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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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「え? 魔力なんているかよ!」魔法を女の子のように扱って極大魔法を放つ追放令息、ハッタリとパフォーマンスで伝説の賢者となる

作者: seisei
掲載日:2026/04/15

「お前は追放だ」


 その言葉に俺は戸惑う。


「当たり前だろう。この魔法が絶対の世界で魔力が無いお前になんの価値がある?」


「いや、でも魔法は使えます」


 俺は懸命に言い繕った。


「しょせん、初級魔法程度だろ」


「いえ、少し時間がかかりますが、大きな魔法が使えるんです。やってお見せしますよ」


 俺がそう言うと、父の侯爵は、疑い深い目で俺を見ている。


「そこまで言うなら、見せてみよ」


 侯爵はしぶしぶながら俺の言うことを聞いてくれた。



☆★☆



「ブータよ。まさかそんな格好で魔法を使うつもりか?」


 侯爵が呆れて言う。


 何しろ俺は自分でもこれはダメだと分かる格好をしていたからだ。


 派手なローブ。長すぎるとんがり帽子。手には明滅する杖。


 どれも目立つことに特化させた特注品だ。


「はい。少しアレですが、これは俺が研究で得た最適解。魔法に俺を注目させるための、儀式様式なのです」


 俺は頭の固い親父にも分かるように説明する。


「馬鹿な。儀式魔法など聞いたこともない。魔法は魔力でねじ伏せて操る技術だ」


 親父の言うことは確かに一般に言われていることだ。


「お父上。魔法に魔力など必要ないのです。魔力は魔法を起動させるきっかけに過ぎないのです」


「馬鹿な。ならば魔力が無くとも魔法が発動してしまう。魔力量が貴族の価値のようなもの。お前は貴族制度そのものを否定するのか?」


 侯爵が目を怒らせて言う。


「そんなつもりは全くありません。魔法の特性を正しく理解しようとしているだけです。

 体制批判など俺ごときがするつもりはありません」


「何を言い出すかと思えば、危うい思想を持ち出しおって、お前の話など聞く耳は持たん。

 お前などどうせ派手なパフォーマンスをして目をくらませることでも考えていたのだろう。

 もう良い!」


 侯爵は、疲れ果てたと言う顔でその場を後にした。


 その背中が見えなくなってから俺はつぶやいた。


「親父、“目をくらませる”と言う部分は合ってるぜ」


 俺はそう言うと、魔法の詠唱を始めた。


 そう、これも魔法の目を騙すためのパフォーマンスだ。


 魔法は俺をじっと観察している。


 だって、こんなに派手なんだからな。


「魔法よ! 汝は、偉大なり!」


 俺は考案した、恥ずかしくなるような単語を大声で唱え始める。


 聞けよ


 聞けよ


 お前ら


 俺はここにいるぞ!


