87.graduate
今日、ぼくはおじいちゃんといっしょに同そう会をやりました。同そう会というのは、おじいちゃんが子どもだったころに、友だちも子どもだったので、同じ学校にかよっていたのです。おじいちゃんになると、ひさしぶりに会うのでうれしいと言いました。おじいちゃんは、学校がと中やめになったので、そつぎょう式をしていない。それでうれしいそうです。
びょういんは大ぜいの人がいるので、しずかにしてねとたのみました。おじいさんやおばあさんが大ぜい来たので、びょう室が一ぱいになってしまいました。みんな、おみやげとかりょうりをたくさん持ってきていたので、それを、見たり食べたりしてさわいだので、ちょっとうるさかった。
でもすこしたのしかったです。いつもはおじいちゃんがお見まいに来ますが、2人ではなしますが、おじいちゃんのむかしばなしは、あまりおもしろくないからです。それと、おじいちゃんがかえると1人になるからです。同そう会は大ぜいだったので、色んなはなしがして、ずっと大ぜいでいました。
ぼくは食べものがほしいと思いましたが、おい者さんがだめだと言います。それで、ぼくのうでにちゅうしゃして、えいようをとると言います。でも、口から食べないのでわかりません。ぼくはへんなのかな、と思いますが、おじいちゃんはへんじゃないと言うので、いいのです。
おじいちゃんは大ぜいの人とはなして、わらったり、ないたり、していました。これも、ぼくのうれしかった一つです。おじいちゃんは、びょういんの人にむしされるからです。うけつけのかんごふさんが、返じをしないのに、きれいな人なので、おじいちゃんはおちこみました。それでぼくに、「れいかん」とかがないと言ってもんくを言いました。同そう生の人たちは、「れいかん」がある。おじいちゃんとはなしたからです。ぼくは「れいかん」がなにかわからないのです。ぼくもあるのか? わかりません。
十じくらいになって、
「そろそろおひらきだ」
とおじいちゃんが言いました。みんなかえりそうなので、かなしいと思いました。ぼくはあるけないので、みんなといっしょにかえれないからです。
でもほんとうは、あるいてかえるのではなかったので、ぼくはびっくりしました。おじいちゃんたちの体がぼんやりして、むこうのかべが見えました。ぼくはとても心ぱいしましたが、みんなはわらっていたので、大じょうぶだったのです。
「今まで長かった。しょくん、そつぎょうおめでとう」
と、おじいちゃんが言いました。
「おめでとう」
と、みんなも言いました。それから、おじいちゃんがぼくを見ました。
「ありがとうな。おまえがみんなをよんでくれたんだよ」
ぼくは、ぼくなにもしてないよ、と心の中で思いました。おじいちゃんとはなすのは、心の中で思うのがはやいです。それで、思うと、おじいちゃんはにっこり笑いました。
「いや、してくれたよ。ほんとうにありがとう。おつかれさま」
それから、ぼくのほうに手をだしました。
「やっとみんなで行ける。いっしょに来るかい?」
おじいちゃんにきかれて、うん、と思いましたが、ぼくは体がうごかないのでだめだと思いました。そしたら、おじいちゃんが手をにぎってくれて、きゅうに体がうごきます。ベッドのよこに立ちました。ぼくはとてもうれしくなったので、ぴょんぴょんとびました。
「ぼうやもいっしょにそつぎょうするのね」
と、やさしそうなおばあさんが言ったので、わかりませんでしたが、ぼくはうん、と言いました。それから、おじいちゃんたちについて行きました。
そつぎょうは、とてもたのしかったです。
「(-from A)Aを卒業する」。