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劔朝日の追憶5


 男性嫌いのボクが御堂涼太くんと接触しても、不快感が襲ってこないという衝撃の事実から数日、ボクは2-A組の教室の入り口に来ていた。


 数日に及ぶ捜索の結果、ボクはついに御堂涼太くんの在籍する教室を見つけたのだった。


 フフフ……。ついに見つけたよ、御堂涼太くん……!


 思ったよりも見つけるのに時間を要したが、そんな苦労も私の目的の為なら、少しも辛くはない。


 ボクが2-A組の教室に来たのは、御堂くんに学生証を返すことも目的の一つだが、実はもう一つ、ボクは真なる目的を持ってココまでやって来た。


 ボクの真なる目的。それは……



 御堂涼太くんを演劇の世界へと引き摺り込むことである。



 御堂涼太くんはボクが触れても、唯一不快感を感じない男性。


 その時、ボクは思ったのだ。


 御堂涼太くんがいれば、演劇の舞台で男性と絡むシーンが問題なく行える。


 今までは、男性と絡むシーンを極端に避けて来たボクだったが、正直、今のままではいずれ演劇に大きな支障が出る恐れがあると密かに危惧していた。


 そこに、まるで誂えたように御堂涼太くんというボクが触っても平気な男性が現れた。


 まさにこれは、天啓である。


 演劇の神が、御堂涼太くんを演劇の世界に誘えとボクに囁いているようではないか。あるいは、今まで演劇にこの身を捧げてきたボクへのご褒美か……。


 真実はどちらでも構わない。

 いずれにしろ、御堂涼太くんさえ居れば、ボクの演劇における大きな欠点を補うことが出来るのだ。


 御堂くんを説得するのは難しいだろうが……。


 なぁに、ボクが御堂くんの女装趣味をバラすような動きを見せれば、彼も快く頷いてくれるはずだ。


 脅すという行為に罪悪感が無いと言えば、嘘になる。しかし、コチラもそう簡単に諦められるような事でもないのだ。


 演劇の世界に引き摺り込む代償に、ボクは御堂涼太くんの望む事を出来るだけ叶えてあげる所存だ。


 もし、御堂くんが望めば、この身を辱める事すら許そうじゃないか。


 床の上では、御堂くんが満足するだけ嬌声を漏らしてあげようじゃないか。


 だから……御堂涼太くん……!



「キミにはボクの相手役(パートナー)になってもらうよ……。永遠にね……」


 誰にも聞こえないように呟いたボクは、2-A組の教室へと足を運んでいく。






ーーーーーーーーーー






 2-A組の教室で御堂涼太と劔朝日のやり取りが繰り広げられた後、劔朝日は誰もいない演劇部の用具室に佇んでいた。


 まさか、邪魔が入るとは予想外だったな……。あと少しで御堂くんも屈しそうだったというのに。


 確か、彼女は神崎乃亜ちゃん……。御堂くんにナンパ男から助けられた女子生徒。アレから何があったかは知らないが、ボクの知らないところでアッチも関係を進展させていたらしい。


 初めは神崎さんが御堂くんに好意でも持っているのかと思っていたが、神崎さんの方から恋愛感情は感じられなかった。


 2人の間でどんなやり取りが為されたかは知らないが、何処となくややこしい雰囲気が漂っていた。


 まだ、御堂くんに女装趣味があるところまでは知らないといったところか。


 ボクしか御堂くんの秘密を知らないという事実に不思議と心が沸き立つ。優越感というべき感情がボクの心中を支配する。


「…………ハッ!」


 ボクは御堂くん自身に興味はないんだ!


 ボクが欲しているのは、ボクが触っても不快に感じない男性という存在だけなんだ!


 断じて、個人的に御堂くんに特別な感情など持っていない!


 まるで、自分に言い聞かせるように繰り返し、「ボクは御堂くん自身には興味がないんだ」と呟く。


 とにかく!


 一度邪魔されたくらいでボクは諦めたりしないぞ。極論を言えば、ボクが卒業するまでに御堂涼太くんを演劇の世界へ入れてしまえば、ボクの勝ちだ。


 時間なら、まだタップリとある。じっくりと御堂くんを追い詰めようじゃないか。


 まずは、御堂くん自身に女装趣味がある事を認めさせる。これが第一目標だ。


「待っていたまえ、御堂涼太くん……!」






ーーーーーーーーーー






 時は飛んで、第6用具室で劔朝日が御堂涼太のTS(性転換)を目撃した日。


 女性と化した御堂涼太が去った第6用具室で、劔朝日はあまりの衝撃にペタンと地べたに座り込んでいた。


「あっ……ああ……ああああ……………」


 ボクの目の前で、御堂涼太くんが女の子になってしまった……!


 自分の頭がおかしくなったのかと、夢でも見ているのではないかと、頬を抓ってみても夢から覚める気配はない。


 間違いなく、ボクが先ほど目撃した光景は現実である。


 女装趣味なんて、そんなボクの頭で考えつくレベルの現実なんて、簡単に飛び越えた現実。


 まさに、事実は小説よりも奇なり。


 男性でありながら、女性の服装を好むセクシャルマイノリティなんかではない。


 マイノリティもマイノリティ。


 とっておきの異端者(アブノーマル)


 男でもあり、女である。


 ああそれは……




 なんて素敵なんだ!!!




 口がだらし無く緩み、ヨダレが口から勝手に溢れ出す。


 身体の震えが止まらない。


 体が熱くなって、特に一部分、下腹部のあたりが強く疼く。


「ああ……御堂涼太きゅん!」


 女になったキミを思うがままに凌辱したい!


 ベッドで羞恥に頬を染めるキミの肌を思う存分、撫で回したい。


 ボクに秘部を責められて涙を浮かべるキミの涙を舐めとりたい!


 事が終わったあとに恥ずかしがるキミに、ひたすら愛を囁きたい!


 そして何より、キミにボクの子どもを孕ませたい!


 ボクにこんな感情が眠っていたなんて……!


 自分の内から沸き立つ獣欲を抑えられない。


 御堂涼太くん、キミはボク自身も知り得なかったボクのオスとしての本能を呼び覚ました!


 キミには、ボクをこんな風にしてしまった責任がある。


 今一度、自分の心の素直な気持ちを叫ぶ。


「御堂涼太くん……ああ……ボクは……キミを孕ませたい!!!」


なんか、今回の話を書いていて不安になったので、R15設定にしました。

大丈夫だとは思いますけど、念のためです。


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