表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深海の舞台で死に至る  作者: F式 大熊猫改 (Lika)
第三章 双子シングルベッド
26/46

第二十六話

 警察官と何故か連携し合い、兄弟子を追い詰めていく。

 お前はあっちだ! と何故か指示され、私は首を傾げつつも言う通りに。なんでこんな事になってるんだっけ……ぁ、私のせいだわ。


 そしてついに……兄弟子を雰囲気たっぷりの路地裏へと追い詰めた私達。

 ぜえぜえ兄弟子は息を乱しつつ、警察官と私も互いに膝をガクガクさせる。紅葉ちゃんの体じゃなかったら腰砕けてる、絶対。


「お、追い詰めたぞ……凶悪犯め! 堪忍せい!」


 手錠を掲げる警察官! 兄弟子が凶悪犯だと! 何をしたんだ! たぶん勘違いだろうけども!


「ま、まってください……私は怪しいものでは……」


「怪しい奴は皆そう言うのだ……お決まりの台詞を言わせるな!」


「す、すみません……」


 何故か謝る兄弟子。というかリアルでこのやり取りが見れるとは……今後の芝居に生かそう。どこでどう生かせるのかは知らんが。


「まずは……名前と住所、電話番号と……」


 ぁ、おまわりさん、ちゃんと身分証明を求めてる。


「わ、私は……」


 宗吾さんも素直に本名と住所、電話番号を告げつつ、サイフから免許書を取り出して警察官へと提示。その間、約二十秒。


「ふむ、身分証明は取れた……ところで……」


 警察官は首を傾げながら


「この小娘はお前の知り合いか?」


「……? いえ、全く知らない子ですね……」


「ならば何故逃げた」


「突然名前呼ばれてびっくりしただけです」


 両名からジト目で睨まれる私。

 あれ?! これ私が悪い流れ!? 


 どうしよう……背に腹は代えられん……! 宗吾さんに察してもらうしかない、私が紗弥だと言う事を!


「……宗吾さん……宗吾さんの趣味は月一で猫カフェに行くこと……ポイントカードが満タンになったら、好きな猫ちゃんと撮影会! そのチェキを自慢げに年下の女の子に見せてましたね!」


 ちょっと渋い顔したら、もう見せてくれなくなったけども。


「何故それを……! はっ、まさか……貴方は!」


 どうやら察してくれたようだ、私の正体を。


「ツイッターでいつも猫画像にイイネをくれる、トロトロトロロキムチさん!」


 誰だ! え、っていうか猫画像呟いてるの?! っていうか兄弟子ツイッターとかやってるのか! ID教えろ!


 しかし違う! それは私では無い!


 もっとだ、もっと兄弟子について、私しか知り得ない情報を提示しないと!


「……宗吾さん……貴方は図書館で以前……逆ナンされましたね。そしてその女性と意気投合し、居酒屋で一緒に飲んで、その女性を酔い潰してしまって……慌てた貴方は何故か知り会いの女の子を呼び出しました!」


「何故それを……! はっ、まさか……貴方は!」


 どうやら察してくれたようだ、私の正体を。


「あの時、隣の席に座っていたイカつい、しかしとても優しい登山家、ゲンさんの娘さん!」


 誰だ! っていうかあの時、呼び出された私の心境も考えてみろ!

 夜遅いからって、一緒にお母さんもついてきて……こともあろうか、ついでにと飲みだして……。


 その間、私は酔いつぶれたお姉さんに膝枕しながら、ひたすら出汁巻玉子食ってたんだ! めっちゃ美味しかった!


 ちなみにそのお姉さんは我が家に泊めて、あくる日平謝りしながら帰っていきました。


 っていうか一向に私の正体を看破してくれない! どうすればいい? 


「ん? この香り……カレー……しかもこのスパイスは……」


 え、何? カレー? 別に密着してるわけでもないのに、数メートル距離あるのに、昨日の夜食べたカレーの匂い分かるの?


「そう、このスパイスの割合は……」


 スパイスの割合って何?! 私が作ったのは何の変哲もないカレー! 市販のルーに隠し味をちょい足ししただけだ。割合も何も……


「まさか貴方……! 私のよく知ってる女子大生……!」


 気づいた?! なんでカレーの匂いで?! 怖っ! 宗吾さん怖っ!


 だが気付いてくれたのなら話は早い、あとはこの場を切りぬけるのみ! このおまわりさんの気を何かに逸らして、そのスキに……。


 私はおまわりさんの気を引こうと、空に未確認飛行物体が! と言おうとした。だがその時、何故かおまわりさんは突然ふらつきはじめ……。


「む……なんだこれは……」


 そのまま倒れてしまう! なんだ、一体何が起きた? どうしたんだおまわりさん!


「やっと見つけたぞ……手間かけさせやがって……」


 その場に現れた第三者。その人物は黒スーツにサングラス。そして手には見覚えのある装置。

 まさか……こいつは……


「夢の時間は終わりだ」





 ※





 一瞬、目の前が暗くなった。若干居眠りしていたような感覚。

 朦朧としていた意識が覚醒すると、私は自分の部屋に居た。自分の部屋……つまり、漆原紗弥の実家の部屋。


「……はっ!」


 一瞬呆けてしまったが、姿見ですぐに自分を確認。

 戻っている。紅葉ちゃんの姿から、本来の自分の姿に。そして時間を確認。宗吾さんを追い掛け回して、あの路地裏に到達したのが正確に何時かは見ていないが、大体お昼ちょい過ぎ。ほぼほぼリアルタイムだ。


 何故突然元に戻ったのかは分からないが、とりあえず私は宗吾さんへと電話をかける。

 

「宗吾さん……出て……お願い……」


 しばらくコールしても宗吾さんは出てくれない。あの時、一体何が起きた? そうだ、確か目の前にあの黒スーツの男が出てきた筈だ。私を異星人と間違えた、あの男が。


 あの男が私達を元に戻した? よく分からんが恐らくそうだ。


『もしもし?』


 しばらくして宗吾さんが出てくれた。

 私は今宗吾さんがどこにいるのか、そして目の前に女子高生が居るかと確認を取る。

 すると宗吾さんは、私が一瞬意識を失う前の、そのままの状況を知らせてきた。何故か警察官と女子高生に追い掛け回され、今警察官が突然倒れたと。


「黒スーツの男は?! まだ居る?!」


『黒スーツ? いえ、そんな人物は居ませんが……』


 まるで最初からそんなの見てない、という反応。

 ええい、まあそんな奴の事はもうどうでもいい。元に戻ったんだから!


「宗吾さん! 目の前の女子高生保護してください! 私の家に連れてきて!」


『はぁ……しかしちょっと様子がおかしいというか……』


 ん? 何かあったのか?!


『先程から誰もいないのに誰かと話しているというか……芝居をしている気配も無いですし、この子は一体……』


「宗吾さん、詳しい事はまた……。とりあえず、その子……私の妹にしますから、連れてきて!」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