食の聖女の改革譚

美食を「堕落」と断じる質実剛健な公爵家に生まれた令嬢、フィアンティーナ・フォン・クライス。
彼女は18歳の時、政略結婚で嫁いだ先で出されたゲテモノ料理（巨大な芋虫の姿焼き）が原因でショック死してしまう。

しかし、神の気まぐれか、彼女は「美食への渇望」と「ゲテモノへのトラウマ」を抱いたまま、10歳の姿に逆行転生を果たす。

「二度と不味いものを食べるものか！」

その一心で、前世の記憶を頼りに、ただ自分の食生活を豊かにするためだけの行動を開始するフィアナ。
しかし、彼女の純粋な食欲からくるワガママな言動は、なぜか周囲の超有能な側近や料理長たちによって、「領地の未来を憂う、深遠なる叡智」や「民を救うための、慈悲深き神託」だと、ことごとく壮大な勘違いをされてしまう！

これは、食いしん坊なだけの公爵令嬢が、その意図に反して次々と奇跡（という名の勘違い）を巻き起こし、無自覚のまま領地を改革し、やがて「食の聖女」として崇められていく、勘違いグルメファンタジー譚である。