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ドーピング  作者: 銀槍
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王都へ

王都リムノス、迷宮を中心として半径三キロを城壁に囲まれた城塞都市で、その中には王宮、迷宮を統括する商業、冒険者ギルド、迷宮を探索する者や騎士を育てる魔法学校が存在している

王都には北、南、西、東、と出入り口があり、南の入り口にシンを乗せた馬車が通過しようとしていた

馬車にはローゼンハート家の紋章が付けられており、門番の兵士はその紋章を見ると馬車に駆け寄り、爺さんと一言二言言葉を交わすと、爺さんに敬礼をして馬車を通してくれる。


本来、王都に入るには、自らを証明する物と銅貨五枚掛る

自分を証明出来る物が何もないシンが王都に入れたのは、ひとえに伯爵家という貴族の力のお陰である


馬車は門を抜け、伯爵家の邸宅がある高級区へ向う

馬車に揺られながらシンは考える


(金貨を貰ったらどうしようか、取りあえず王都に居るマリーの家族に会って、お礼に貰った金貨を全部渡す事にしよう)


シンは知っていたのだ、マリーがどうしてシュタインベルク家に来たのかを

時々マリーから家族の事を聞いていたのだ

だからこそシンにはお金が必要だった、マリーにはとても優しくして貰ったから

ほんのちょっぴりシンがお金に執着する理由はその為だ


そんな事を考えてる内に、馬車は伯爵邸の家の前に着く

家の玄関の前にはアメリアの両親と数人のメイドが、馬車の到着を待っていた


「アメリア」


馬車が止まるなり、馬車の扉を勢いよく開け、アメリアの姿を探す両親

アメリアを見つけると彼女を抱きしめる両親


「ああ、良かった、本当に良かったアメリア」


「ぱぱ、まま」


両親は半ばアメリアの生存を諦めていた。普通の場所ならいざ知らず、はぐれた場所が魔獣の森だからだ、大人でも森の中で迷えば、完全に命は無いからだ。しかも加護を受けているとはいえ四歳の子供では生存は出来ないと考えていた 

そんな子供が無事に自分達の元に帰ってきてくれた、両親の喜びもひとしおだろう


(やっぱり美男美女の家族の再会は絵になるな、爺さんの時とは大違いだ)


目の前の光景に少し感動するシン、暫くその光景を眺めていると


「ワシらは邪魔の様じゃから、先に家の中に入るとしよう」


お爺さんに促され、屋敷の中に足を踏み入れるシン


「長旅で疲れたじゃろう、まずはお前さんが泊る部屋を案内させよう」


メイドに案内されて、自分が使う部屋へと案内されるシン

暫く部屋のベッドの上で休んでいると、部屋のドアがノックされ、ドアが開きメイドが中に入って来た


「シン様、お休みの所申し訳御座いません、夕食の準備が出来ましたのでこちらに」


メイドに連れられ食堂に案内される、食堂には十人が座れるテーブルと椅子があり、アメリアとその両親と爺さんが椅子に座ってシンを待っていた


アメリアの父親が立ちあがりシンの元まで来てシンの両手を握りしめ


「君がシンくんか、私はアメリアの父親のダールトン フォン ローゼンハート、この家の当主をやっている、アメリアを助けてくれて本当に有難う」


(うわー、この人美形だわー、将来は頭に毛が一本しか無くなるのだろうか」


「いえ、たまたま偶然助けただけです」


「だが、その偶然のお陰でアメリアは生きる事が出来た、本当に感謝している」


「はいはい、堅苦しい挨拶は其処までにして早く席に着きましょう、座ってからゆっくりとお話しましょう」とアメリアの母親


「おおそうだったな、シンくんこちらへ」


父親に案内されて、父親と対面する形で椅子に座るシン、

隣にはアメリアが座っている


「さてシンくん、お礼の件だが金貨二百枚でどうだろう、それと何か欲しい物が有ったら何でもいいから言ってくれないか」


「ではお言葉に甘えて一つだけお願いが有ります、僕は将来、薬草で生計を立てようと思っています、その為に身分を証明出来る物が欲しいのです、なんとかならないでしょうか」


