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「お母さま。お母さまは、何の動物が好きですか?」
笑顔でそう言いながら、彼女の手を取る少年は、人間ではない。
「そうだな………。犬とか、蛙とか」
「………変なものが好きなんですね…」
少し趣旨のズレた応答をする彼女も、人間に部類されることはない。
これは、人造人間と魔女の話だ。
***
私こと、“魔女”の名はレイラと言う。
人里離れた森の中の、やたらとレトロで大きい館に、メイドであるシャーロットと二人で住んでいる。
ある日の夕刻。私はフラスコを拾った。
アヤシイ研究室とかによくある(偏見)、あの、丸底のやつだ。
その中に、小指の先ほどの人間を見たときはぞっとした。
人間を作れてしまう人間がいることに、ではない。
どうすれば、その死に損なった小さな人間を生き永らえさせることができるだろうかと考えた、己の脳に、だ。
結果として、私はそれを育てることに成功してしまった。
オリヴァーと名付けたその少年は、すくすくと育ち、今では齢八つほどの大きさになっている。
ここで一つ言っておこう。
私がフラスコを拾ったのは、半年前の話である。