法を発動し続けていた。普通の結界でも数秒は炎の力に耐える事が出来る。ならば結界を複数展開し、破られたならば直ぐに補充すれば耐えられる。ただ魔力が続けばの話だが。


(マリー…ごめんね、君の怪我治せそうにない、約束守れなくてごめんね)


シンの左目から一筋の涙が流れる。死を前にしての恐怖の涙か、マリーを救う事が出来なかった悔しさからなのか、シン自身にも判らなかった。


シンの脳裏に、生まれてからの楽しかった事、悲しかった事、辛かった事が鮮明に蘇る。


矮小な人間の分際で、自分の攻撃に耐えている者に対して青竜は怒り、吐く炎の量を増やす。増やされた炎は青白い色から限りなく白い色に変わり、力を増し、シンに迫る。力を増した炎は、易々と複数展開していた結界を破り、シンに襲い掛かり飲み込んだ。


青竜が炎を吐き終えた時、青竜の前には、焼けただれた大地以外に何も無く、シンの姿は何処にも居なかった。


青竜は勝利を確信し、天へ首を向け、勝利の咆哮をあげた。


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