音の鳴るほうへ
これだけでも楽しめますが、「オフィーリアのための塔」を読んでからですと、より楽しめます。
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『…止めよ。塔の建設を止めよ。
さもなくば、皆が散り散りになるであろう。』
ハッ!
「夢…?」
テントから外に出、見上げる空は未だ漆黒で、何も変わりなかった。
だけど私の脳内にはさっきの言葉が、脳内で巡り続けていた。
夜が明け、また同じ日を迎える。
労働者は塔の建設に勤しんでいた。
何気なく見上げた塔の先は、雲ひとつない青空で、降り注ぐ光が痛いほどでもあった。
休憩時間になり、アランの元へ水を運ぶ。
いつものように隣に腰掛け、昨夜の夢の話を何気なく話した。
最後まで話を聞いてくれたアランは、私の頭に土で汚れた手を乗せて
「怖かったな。もう大丈夫だ。」
と、優しく微笑みかけてくれた。
私は頬を赤らめ、それまで見つめていたアランの目を逸らした。
すると突然辺りは真っ暗闇に包まれ、雷鳴が轟き始めた。
地が震え、砂埃で視界が霞む。時折激しい光が視界を阻む。
周囲は逃げ惑う人々の悲鳴が飛び交う。
『汝、何故、我の啓示を無視した。
これは報復だ。』
塔よりも遥か上空から声が聞こえる。
今、この啓示を皆に知らせたら、崩壊は止まるかもしれない。
「みんな、聞いて!!」
しかし、周りの人たちは私の声になど耳を貸さず、必死で逃げ惑っていた。
すると私の元に、今にも破片が直撃しそうになっている。
私は恐怖のあまり脚がすくんでしまい、動けない。
「オフィーリアー!!!!」
アランは叫びながら私の元に駆け寄り、強く抱きしめた。
「ありがとう、アラン」
私も力強く抱きしめた。
アランが何か話している。しかし、アランの口元と、発する言葉が違って聞こえる。
「ア…ラン?」
私を見つめながらずっと懸命に話しているアラン。
だけど、私にはもうアランの言葉は理解できない。
そうわかった瞬間、私の瞳から一筋の涙が流れた。
それでも、私は手を伸ばした。




