第6話 帝国での動き
*アレイス・デル・フィン・フェステル
アレイスは、自身の執務室で、仕事に埋もれていた。事の始まりは、死の荒野から戦争話を持ち掛けられた帝国のバカ貴族であるフェルフェイス・シーラ公爵が、自身に提案したサーレイド王国大規模侵攻作戦に他大勢の貴族が賛成し、戦争状態に突入したことだ。今は、その後処理に追われてる。
フェルフェイス・シーラ公爵の発案した戦争計画は、サーレイド王国へのストロディアからの四人の援軍によって、頓挫した。100万の軍勢は半分以上の65万を失った。非常に遺憾だが、この戦争のおかげで、フェルフェイスという無能で馬鹿な貴族を、戦争責任に問えて、処刑できたのは結果的には、フェステル帝国の利益となった。だが、損害が大きすぎた。これでは、他国からの侵攻に備えるどころか、自国の国をダンジョンから守ることもできない。さらには、負けたことで、世界ダンジョン対策連合会議において、いろいろと責任問題を問われることになるだろう。何せ、隠蔽したことや、戦争利用したことも含めて、発見の報告をしなければならないのだ。自国の罪を自白するようなものである。
「はあ、憂鬱だ。これだけのことがたまっているというのに、死の荒野を支援する、馬鹿な貴族を潰さなければならないとは。だというのに、明確な証拠がないから潰しようがない。どうすればよいと思うかね?フォス宰相」
「フェルフェイスと同じタイミングで粛清できれば、それが最善だったのですがね。明確な証拠がない以上、黒蜂に証拠をつかんでもらえばどうでしょうか?」
黒蜂とは、帝国での情報収集兼暗殺者部隊である。確かに、闇に埋もれた証拠をつかむには最善の策である。所属人数は50名。だが、今、黒蜂は別の任務に半数があたっている。残りの半数でも、死の荒野を支援する二つの貴族を相手にするには十分すぎる数だ。だが、最低限の護衛として、帝城に15名は残しておかなければならない。だとすると、投入できるのは一つの貴族家に5名ずつ。屋敷が二つ以上あるわけではないのでそれ自体は問題ない。問題は、彼らに気づかれないように調査することだ。そこは、心配することはない。証拠さえ抹消されなければ。
「黒蜂を動かせ。残っている実力者の中で、上位10名を動かせ。主な任務は二つ。一つ目は、コルネオ・ファン・メルト子爵とメリー・ファン・スト―ラビット伯爵の死の荒野とのつながりを調べ、その証拠を探すこと。二つ目は、先ほど名前を挙げた二人の貴族の証拠の中で、さらにつながりがありそうな貴族があれば、それの調査だ。」
「黒蜂に伝えてまいります。」
宰相は、指令を出すため部屋を出た。




