お嬢様のおバイト①:居酒屋
「お金がありませんわー!!!!」
…私、そこそこいいお家に生まれた一人娘ですの。
なのに、いつのまにかほかのお家の恨みを買って、領土を襲撃され、お金と共に奪われてしまいましたの。
そのせいで最近はメイド一人と一緒に麦ごはんとおかずを食べてしのいでいますの。麦ごはんも案外おいしいのですけれど、最近とうとう働いていたお母様が倒れてしまい、このお家は破滅の危機に瀕してしまいましたわ。
そこで、わたくしは思いつきましたの。
巷で流行りの「おバイト」を始めればいいのではないかと!
メイドに手伝ってもらって、一緒に求人広告というものをたくさん見ましたの。
どうやらおバイトはやることや時間によって全然もらえるお金が違うらしいですの!
それなら、いろいろなおバイトを体験して、なんとかこのお家を存続させてみせますわ~!
「お嬢様、そろそろお時間では?」
メイドがややこしい手続きは済ましてくれましたので、私は今日から出勤ですわ!
今日はとりあえず体験で、「いざかや」のバイトをしてみますわ!
どうもいざかやでは、「らっしゃい!」「あいよー!!!」などが重要らしいですの!
私、頑張りますわ!!
「いってきますわ!!!」
つきましたわ!!!
まずは挨拶が大事ですわね、ええと、確かメイドはこう言えと…
「こんちゃす!!!!!」
「お、いいねお嬢ちゃん、気合入ってるじゃん!!!!」
やった、大成功ですの!!
早速説明を受けて、接客をしてみますの!
ええと…まずは…
「らっしゃい!!!!」
「いいねお嬢ちゃん!その調子!」
そして…
「ご注文はァ!!!」
「生ビールで」
そのあと…
「あいよー!!」
最後に…
「生ビールいっちょぉ!!!」
か、かか完璧ですの!!!
私、どこに捨てられてもいざかやでやっていけますの!!
「お嬢ちゃん、厨房もやってくれないかい?」
ちゅうぼう…?
ああ、料理を作るのですわね!!
任せてくださいまし、お母様が倒れてからしばらくの間、メイドと一緒に料理は作っていましたの!
「任せてくださいな!」
注文は、「ればにらいため」ですわね!
このお肉とお野菜を炒めればいいのかしら?
まあ、きっと大丈夫ですわ!!
「出来上がりましたの!!」
おいしそうですわ!
意外と料理って楽しいんですのね!
「お嬢ちゃん、助かったよ!!」
ふぅ…やっと終わりましたの。大変でしたわ。
でも感謝されるのって悪くないですわね。
よし、次のおバイトも頑張りますわよ!!
帰ってきましたの!
でもなぜかしら?
お母様付きのメイドに「居酒屋でおバイトしましたの」と報告したら、卒倒してしまいましたわ!!
あのればにら炒めなるもの、自分で作れるようになりたいですわね!