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悪魔召喚

作者: 川里隼生
掲載日:2023/04/01

 ……あぁ? 何の用だい? あたしゃ耳が遠くてね。もっとはっきり喋っておくれよ、若いの。……悪魔召喚の方法を聞きに来たぁ? 何だって悪魔なんか、呼ぼうってんだい? ……下らない理由だね。あぁ下らないよ。あたしほど長く生きてりゃね、あんたよりよっぽど酷い目に遭ってきたってもんさ。


 ……まぁいいや。あんたもせっかくこんな山奥の、朽ち掛けの館まではるばる来たんだ。手ぶらで帰る訳にもいくまい。教えてやるよ。ただし、五つある段階をひとつずつだ。途中であんたに悪魔を呼ぶ気がなくなれば、それが一番だからね。今日はひとつめ。この山を降りて最初に出会った人間に、この石を売るんだ。これは宝石なんかじゃない、ただの少し綺麗な石さ。悪魔は人を騙せる奴の所にしか来ないからね。それができれば、また明日ここに来な。


 ……来たね。昨日の石は売れたのかい? ……そうかい、頭の悪そうな娘に売ったのかい。それなら約束通り、次の手順を教えるよ。昨日のは準備運動みたいなもんで、ここからが本番さ。あんたが住む町の、あんたが昨日まで一度も見たことも触ったこともない包丁を用意しな。ただし、金を払ったらいけない。どうするのかは自分で考えな。いい考えが思い浮かばないのなら、諦めるんだね。


 ……おや、今日も来たのかい。包丁はどうしたんだい? ……他人の家から盗んだ? なるほど。まぁいいだろう。次の手順だ。その包丁で猫を一匹殺してきな。ただし、殺す場面を他の誰かに見られたらいけない。殺した猫の死体も見られたらいけない。こっそり、この館まで持ってくるんだ。


 ……あんたも執念深い奴だね。その傷だらけの猫の、首から上はどこへやった? ……あぁ、ちゃんと持って来たんならいいや。次はね、誰でもいいから人を殺しな。……何だい、人の死体も無しに悪魔を呼べるとでも思ってたのかい? 今度も死体をここに持ってくるまで、誰にも見つかっちゃいけないよ。あんたが捕まるからね。


 ……確かに人なら誰でもいいと言ったが、まさか赤ん坊を殺めるとは。この子は誰の子だい? ……知らない? 見知らぬ赤子を手にかけたのかい? 館まで隠して持って来るのが簡単だったからか。……いよいよ次で最後だ。明日、猫と赤ん坊に油をかけて、この館の庭で燃やしな。あんたが来るまで、猫と赤ん坊はここで預かっとくよ。……用心深いね。心配しなくとも、あたしゃどこにも持ってったりしないよ。


 ……。どうだい、火は? よく燃えてるかい? ……そうかい。もう元の色も形もわからなくなってるかい。あたしゃ見に行かないよ。……怖いんじゃないさ。趣味じゃないだけだ。……悪魔召喚なら成功したよ。あたしの目の前にいるじゃないか。言われるがままにこんなことをしたあんたは、もうどうしようもなく立派な悪魔だよ。

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