「火の大王よ。炎の嵐を顕現せよ!」


 俺は、何度も何度も「魔法」に呪文を唱え、理解させてきた。


 俺の最後のワードが空中に広がると俺が突き出した杖から、大空に向かって巨大な火柱が立ち上がった。


 それは、大賢者の放つ、極大魔法よりもはるかに強大な魔法だった。


☆★☆


 自室に戻った侯爵は、窓からブータの様子を見ていた。


 そして極大魔法が天に向かって放たれに。そのあまりの光景に彼は腰を抜かして床に座り込んだ。


「セバス。あれはなんだ?」


 老紳士がすっと現れた。


「はい。お坊ちゃんの魔法ですね。しかしあれは異常ですね」


 執事のセバスが目を大きく開いて言う。


「いや、おかしいだろ。魔力なしがあんな魔法を放つなんて。ありえん」


 侯爵が抗弁するが力が無い。


「と、申されても私には分かりかねます。魔法は貴族の特別な力。魔力と言われましても我々一般庶民には、理解できません」


「何をとぼけたことを、お前も貴族で魔力持ちだろうが」


 侯爵が反発する。


「いえ、私の魔力量など旦那様に比べたら大したことはありませんよ。

 なによりもお坊ちゃんは、日夜魔法の研鑽に励み、私などに詠唱魔法と言う特別な技術を教えてくださいました。

 知らないのは旦那様ぐらいなものですよ。

 時代は変わるのかもしれませんな」


 老紳士の淡々と語る言葉に、侯爵はただ口を大きく開き、呆然とすることしかできなかった。


 後にブータが有名になってから侯爵家は優秀な彼を追放したと名声を失いその後、落ちぶれていく。


 そして、その日から半世紀。


 彼は、魔法理論の革命児と言われ、詠唱魔法、魔法陣理論を完成させ魔法理論の父と呼ばれるようになる。


 世界を変革する伝説の魔法《世界魔法》。

 それを使えるのは、彼ひとりだけ。

 なぜか?――答えは下へ

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剣の変態  試験会場は異様な雰囲気を醸し出していた。  もはや食べ過ぎ感がある。もう十分だと皆の顔に書いていた。 「次の受験生」  試験官の教授が別の人に代わっていた。  彼は少し若い教授だ。  観衆達が大きく二つに割れた。  それを見た教授は大きなため息を漏らした。 「今年は本当にどうかしている。この後が思いやられる……」  疲れた目に手を置いて彼は見た。  向こうに巨人が立っていた。  普通の人間の倍はあろうか……いや、そんな人間がいるはずがない。  巨大な獣人と見紛うその存在感。  しかしこの国の人間なら彼のことは周知だ。  ゴクリと教授は喉を鳴らした。 「剣鬼ライド•スラッシャー」  ズカズカと巨人は前に進む。  その一歩は普通ではない。歩幅が広い上に動きが素早いからまるで飛ぶよな速さだ。  不動の山がネズミのように素早く走り寄るような違和感がある。  教授の顔は引き攣っていた。 「ライド卿。水晶に触れ……」  言葉はそこまで発せられていたか。  反射神経が人間のものとは異質な動き。  見ているだけで爆発を連想する。  歩いていた姿が、次の瞬間には剣を振り下ろした姿になっていた。  まるで絵を一枚めくったような感覚だった。  そしてそれを見た衆目が何が起こったのかを理解した時、全員が凍りついた。  水晶がゆっくりと二つに分かれていった。  ゴロンゴロンと二つに分かれた水晶が台の上で揺れている音だけが会場の隅にまで聞こえていた。  それを見た教授はヘナヘナと床にへたってしまった。 「よし! 合格だ」  叫んだのは剣鬼ライド•スラッシャー本人だった。  どうやら合格の鈴の音を聞いたらしい。  しかし拍手喝采が起きない。  どうしたの? みたいに周りを見るライドに、何か言える剛気な者は、この会場に存在しなかった。 「あ、水晶が壊れたら受験が続けられんか」  今気づいたらい、間の抜けた言葉にも試験会場の緊張は和らぐ気配すら無かった。  しかし一人アッシュは、ラバンの剣技に別の見解を持っていた。 「あれは俺の魔法に使えるな」  嬉しそうにアッシュは呟いた。  明日は入学式。  今日入学した変態達が、学園のナンバーワンを競う日。  年によっては学園が火の渦に巻き込まれたとか……そんな都市伝説がまことしやかに囁かれている。 【あらすじ】 名門学園の入学試験会場は、今年も異常な緊張に包まれていた。次々と現れる怪物じみた受験生たちに、試験官も観衆も疲弊しきっている。そこへ現れたのは“剣鬼ライド・スラッシャー”。巨人のような体躯と異常な反射速度を持つ男は、測定用の水晶を一瞬で真っ二つに斬り裂き、会場を凍りつかせる。その圧倒的な剣技を見た主人公アッシュは、ただ一人だけ別の視点を持っていた。「あれは俺の魔法に使えるな」。明日は入学式。変態揃いの新入生たちが、学園最強の座を競い合う日が始まろうとしていた。 【ランキングタグ】
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