第2話 良いお知らせの内容 その1
「お帰り!合格おめでとう!」
「ただいま」
親...ではなく真っ先に俺を出迎えたのは妹だった。
「優兄さんなら受かると思ってたよ~」
言ってなかったが俺の名前は柳 優だ。
漢字2文字でテストとかも直ぐに名前を書き終われるし、すっきりしているからこの名前良いなと思っている。
そして今話しかけてきてる妹の名前は柳 春風
春風は京葉中学校の2年生で、京葉高校は俺らの次の代から中高一貫になるから俺らが最後の外部進学生という事になる。
春風に寄り付く虫を払うために俺はこの高校に入った…
というのは冗談だが、全くの嘘というわけでもない。
ただ誤解しないで欲しい。
俺は決してシスコンを拗らせてはいない。
だだ心配なだけだ。
「おお、妹よ。優兄さんを信じてくれていたようで嬉しいよ」
「その話し方キモいからやめて」
「はい」
俺がキモい話し方をした瞬間、春風は冷たい目で俺を見てきた。
「母さんがリビングで待ってるから着替えて来て」
「良いお知らせのこと?」
「あたしは知らん。なんか二人で話したいことがあるらしい」
(マジで何のことなんだろう?)
変なこと言われそうな気がしてならない。
悲しい事にこういう時の俺の直感は嫌というほど当たってしまうのだ。
「きたよ」
「優、そこに座りなさい」
着替えてリビングに行くと、凄い真剣な顔をした母さんが待っていた。
ソファーに座ると母がいきなり
「優には1週間後引っ越ししてもらいます」
「…………ん?」
母さんが言ったことを理解出来なかった。
「ん?なんて?」
「あんたには1週間後引っ越しして1人暮らしてもらいますと言いました」
さも当然かのようにやばい事言われた気がする。
「1人暮らしするの?俺」
「そう言ってるじゃない」
「もしかして良いお知らせってこの事?」
確かに俺は1人暮らしっていいなと言っていた事はある。
でも現実的に考えて無理だから頭の隅っこに追いやられていた。
「そうだけど、もうひとつあるよ。それは引っ越ししてから伝えるね」
父さんも仕事から帰ってきてから1人暮らし気をつけろよと言ってきた。
今回は嫌な予感当たらなくてよかった。
それどころか1人暮らしをする許可、なんなら住む場所まで与えてもらえたんだから万々歳だ。
(嫌な予感はただの勘違いか)
そう思い俺は母さんから、家の広さや場所を聞くと2DKで場所は京葉高校の側のアパートという最高の立地だった。
母に「家賃もそこまで高くないから払うよ」と言われ、俺は大喜びで引っ越し当日を迎えた。