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深海の舞台で死に至る  作者: F式 大熊猫改 (Lika)
第三章 双子シングルベッド
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第十九話

 世の中は本当に何が起きるか分からない。

 焼肉打ち上げパーティーの後、私は帰路についた筈だった。しかし調子に乗って人生初のお酒を一口飲んでしまい……意識が朦朧としていた……と思う。


 だからってこんな状況になるのかは、ちょっと分からない。


「あぁ、こちらで捕まえた。本部に戻るのはまだ……仲間がその辺に居るかもしれない。そいつを捜索してから向かう」


 目の前の人物は黒スーツにサングラス。ちなみに今は結構な真夜中。こんな時間にサングラスて。


「あ、あのー……つかぬ事をお伺いしますが……」


「なんだ」


「私はなんで……縛られているのでしょうか」


 そう、私は今……ビニール紐で服の上から胴体をグルッグルに縛られている。

 酒で朦朧としながら帰路についたと思ったのに……なんか気付いたらこうなっていた。


「いい質問だ。お前、母星は何処だ」


地球(ここ)っす」


「流れるように答えれると言う事は……お前は宇宙人だ」


 成程? よし、これは夢だ。さっさと起きよう。


「寝ようとするな! この地球外生命体め!」


「なんで! なんで私が! どっからどうみても地球人! 太陽系第三惑星の住人よ!」


「ほら、墓穴を掘ったな。地球人は地球の事を第三惑星なんて呼ばんわ」


 っく! 確かに!

 っていうかこれは某映画で得た知識なんだが。なんか流れるように口から出てしまった。


「おら吐け、仲間は何処だ」


「あー……実はこの街の警察官の中に仲間がいるわ」


「よし、じゃあ警察署に突入だ! なんて言うと思ったかゴルァ! 俺を騙せると思うなよ!」


 ひぃぃぃぃ! ほっぺをプニプニしないで! セクハラよ!


「どうだ、吐く気になったか」


「仲間も何も私は地球人……宇宙船地球号の乗組員よ。本気で私を異星人だと思ってるの? 確かに宇宙人は居てもおかしくないって私も思ってるけど、私は違うわ! もう二十年も地球に住んでるわ!」


 私の力説空しく、目の前のスーツ男は納得した様子を見せない。

 それどころか、なにやら怪しげな機械を……え、何それ。


「これは俺の組織が開発した……宇宙人を殺す装置!」


「単純明快すぎる!」


「だが地球人には無害だ。記憶を無くしたりするが」


「めっちゃ有害よ! 死活問題だわ! え、それ私に使う気? や、やめて!」


 じりじりと近づいてくる男……その懐中電灯のような装置のスイッチを入れ、私へと向けてくる。


「お前のような口の堅い宇宙人は用無しだ! 消えるが良い!」


「ちょ、私の胸ポケットに大学の学生書! 記憶無くなったらそこの住所に……」




 ※




 気が付いたら朝だった。なんか変な夢見た気がする……頭が痛い。

 昨日、焼肉行って調子に乗って甘いお酒を飲んじゃったからな……。酒飲むとこんなに頭が痛くなるのか、もう絶対飲まぬ……。


 フラフラと鏡の前に立つ私。するとそこには……


「……ん?」


 ……誰? この子。なんか鏡の中に知らない子が……ほっぺが凄いツルツルだ! なんだこの卵肌!

 あれ? 私ってこんな若かったっけ? いやいや、私はまだ二十歳で若者だ。しかし鏡の中の少女は……中学生か高校生くらい。


紅葉(もみじ)ー、準備出来たー? って、まだ着替えてないじゃん」


 と、そこに……鏡の中の少女とクリソツな女の子が。

 というか今の私と同じ姿の女の子がいる。制服らしき物を着て。


「どうしたの、ほら、早く学校いくよ」


「が、ガッコウ? え、あの、すみません、ここは何処ですか?」


「何言ってんのアンタ。まあ、昨日動画編集に徹夜したからねー、寝ぼけるのは仕方ないか……」


 いやあの、私はその……


「いいからほら! さっさと着替えて! コンビニで朝ご飯買う時間無くなるでしょ! 早くして!」


「え、えぇ!?」




 ※




 何がなんだかさっぱり分からんが、今私の手を引っ張って歩いているのは、私のお姉さんらしい。名前は(さくら)ちゃん。紅葉に桜か。そして私達は双子。


 いやいや、可愛すぎか? 双子の名前が紅葉に桜……可愛すぎか?


「どうしたの、紅葉。昨日は悪かったって、動画編集まかせっきりにしちゃって……。でも仕方ないじゃん、あんたの分の宿題も私がやっておいたんだから」


「あ、あざっす……。えっと、桜ちゃん?」


「なんでちゃん付けよ。いつもみたいに桜って呼びなさいよ、なんか気持ち悪いわよ」


 うぅ! 可愛い!

