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ドーピング  作者: 銀槍
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迷宮攻略中

迷宮内部に突入して三時間近くが過ぎようとしていた。迷宮内部は明るく、10階層には人口の太陽の様な物まで存在していた。現在シンは19階層半ばの通路の上で、魔獣に攻撃を加えていた。だがシンの目の前に魔獣の姿は無かった。


シンは広範囲の索敵の魔法を発動しつつユニコーンを走らせていた。その結果、長距離からの魔獣の探知に成功しており、火炎弾の魔法を発動し、火炎弾を魔獣の元まで誘導して魔獣を倒していた。それでも倒せない相手には、魔道具から細い魔法の糸を作りだして、魔法糸を魔獣まで伸ばして魔獣を切り刻んで倒していた。


そして遂にシンは20階層に到達した。


20階層は調味料のエリアで、例えば塩の山や油の池、砂糖の山等、多数の調味料が存在している。しかも幾ら採っても無くなる事が無い。だが殆どの調味料がこの迷宮を出る事が無い。何故なら胡椒が一番高く取引されるからだ。その次に砂糖だが、その二種類くらいしか迷宮から運び出されていない。故にこの世界では塩と胡椒を使った料理しか発達していない。


シンは20階層を慎重に進む、シンが求める物がここに在るかもしれないのだ。


(確か迷宮の本によると、この辺りの筈なんだけどな)


シンが探索の魔法を使い辺りを調べて、遂に目的の物を発見した。


「あったー醤油だー」


醤油のある場所にユニコーンを走らせ醤油の池の前で止まり、予備の水筒に醤油を入れて、ついでに味噌の沼から味噌を少し回収して20階層を出る。


更に二時間後、32階層に続く長い通路の上に、索敵の魔法に冒険者と魔獣反応を確認したシンだったが、32階層へはこの道を通らなければ進む事が出来ないのでどうしようかと考える。


(今闘っている冒険者が良い人とは限らないから、決着が付くまで暫らく隠れて食事でもするか)


通路の脇にある行き止まりの道を奥の角まで進み、周りから見えない事を確認すると、ユニコーンを降りて台車に入れてあった保存食の干し肉とパンと水筒を取り出してから、腰を下ろして食事を始める。

商会で買った干し肉とパンは、保存が目的の為かパサパサし硬くて食べずらくて何より味が単調なので直ぐに飽きる。


台車から醤油と味噌を取り出し、パンに味噌をつける


(久しぶりの味噌だ、さぞかし美味いのだろうな)


パクリとパンと味噌を一緒に齧り、口の中で数回、咀嚼する。


「うん、不味い」


(こんなことなら10階層でキュウリでも採ってくれば良かったな)少し後悔するシン


次にパンに醤油を漬けて一口齧る


「うん、クソ不味い」


口の中が気持ち悪くなってきたので、水を口に含み洗い流す。


「あ―――気持ち悪くなってきた」


ゴロンと床に寝そべり身体を休めるシン。少しの間そのまま休んでいると、冒険者と闘っていた魔獣の反応が無くなった。


やっと終わったかと思い、出発の準備をしていると、闘っていた冒険者に今度は別の冒険者が襲いかかってきた。


(嫌だねえ、自分のレベルアップの為に他人を殺そうとするなんて最低だね)


それでも襲われている冒険者を助けず戦闘が終わるまで待つ事にしたシン。しかし、20分経っても決着がつかないので、いい加減イライラしてきてた。


「お前ら何時まで待たせるんだ、もう我慢出来ん。」


ユニコーンに跨り、素早く出発すると魔法を発動する。『結界』を発動して周囲に見えない壁を展開し、次に『重量操作』を発動して自分とユニコーンの体重を重くする。ユニコーンに少し多めの魔力を注ぎ込む。ユニコーンがシンの魔力を受けて更に加速する。そして戦闘している冒険者達の中に突っ込んで行く


