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60.mention

 どこぞの世界で、人間族と魔族が対立し、大戦争を繰り広げていた時のこと。

 両勢力の中ではしょっちゅうメディアによるプロパガンタが行われていたのだが、その内魔族の側の一国で、大作映画の企画が行われた。人間のある組織が、ボスと四天王を中心にして、魔族を虐殺しており、それを退治しに魔族の勇者が立ち上がる、といった物語だ。

 スタッフ達は筋を決めると、キャラクターデザインに取り掛かった。

「悪の組織は、以前少人数で攻め込んできた連中を参考にしよう。勇者ご一行とか名乗ってた奴らだ」

「妥当ですね。しかし、全く勝手な奴らだった。えーと、ボスは…赤マントに額当て、それから若干小柄で…」

「あと、白い大剣だな。とことん憎々しい容姿にしたいから、そうだな…顔に…」

「あっ、駄目ですよ」

「何だ」

「最近はうるさいんですから。悪イコール身体的欠陥はマズいです。製作前だって、誰か聞いてただけでも問題になりますよ」

「ははは、ここに盗聴器でもあるってか。…まあ、注意に越したことはないか」

 それから数時間の話し合いで、四天王や主人公サイドのデザインが詳しく決まった。

「うーん…なんか物足りないよな…インパクトが無い」

「そこはエフェクトと演出でカバーできますよ」

「うむ…しかし、俳優はどうしよう」

「そうなんですよね…捕虜を使わせてもらうわけにもいきませんし…だからといって人間役なんか誰もやりたがりませんよ」

「だよなあ…それにさ、」

「言っちゃ駄目ですってば」

「あ、スマン。つまり特殊メイクがさ…」

「…ええ…」

 二人は顔を見合わせて、溜息を吐いた。いくら身体的欠陥の描写に注意しろといっても、こればかりはどうしようもない。

 なぜなら人間は、指は五本、腕は二本、おまけに目が二つという醜悪さなのだ。差別的表現でも仕方ないよな…? そんな意味をこめて、監督は肩をすくめた。



「~について述べる」、

「~に言及する(=refer to)」。



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