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13.force

 歯が痛い。三ヶ月前に始めた歯列矯正のせいだ。

 器具が当たって嫌だからとキスをしなくなった女は今、俺に跨って嬌声を上げている。

 この女と共同生活を始めてどのくらいになるのか――少なくとも、赤ん坊を仕込んで生ませるくらいの余裕ならタップリあった筈だ。けどそうしてないのは、俺達が夫婦でもなければ恋人でもないからだ。

 俺達は言わば、共生の関係にある。彼女は昼間仕事に出たり、合間に教生やったりなんかして、鬱憤やらを抱えて帰ってくる。俺はそいつを晴らしてやる役目だ。彼女が車なら、俺がガレージといったところか。

 とにかくそんなだから、子供なんか余裕もないし欲しくもない。俺も働かない。そもそも命令されるというのが嫌いな質で、何をやっても長続きしないのだ。家事だってろくにやっていない。状況を見れば俺ほど自由な暮らしをしている奴もいないだろうと言える。

 今度は俺の下に敷かれて、女は身悶えしている。こいつは大体俺の言うことは聞くし、金も稼ぐので実に楽なのだが――思いのままになる、と感じたことがない。昼夜笑顔か恍惚を浮かべているこの女を見ていると、閉じ込められているのは俺じゃないか、などと思うことがある。

 ここ数ヶ月、外出先は一カ所だけだ。

 ああ、歯が痛い。


 

「~を強制する」

 


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