「うお――――――――」


「喰らえ、必殺」


シンの突入で次々とユニコーンの前に展開された結界にぶつかり弾き飛ばされる冒険者達


「当て逃げ」


冒険者達を弾き飛ばしつつ、そのまま一気に通路を駆け抜けるユニコーン

通路の先には長い長い坂道が続いている


「今の僕は誰にも止められないぜ」


物凄い速さで坂道を登るユニコーン

数分で坂道を登りきると、今度は下り坂になる。下り坂なので更に加速するユニコーン。流石に少しスピードが出過ぎたのでスピードを落とそうとするが……


「ブレーキがない」


「ブレーキ、ブレーキはどこですか」

ユニコーンの外装を見回すが何処にもブレーキレバーらしき物は無く、取っ手を手前に引いて


「どう、どう」と本物の馬の様にやってみるが、ゴーレムなので止まらなーい、止まらなーい。


(魔力切れば止まるんじゃね)、と気が付いたのでユニコーンへの魔力の供給を止めると一瞬でユニコーンの四肢がピタッと止まり、迷宮の床と四肢が弾け会ってユニコーンが跳ね上がる。今、迷宮の床と接地しているのは台車の車輪のみなのでコントロールが出来ない。そろそろ下り坂が終わりに近づき、下り坂の先には迷宮の壁が迫る。


(空に浮かべは止まるんじゃね)と気付いたので『浮遊』の魔法を発動すると、ユニコーンがふわりと宙に浮かぶが、慣性の法則で若干勢いは落ちたが、前に進んでいるユニコーン


「やったー成功だ」


斜めに持ち上がったまま浮遊の魔法を使ったので、天井しか見えていないシン

すると31階層の天井の一部分に直径10メートル程の穴が開いているのに気付いた。


(あれ?、こんな穴、本に載ってたかな)


興味が有ったので、浮遊の魔法から飛行の魔法に切り替えて、その穴の中に入って行く。穴は一直線に伸びていたが、危険が有るかも知れないので、ゆっくりと上昇していたが1キロ程進んだら、上の方から光が差し込んできた。光の先には広大な平野が広がっており、どうやらこの穴は落とし穴として作られた物の様だった。


索敵の魔法を広範囲に展開して、調べた地形と迷宮の本に載っていた地図とを頭の中で見比べてみると、どうやら此処は40階層らしいことが判った。幸い目的の黒水晶のある場所は、目と鼻の先に在り、ユニコーンを走らせるが、突然30メートル先に二頭のレッドグランドドラゴンが現れた。索敵の魔法の範囲内からいきなり発生したので、多少は驚いたが、直ぐに『振動波』の魔法を発動して二頭に喰らわせるが、二頭はほとんどダメージを受けずに一直線にシンに迫る。


シンは『浮遊』の魔法を発動する


ただし、自分にでは無くレッドグランドドラゴンに発動させる。浮遊の魔法を受けて二頭が宙に浮く。二頭は、バタバタと足を動かしてもがくが、宙に浮いている為意味がない。二頭の尻尾に魔法糸を巻きつけて風船の様に引っ張るシン。落とし穴の上まで二頭を誘導すると、浮遊の魔法を解除する。

魔法を解除された二頭は、重力に従って穴の中に消えていった。この戦法で後10頭程仕留めると黒水晶の谷に到着した。谷の両側が妖しく光る黒水晶が聳え立ち、真ん中の道を進むシン。暫らく進むと左側の谷の天辺から突き出た黒水晶が見える。


(あの突き出た場所を切り取って持って帰るか)


『振動波』


黒水晶が伸びている付け根付近に数回魔法をぶつけると、長さ5メートル直径1メートルはある黒水晶の柱が地上に向けて落下するが、地上にぶつかる前に『浮遊』の魔法を黒水晶の柱に掛けると、黒水晶は地上2メートルの所でピタリと止まる。更に魔法糸で黒水晶の柱を掴むと『転移』の魔法を発動する。黒水晶の質量が大きかったのか、魔力12000を消費して転移の魔法が発動してシンの姿が迷宮から消えた。


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