「それなら商業ギルドで登録するといいだろう、本来なら五歳の子供が登録するのは無理だが、私が何とかしよう」


「本当に有難うございます」


「気にしないでくれ、登録は明日にでも出来るだろう、しかし君は本当に普通種・・・の五歳児かい? 私にはとても信じられないよ、まるで獣人種の子供並みの成長力だよ」


「そんな事を言われても困るのですが」


シンとしては、そう言って誤魔化すしかない、まさか前世の記憶があるなどとは言えないし


「ヨーゼフお爺ちゃん、ぱぱ、まま、おなかすいた」


どうやらアメリアのお腹は限界のようだ


「ゴメン、ゴメン、アメリア、早速食事にしよう」


メイドが次々と料理をテーブルの上に乗せる

出された料理は、焼き魚と塩と胡椒の効いた肉のステーキとサラダ、パン、豆のスープだ

どれもこれも高価な調味料をふんだんに使っており、流石貴族と言ったところか

だがやっぱりパンは固かった


食事が済み、部屋へ戻り、部屋に備え付けられているシャワー室で体を綺麗にし、ベッドに潜る

ベッドはふかふかで寝心地が素晴らしく、またたく間に眠りに落ちそうになってしまうが、有る事を思い出す


(奴だ、奴はきっと来る、王都までは二人っきりになる機会が無かったから現れなかったけど、奴にとってこれが最後のチャンスなのだから)



ベッドから飛び出し、枕と毛布を使って自分がベッドに寝ている様に偽装する

部屋のドアの直ぐ脇へ行き魔法を掛ける


『ステルス』


自分が見えなくなり、更に感じられないイメージを魔法に込める


(これで良し、後は運を天に任せるだけだ)


床の上に座って待つ事一時間、その時は来た

突如部屋のドアが静かに開き、奴が部屋に姿を現す、アメリアに乗り移った痴女だ

痴女は辺りを見回すと静かにドアを閉める、そして一気にベッドへと駆け寄る


『麻痺』痴女は魔法を発動する


シンを動けなくする為に魔法で体中を痺れさせる


「シンちゃん検診の時間ですよー さあ全裸になりましょうねー♡」


毛布をゆっくりと捲る痴女、だが其処にはシンの姿は無く


(あのガキー、やりやがったわね、といけない、いけない、私とした事がハシタナイ)


痴女は落ち着きを取り戻すと、部屋の中を調べ始める

まずはトイレ (いない) シャワー室 (いない)ベッドのいない


「クソガキャー どこへ行きやがった」


痴女が叫ぶと同時に部屋のドアが開きます

開いたドアの前に居たのは、アメリアの両親とメイドそしてシン

シンは最初に痴女が部屋のドアを閉める前に部屋をでて、ダールトン夫妻を呼びに行っていたのだ


「アメリアどうしたんだい、シンくんに迷惑を掛けてはいけないよ、早く部屋へ戻ろう」


「そうよアメリアちゃん、急に居なくなって心配したのよ」


(やってくれるわねシンちゃん)


若干悔しがる痴女、しかしすぐに反撃に出ます


「御免なさい パパ ママ シンお兄ちゃんと居られるのは今晩が最後だから、どうしても一緒に寝たくてつい部屋に来ちゃったの、一緒に寝ちゃダメ?」


若干目に涙を溜めながら父親にお願いする痴女


(女の涙に弱くならない男など居ない、例えそれが父親でも、この勝負もらった~)


(野郎やりやがった、これじゃ両親を呼んだ作戦が裏目に出ちまった、どうする)


直ぐに次の対応策を考えるシン、だがそんな心配も徒労に終わる


「ごめんねアメリア、我が家の決まりで非常事態を除いて未婚の男女が一つのベッドで寝る事を禁止しているんだ」


「へっ?」呆気にとられる痴女


「だからこれ以上シンくんに迷惑を掛けてはいけないよ」


アメリアの右手を父親がもち、左手を母親が持ち、呆然とする痴女を後ろ向きに引きずりながら、自分達の部屋へ連れていく


(危機は去った、ローゼンハート家の決まりありがとー)


ようやくシンは、安眠を手に入れる事が出来たのだった


次の日食事を済ますと、シンは屋敷を出る事をダールトン夫妻に伝える


「遠慮などせずに、もっとゆっくりしていっていいんだよ、それに魔獣の森まで送らなくていいのかい」


「はい、王都で少し用事がありますので」


(早く此処から離れなければ痴女にまた襲われる)


「そうかい、それは残念だ、ではこれを商業ギルドの受付に渡して貰えるかね」


ダールトンは一枚の紙切れをシンに渡す


「これは?」


「これには君に対しての商業ギルドの登録の許可と、約束の金貨200枚を報酬として渡すように指示する手紙だ、一応ギルドの方には昨日の内に君の事を伝えたが、本人確認の為の手紙と思ってくれて良い」


「わざわざ有難うございます」お辞儀をし、礼を述べるシン


「この程度の事、アメリアを救ってくれた事に比べれば大した事では無いよ」


「では失礼します」元気よく扉を開け屋敷を後にするシン



・・・・・・・・・三分後・・・・・


屋敷の扉が再び開く


「あのー、商業ギルドは何処に在るのでしょうか」

おバカなシンが其処に居た


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