 この子達、それぞれ名前で呼び合ってるのか! 妹は姉の事をお姉ちゃんとか呼んでるかと思ったが……双子だからか、そのまま名前で呼び合ってるのか……双子ってみんなそうなのか? 可愛すぎんか?


「そういえばアンタ、例の返事どうするの?」


「へ? 何の事ッスカ?」


「だから何よ、その言葉使い……。ほら、昨日コクられたじゃん、あんた」


 コクられた……?

 それってもしかして……恋愛! 高校生の恋愛でアリマスカ?! まずい! 鼻血出そう……。


「え、えっと、お相手の方は何と言う方でしたっけ……」


「ひど! 相手の名前すら覚えてないの?! っていうか同じクラスの真面目君だよ、ほら眼鏡かけた」


 真面目君? 眼鏡かけた真面目君……。

 こう言っちゃなんだが、紅葉ちゃんも桜ちゃんも相当可愛い部類に入る女子高生……。もう完全なリア充だ。そんな女子に真面目君が告白だと……? 相当に勇気を出したに違いない。しかし私は本来の紅葉ちゃんじゃないし……なんて返事すれば……!


「まあ、でも断るしかないだろうけど……私達、オーディションもあるし」


「……? オーディション?」


「まさかそれも忘れてる? アス重工の! 大企業の! 推薦状貰ったでしょ!」


 それ……(紗弥)が貰ったのと同じ奴……?


 まてまて、まさか……団長が言ってた双子って……私達(紅葉と桜)だったのか?


「お、思い出した……」


「なら良し。おっと、じゃあサクサクっと朝飯食べて、お断りの返事して、放課後に先生に報告に行くよ。たぶんめっちゃ怒られるだろうけど……私達、高校生活よりオーディション選んだんだから。今更後に引けないし……」


 ……高校生活よりオーディションを選んだ?

 この双子は確か某動画サイトで自分達の歌を投稿してるって団長が言ってたな……。

 顔も出してないと言う事は、恐らく学校側は何も知らないんだろう。今日はそれを洗いざらい報告して……オーディションに出るという意思表示を行うと言う事だろうか。


 やっと頭が回ってきたぜ……いや、もうこの状況がわけわからんのは変わらんけども!




 ※




 双子が通う高校は教学の進学校。私立桜ヶ丘高等学校。この学校は聞き覚えがある。確か私も中学の時、志望校の一つに選ぼうとしてやめた所……のような気がしないでもない。


「じゃ、自分のクラスは覚えてる?」


 その校門をくぐったところで、桜ちゃんは私の手を放してしまう! あぁ! もっと繋いでてほしい……。クラスとか言われても覚えてるわけないんじゃ。私紅葉ちゃんじゃないもの。


「えっと……」


「二年A組! 西棟の二階! しっかりしてよ、もう」


「すまぬ……」


「いいから、真面目君にちゃんとお断りの返事するんだよ、分かった?」


 押忍、と返事しつつ桜ちゃんと別れる私。

 二年A組ね。西棟の二階……。桜ちゃんとは別々のクラスなのか。まあ、双子は離されそうだもんな。なんでわざわざ離すんだ。まあ、双子っていつも一緒っぽいから、たまには離れろって事なんだろうか。確かに一人の時間は大事だと思うけども……


「紅葉!」


 その時……突然、西棟へと向かう私の背中に叫ぶような声。むむ、誰なんじゃ?


「昨日の返事を……聞かせてくれ!」


 そこに居たのは……金髪に眼鏡、そして短ランを着た男子学生。いや短ランって。最近でも着る子居るのか。作者が高校時代、ギリギリ居たか居ないかくらいなのに。このメタ発言は物語とは関係ないので流してほしい。


「えっと……昨日の返事って……なんだっけ」


「ぐさぁぁぁぁぁ! 紅葉……そりゃないぜ! 俺は勇気を出して……お前に、こ、ここここ……こ、コケコ……」


 ニワトリ?


「告白したのに!」


 ……ん?!

 いや、紅葉ちゃんに告白してきたのは真面目君だろう! 断じて改造制服を着てる君ではない!


「この俺……真面目 (さとる)が! 東雲(しののめ) 紅葉に告白したじゃないか!」


 ってー! 真面目って……あだ名じゃなくて苗字だったのか!

 真面目君だったのか! ホントに真面目君だったのね!


「ぁ、ごめん、真面目君。その事なんだけども、非常に申し訳ないのですが……私は貴方の気持ちに答える事が出来かねますので……本当に申し訳ない」


「……………」


 ん? 真面目君?

 あれ? 固まった? フリーズしちゃった?


「う、うわあぁぁぁぁあ!」


 あぁ! なんかめっちゃ走ってった! 足早っ! 不良気取って無いで陸上部に入れ! 


「……ねぇ、なにあれ」


「またあの姉妹? うざ」


「男に媚びて弄んでんだよ、趣味悪っ」


 ……なんか、凄い聞こえる影口が……。

 なんてこった、桜ちゃんと紅葉ちゃん……マジでモテモテなんだな……。


 




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