表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/100

40.mistake

 ある女が不幸な事故で死んでしまい、閻魔様の前に引き出されました。

 

――ふむ、貴様は爆死したとあるな。車かね、ガスかね、それともロケットランチャーかね。

「時限爆弾です、閻魔様。密室で私と彼氏の二人きりで、脱出できなかったんです」

――爆弾は止められなかったのかね。

「私は縛られていて、彼だけが辛うじて爆弾に届きました。落ちていた金属片で、コードを切ろうとして…赤と青があったんですが、彼は青を切ったんです」

――それは何故かね。

「はい。もう一蓮托生の状況でしたから、運に任せようと思って。『私の好きな花の色を』って頼んだんです。私、彼はきっと赤を切ると思いました。私の好きな花は薔薇でしたから。けど、私がこっそり育てている薔薇は青いんです。ほら、品種改良された、新しい薔薇。彼はそのことを知らないと思ってたのに、いつの間にか知ってたんですね。でもいいんです、どうせ賭だったんですから。ねえ、彼も近くにいるはずですよね。会わせてくれませんか」

――駄目だな。

「どうして?」

――貴様が地獄行きだからだ。

「えっ…ど、どうしてですか?何が悪かったんですか、私大きな罪なんて何も…」

――何を言う。無理心中は大罪だ。

「…え?」

――それに、この儂に嘘をついた。罰は免れぬと思え。

「ま、待って下さい!何の話…」

――とぼけるでない。今時、片方のコードを切ったら止まるなどという芝居じみた爆弾があるものか。貴様は密室に男を閉じ込め、自分は縛られたふりをして、男が青いコードを切るように仕向けたのであろう。

「そんな、言ったじゃないですか!彼が青い薔薇のことを知っているかなんて…」

――黙れ!誤魔化せると思うたか。雑談に紛らせ、男に青い薔薇の話をしたのは貴様であろうが。大方、その男の注意力を己への愛情とし、殺してもらう形にしたかったのだろう。全く小癪な…連れて行け!

「ご、誤解、誤解です!じゃっじゃあせめて彼と一緒に…一緒の地獄に!お願い、連れてきて、連れてきなさいよ、早く!ねえ、来てよ、私はここよ!一緒に落ち…い、いやあぁぁ〜……」

――やれやれ。とんだ勘違いもあったものよ。

 

 ちなみにこのあと、男の方は情状酌量で軽い地獄で済んだとか。めでたしめでたし。


 

「~を誤解する」、

「~を間違える」。

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