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 今、どこにいますか。どんな子が貴方の手の中にいるのかしら。

 私はここ、寒くて冷たい土の上。そんな感覚なんて、と貴方は言うかもしれないけど、寒いのは体じゃないんです。

 貴方に捨てられて、今日で十日目。ここには誰も居ない。私を拾ってくれる人も、私を壊してくれるものも、何も。

 ひとりぼっち。

 誰にも求められない。

 だけど私、貴方のこと恨みません。私を最初に抱いてくれた人だから。

 貴方の初めての口づけ。それから何度も何度もキスして、私の中身を飲み干してくれた。私少しは、渇いた貴方を満たすことができたよね?

 からっぽの私に貴方は酷く冷たくて、作られた私に死に場所すら与えてくれなかった。いいえ、死ぬんじゃない。私たちは皆、大きな力によって熱を持ち、とろけて、そうして生まれ変わる。

 けれど、そんなもの私は要らない。貴方のこと忘れてしまうくらいなら、いつまで独りぼっちでも構わない。

 でも少しだけ、ほんの少しだけ疲れてきたから――だから、これきり眠ることにします。

 最後に、

 …ありがとう。さよなら。

 貴方に会える夢を見ながら、埋もれていきます。私はずっと、貴方に出会ったこの姿のままで―。


 

「ままでいる」、

「とどまる」、

「残る」。

 


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