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シャーロットは、その昔、ひとりの魔法使いと共に暮らしていた。
その魔法使いは男だったが故に、まだ多かった同族にすら嫌悪されていた。
シャーロットだけが、唯一その男を愛していた。
それもそのはず。
シャーロットは、その男に作られた。
男は人体生成について研究を進めていた。本来なら、極刑になってもおかしくないほどの禁忌である。
シャーロットという個体は、その過程でできた。
限りなく人体に近い“人工精霊”であった。本人もそれを自覚していた。
ただ彼を愛し、彼に作られた自分を愛した。それだけだった。
彼はやがて断罪された。シャーロットだけが残された。
“人工精霊”は、人間には殺せない突破した生命体だったのだ。
誰より歓喜したのはシャーロットだった。
彼は間違っていなかった!
彼は完全な意思を持つ生命体を作ることができていた!
彼がおこなっていたことは、一つの落ちもなくシャーロットの記憶にあった。
その記憶を辿り、改善し、己と同じ生命体を作り、人間と同じ肉体に埋め込んだ。男の血を使った。
できたのは女だったが、その容姿は彼によく似ていた。
シャーロットは満足して、彼女に名付けた。
「レイラ」