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人外の館  作者: 赤松みと
【1】
2/6

2

 語り手は、前回に続いて私、レイラが担う。


 さて、続きを話そうか。


 今度こそ恐怖したね。人造人間(ホムンクルス)とは、そこまで急速に成長するものなのかと。


 困ったことに、このオリヴァーはよく食う。私に似ないでよく喋り、よく笑う。


 子供を育てたことなど無いし、なんなら育てられた覚えすらない。


 そんな私に、子育てが可能だろうか。否である。


 私は失敗したのだ。いや、失敗という言い方は些か不適切だろう。


 それでもまぁ、『失敗した』と言うほか無いのだ。


 現に私は、彼を極端に避けるようになってしまった。


 話す時は、買い物のときと食事のときくらいなものだ。


 それ以外の時間、私は、館の2階にある自分の研究室に籠っている。そう、フラスコに入っていた頃のオリヴァーを育てた研究室だ。


 互いのことなど、知らないに等しいと言っても過言ではないだろう。


 多少の罪悪感はあれど、私はこの生活に満足してしまっている。


 オリヴァーこそ、私のような面白みのない人間など、いない方が気楽だろう。


 そう思っていた。


「レイラ様!」


 律儀に二度ノックをし、メイドのシャーロットが私を呼んだ。


 滅多に聞かない、どこか荒い声だ。


「どうした?」


「オリヴァー様が……!」


 私は研究室を出て、階段を駆け降りる。


 頭を抱えそうになるのも忘れ、私はただ、その光景を凝視した。


「オリヴァー?」


 彼が笑顔で振り向いた。


「お母さま!」


 彼の頬には、鮮血が線を引いていた。

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