第8話 脱走
*メクト兄弟&三沢
現在、彼らは、ランディが建てた屋敷の地下3階の地下牢に繋がれていた。別に、不衛生な環境というわけでもない。むしろ、帝国や、それこそ、死の荒野の牢屋と比べると、かなり清潔である。彼らは、現在、ストロディアの捕虜扱いとなっているだけである。そんな中から、彼らは脱走しようとしていた。幸か不幸か、封じられているのは、異能力だけである。だから、技能は使える。ちなみに、技能の獲得は、世界を越えれば、そのたびに、技能を獲得できる。つまり、いくつかの世界間を往復しているものほど、技能の量は多く、その戦略も多い。
「じゃあ、模造作品」
「万物法界」
ちなみに、ドル・メクトがどうして捕まったのかといえば、あの上空の茶会に彼は参加していた。姿を消していたのだが、トラスに辺り一帯の建物が消滅させられて、驚きすぎて、うっかり透明化を解除して出てきてしまったのだ。そうして捕まったというわけである。
ザックの技能は、極めて単純である。その名の通り、一つの作品を無条件に複製できるということだ。もちろん、生物、無生物に関係なく。さらには、そのものの、機能を完全に有したままである。ただし、複製するための作品が手元にない場合は、複製できない。単純だからこそ、強力だ。そして、いま彼が複製したものは、ザック、ドル、三沢の三名の身体と、異能力封印の手錠である。
三沢の技能は、この世界の任意の法則に、干渉・操作できる。ただし、強力な分、限定的な範囲内でしか干渉・操作できず、さらには、一度使用すれば、再使用まで12時間かかる。三沢が干渉・操作したものは、今現在、自分たちに嵌められている手錠に、破壊の法則を適用した。その結果、彼らに嵌められていた手錠は、崩壊した。
「思ったよりも、うまくいったねぇ。でも、この鉄格子はどうする?」
「そこは、俺に任せてもらおう。身体増強」
ドルの技能は、身体増強。その名の通り、身体の筋力、体力、知力を数倍から数百倍まで引き上げる。だからこそ、短時間しか持たない。 そして、鉄格子を軽く突いた。すると、鉄格子が派手な音を立てながら、枠ごと、吹き飛んでいった。
「うーん、派手に外れたねぇ。上には今誰もいないのかな?」
「帝国内で活動していることは間違いないだろうね。まあ、我々の拠点は帝国内に31か所ある。どこかが潰されればすぐに他拠点に連絡が行き届く。1人1拠点にしても、同時に落とせるのは3か所までだ。」
「このあとは、それぞれの上司に報告に行きましょうか。僕は、工作部隊の地崎さんに、ドル兄さんは、戦争部隊の藤さんに、三沢さんは、情報部隊のポルさんと、外交部他組織隊の宮垣さんに。では解散」




