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第38話 熱海旅行7


「いや、なんでいる??」


「それはこっちのセリフなんだけど」


「りょーにー、この人誰~?」


「え……なんで高尾君が…?」


現場はカオスだった。


竜馬の妹?らしき人物もいて混乱はさらに深まった。


「一旦冷静になろ?」


すると1番混乱してそうだった志歩が場をしきり始めた。


「まずなんで高尾くんはここに居るの?」


「普通に家族旅行で昨日から熱海に来てました」


「マジか……」


「優と水城さんはなんで?」


「私たちも普通に旅行に来てた!」


「別に幼馴染だし遊ぶことだってあるでしょ」


「幼馴染の割にはめっちゃ距離近かったけどね」


言われて見て思い出すと、確かに俺たちは顔がくっつく程の近さで話してた。


というか、ほぼくっついていた。


はたから見たら幼馴染ではなく恋人に見えるだろう。


「やっぱり優と水城さんって付き合ってる?」


いつもあまり踏み込んでこない龍馬がグイグイ来た。


今回ばかりは好奇心には勝てなかったらしい。


「ゆーくん、流石にもう隠すのは無理だよ」


「付き合ってるってこと?」


「うん。まぁそんな感じの関係」


「付き合ってはいないの?」


「許嫁」


「は??」


そりゃ混乱するよ。


今時許嫁とか見たことないし、しかもその相手がアイドルとなると混乱しないわけがない。


「りょーにー。許嫁ってなーにー?」


放置されていた幼女が声を上げた。


「あー、ちょっと母さんところに戻してくるわ」


「教えてくれるまで離れない」


そう言って俺の脚にしがみついて来た。


「わ、ちょっ!」


(なんで俺はこんなにしがみつかれるの?そういう体質?)


その直後、後ろから視線を感じた。


振り向くとほっぺたをリスのようにパンパンに膨らませた志歩がこちらを見ていた。


目には嫉妬が籠っている気がする。


「ふんっ」


(幼女相手に嫉妬する!?)


俺は志歩の独占欲を舐めていたのかもしれない。


「こら、柚木。離れなさい」


女の人が幼女を捕まえて持ち上げた。


「ありがとうございます」


「君がもしかして柳くん?」


「か、母さん……」


俺を助けてくれたのは龍馬の母親らしい。


「あ、はい。俺が柳です」


「いつも息子がお世話になってます」


「いえいえこちらこそ」


そして俺をじっと見て来た。


そのあと俺の後ろに視線を向けた。


「ふふっ、お邪魔してしまったようなので、私たちはこれで」


あ、付き合ってるって思われた。


「龍馬。行くよ」


龍馬が母親に引っ張られて行った。


去り際、俺に「絶対に後で聞くからな」という視線を向けていた。


それに対し俺は、ニッコニコで手を振って見送ったのであった。


「よし、じゃあどこ行くか決めよう……か、志歩?」


志歩がジーッとこちらを見てきた。


そしてどこからどう見ても抱きついてくる手の動きをしてこちらへ近づいて来た。


「いや、あの子多分幼稚園生くらいだよ?同級生に抱きつかれたならまだしも、相手は幼稚えーーー」


説得を試みたがダメだった。


いつもより強い力で抱きしめてくる。


めっちゃ苦しいし、恥ずかしいんだが。


まず公衆の面前でやる事ではない。


少しして解放された。


顔を上げるとやばいくらいに周りの男から視線を向けられていた。


一方、志歩はいつも通りの様子戻っていた。


「1回、部屋戻ろう」


あの嫉妬やら怨嗟が籠った視線に耐えられるほど、俺のメンタルは強くなかった。


「なんで??」


「あれじゃあ、はたから見るとバカップルだよ」


部屋に戻って予定を考えることにした。


その後志歩の提案で夜、近場でやっている祭りに行くことになった。


それまで浴衣を貸してくれる店に行き、浴衣を選んでいた。


「あなたの彼女、別嬪さんだねぇ」


「あ、はい……」


浴衣以外でも少し出歩いたが行く先々でそう言われる。


確かに志歩は可愛い。


変装しても尚、可愛さが溢れ出ている。


しかし、その可愛いオーラは良くも悪くも人を引き付ける。


1人にした瞬間、ナンパやスカウトマンがよってくる。


色々な意味でドキドキしっぱなしの時間だった。


そんな感じで夕方まで街を歩き、ようやく祭りの時間になった。


「夏祭りっぽいね」


時期的には夏くらいの気温になっていてもおかしくはないが、今年は全然暑くない。


「俺的には暑くてムシムシしてないから良いと思うけど」


志歩は真っ先にリンゴ飴を買いに行き、そこからずっとリンゴ飴に齧り付いていた。


しかし顎の力が足りないのか、少し厚めの飴で滑ってリンゴに到達することは無かった。


「ゆーくんが齧って飴割って」


リンゴに辿り着かない事に痺れを切らしたのか、志歩が舐めまわした部分を俺に押し付けて来た。


「めっちゃ間接キス……」


「いいから早く〜」


志歩が飴をグイッと近づけて来た事によって、完全に口に飴が接触してしまったので諦めてリンゴ飴を齧った。


(なんか飴と別な甘さを感じる気がする〜)


「ありがと〜」


そう言ってご機嫌で俺の付けた歯形に齧り付いている志歩を見ていると、雛に餌付けをしている親鳥のような気分になったのであった。


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