第9話 始まりの異能力
*ランディ・スレイマ
先ほど交渉が終わったところだった。リーナレックが話を切り出す。
「少し面白い話をしようか。君たちは、始まりの異能力について知っているかい?」
リーナレックのその問いにランディとスレイマは少し答えに戸惑う。これは、おそらく代々の総裁しか知らないものであろうと。そして、示し合わせたようにリーナレックの問いにランディとスレイマは答えた。
「「知りません。」」
その答えを聞くと、リーナレックは満足そうに始まりの異能力について話し始める。
「始まりの異能力とは、その名の通りすべての異能力の原点と考えられているものだ。そして、その種類は5つある。“創造”、“破壊”、“生命”、“刻”、“無”。この5つだ。今存在しているほかの異能力はすべてこのうちのどれかから分岐したものだ。例えば、ランディが持っている物質属性は、“創造”と“破壊”の二つがもととなっている。スレイマの持っている“自然”なら、“生命”がもとになっている。というふうに、どんな異能力もこの5つのどれかがもとになっている。その中には、ランディが持っている“物質”のようにいくつかの種類にまたがっているもののあるけれど。」
スレイマは問う。
「じゃあ、“空間”や“特殊”はどこに属するのですか?」
「その問いに答えよう。恐らく、“空間”は“刻”に、“特殊”は“無”に属する。だから、“空間”は磨けば時間にも干渉することができるし、“特殊”にいたっては、“無”に属するだけあって能力の幅も広い。」
「つまり、磨けば始まりの異能力と同等ぐらいにはできるのですか?」
「うーん、できないことはないかな。ただ、莫大な年月を要するけれど。ただ、“刻”の異能力だけは特殊でね、その名の通り時間に干渉することができる。よって、自分の時間だけ一日24時間を倍の一日48時間にすることもできる。でも、それぐらいが限界だよ。」
ランディはこの世界に来てからの違和感について問う。
「始まりの異能力についてはわかりました。そういえば、この世界ってどうなっているの
ですか?」
「どうって?」
「この世界には異能力はなく、代わりにスキルや魔法がある。でも、それでも純粋な力関係では異能力の方が上。では、なぜ異能力をここの人たちは使えないの?」
「確かに、この世界では異能力保持者は少ないし、異能力を発現するものも少ない。異能力は主に三つの方法で発現する。一つは、血統。異能力持ちが両親だったら90%以上の確率で生まれてくる子供は何らかの異能力を持っている。力が強いとか弱いとかは関係なく。もう一つは心が通常では耐えられないダメージを負った時、その負の感情がその時に望む要素を含んだ異能力が発現する。そしてそれで発現する能力は例外なく強力だ。最後の一つは異能力持ちにその異能力を授けてもらうことだ。」
「異能力を授けることができるのですか?」
「一応できはするけど、その方法が使えるのは秘密結社ストロディアの総裁だけだよ。だって、それも総裁が持っているものの中から一つしか選べないから、かなり制約がある。まあ、私が知っている始まりの異能力についてはこんなところだ。」
リーナレックはそう言って話を終わった。




