1限目:1番の男
「井上、」
「はい。」
春、私は高校二年生になった。二年生にもなると進学クラスやらいろいろ分かれるわけで、、、いちお理系クラス入り。
担任の守茂先生は出席を取りはじめている。
回りは見知らぬ顔ばかり。一年生の時同じクラスだった人はえーっと、、、三人かぁー。
「加地、」
あっ、これ私。
「はいっ、」
至ってまじめな女の子なんです。
あー喉かわいた。友達もいないクラスだから疲れるよ。
ガコンッ
はーうめぇ。
私はまず昼休みジュースを買い、飲み干していた。
「まじ?」
ビクゥーッ!!
背の高い痩せた感じの男の子。
誰だか知らないけどそんな私の空き缶をみて一言。シカトしスタスタと教室に帰った。
教室内はとてもにぎやかではやく私も友達がほしい感じだ。
「よう、どうよ?」
ロッカーに教科書とりに行くと小・中・高と一緒の日高に話かけられる。こいつもこのクラスなんだ。
「どうよって、まだわかんないよ。」
「ふーん」
これ以上話すのが恐くてさっさと席に戻った。私はつまらない人間。そう思われるのが恐いんだ。
もともと私は友達が少ないし、親友と呼べる人物に出会った事もない。だから安易に話かけたりもしない。
「あっ一気のみ女。」
は?声の方を向くとさっきの自販機にいた男が。
同じクラス?げぇー最悪。
「あ、どうも。」
ここでも私は会話を遮断するように会釈をし、席に着いた。すると奴は斜め前に座る。
、、、朝出席をとった時は後ろ姿しか見えなかった。
出席番号一番の男は奴、井上だった。
「ねーさっき日高としゃべってたね?」
振り向きさらに会話が続く。
「あーおな中だから。」
「おな中って、もっと女らしい言葉使えよ。同じ中学ってよ。」
「あっすいません。」
すぐにチャイムが鳴り守茂先生がやってきた。男の子ってわからない。なんで私なんかに声かけるんだろう?
はーやっと長い一日がおわったよ。帰ろう。
「加地俺のかばんとってー」
きたよ。あいつだよ。井上だよ。
私は井上の机にぶらさがっているかばんをとると、教室の後ろのドアから今にも出ていきそうな井上めがけてかばんを放り投げた。
「おわっあぶねーな、おめーほんとに女か?!」
いちお井上はキャッチ成功。捨て台詞を吐き消えていった。
私も帰ろう。
私は高校まで自転車で通っている。片道30分の道のりを。
「帰るの?俺も。途中まで一緒していい?」
日高、、、私疲れてんの、知らない人と接しすぎて、、。
なんて本音は言えずもう少し疲れるはめに。
「健ちゃんと続いてんの?」
キタよ疲れる話題。
「別れた。」
「へー。どこまでやった?」
なぜ特に仲良くもない私にそこまでつっこんだ質問を?それはエッチとみなしてよいのですか?「、、、すべて。」
「まじ!おまえ大人だな!おれまだ。」
「、、日高彼女いたの?」「いっこ下なんだけどいいよね。恋愛っていいよね。」
「あーまぁ。」
「おまえら中3でくっついただろ?俺おまえらがラブラブなとこみたら羨ましくてさ。ようやく彼女出来たから大切にしたいんだ。」
「へー彼女さん大事にしてるんだ。へー。」
「まあね。」
と自慢げな顔をしている日高がちょっと笑えた。
「でもやっぱ健全な男なんでやはり一緒にいてもアノ事ばっかり考えてしまうんですよ。」
「っーかいっこ下って最近まで中学生だったんじゃん!」
「そうなんですよ。だからあなたに聞いてるんじゃないですか。」
「なるほどね。もしかして昼のどーよも健ちゃんとの事聞いてた?」
「まあね。まー初日じゃあんな答えになるわな。」
この人奥が深いよ。
自宅に近い十字路で日高と別れた。案外話すといい奴なんだね、あいつ。