10.remain
今、どこにいますか。どんな子が貴方の手の中にいるのかしら。
私はここ、寒くて冷たい土の上。そんな感覚なんて、と貴方は言うかもしれないけど、寒いのは体じゃないんです。
貴方に捨てられて、今日で十日目。ここには誰も居ない。私を拾ってくれる人も、私を壊してくれるものも、何も。
ひとりぼっち。
誰にも求められない。
だけど私、貴方のこと恨みません。私を最初に抱いてくれた人だから。
貴方の初めての口づけ。それから何度も何度もキスして、私の中身を飲み干してくれた。私少しは、渇いた貴方を満たすことができたよね?
からっぽの私に貴方は酷く冷たくて、作られた私に死に場所すら与えてくれなかった。いいえ、死ぬんじゃない。私たちは皆、大きな力によって熱を持ち、とろけて、そうして生まれ変わる。
けれど、そんなもの私は要らない。貴方のこと忘れてしまうくらいなら、いつまで独りぼっちでも構わない。
でも少しだけ、ほんの少しだけ疲れてきたから――だから、これきり眠ることにします。
最後に、
…ありがとう。さよなら。
貴方に会える夢を見ながら、埋もれていきます。私はずっと、貴方に出会ったこの姿のままで―。
「ままでいる」、
「とどまる」、
「残る」。