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異世界転移の賊  作者: 旅人流儀
1章 転移と戦争
37/46

第37話 招待客と講和会議

*サーレイド王国王宮

 ランディとスレイマがストロディアの王国本部に戻った頃、エレッタ・トーランスとセミア・フェルストが率いる騎士団は王宮へと戻り、スレイマから譲り受けた報告書を国王デイランド・サミスト・サーレイドに提出していた。王宮内にはすでに、国王、神官長セインシア・フランソワ、それと、リーナレック・ストロディアが揃っていた。

 

 リーナレックは、エレッタとセミアが入室したのを確認すると、ぼそりと呟いた。


「あと8人かな?」


 その言葉に疑問を覚えるエレッタ。


「8人ですか?揃っているのでは?」

「いいや、まだ揃っていない。この講和会議において重要な役者がね。」


 リーナレックの物言いに納得した。要はこれは先のフェステル帝国との間で起こった戦争の講和会議であり、残りの8人というのは、恐らくフェステル帝国から来る者たちだろう、と。そう思いながらもう一つ質問した。


「もう一つ、宜しいですか?」

「いいとも、何でも聞き給え。」

「先ほど、講和会議とおっしゃいましたが、これは講和会議の準備のための会議ではないのですか?」

「ああ、そうだとも。すでに、ランディたちから報告書は受け取っている。だから、それをもとに私が、陛下に進言して、根回しをさせてもらった。今回はあまり時間もないからね。」

「時間がない、ですか。」

「ああ、そうだとも。時間がない。だからこそ、講和会議でどれだけ優位に立つことができるかが、帝国に巣食う死の荒野を潰せるかどうかが鍵になる。ランディたちには、死の荒野の情報を収集するため、この異世界と地球世界をつなぐ装置を作ってもらっている。どんなものかというと…。」


 そこで、リーナレックの言葉は途切れ、リーナレック自身は先ほどエレッタとセミアが入ってきた扉の方を見る。会議室には似つかわしくない、重厚な扉がギギギーと開き、扉の前に待機していた近衛兵の一人が高らかに告げる。


「フェステル帝国より、アレイス・デル・フィン・フェステル様がご到着為されました。」


 そう告げた近衛兵が3歩斜め後ろに下がると、赤い瞳に赤髪をした身長180センチほどの大男が入ってきた。この男は、フェステル帝国の皇帝で、ある特殊体質がある。その特殊体質とは、その時々の本人が抱いている時の感情によって、頭髪や目の色が変わるのだ。


「…こうして面と向かって会うのは二年ぶりかな?前回の世界会議以来だ。デイランド・サミスト・サーレイド。」

「ああ、そうだね。…今、君を支配しているのは、たった4名に自身の軍勢100万をなすすべもなく叩き潰されたことによる怒り、と言ったところかな?」


 そう言い当てられたのが、彼の冷静さを取り戻させたのか、今度は見る見るうちに、頭髪と瞳が、どんどんと青色に染まっていく。


「ああ、そうだとも。それで講和会議なのだろう。残念ながらこちらに戦争継続の意思は残っていない。貴様が出す講和条件もある程度なら、黙って受け入れるとしようじゃないか。ああ、でもあの戦争で指揮を執っていたフェルフェイス・シーラ公爵なら、出せぬぞ。なぜなら、奴は此度の戦争敗北の責任を取って、自害したからな。」


 デイランドもそんなことは予想済みだったので、あえてスルーする。


「今回の条件は4つ。一つ目は、2億セルの戦争賠償金をサーレイド王国に支払うこと。二つ目は、今回新たに見つかったType4のダンジョンを世界ダンジョン対策連合に帝国が、隠蔽したことや、戦争利用したことも含めて、発見の報告をすること。三つ目は、ストロディアによる、帝国にある秘密結社、死の荒野の実態調査及びその壊滅。最後に、帝国からの不可侵条約。期限は今後10年間。以上だ。」

「問題ない。その条件で受け入れよう。」

 

 アレイスがすんなりと条件を受け入れたおかげで、この講和会議は無事に終了した。

金銭価値(両替レート)

小銅貨(1円)

小銅貨10枚=銅貨(10円)

銅貨10枚=大銅貨(100円)

大銅貨10枚=銀貨(1000円)

銀貨10枚=大銀貨(10000円)

大銀貨10枚=金貨(100000円)

金貨10枚=大金貨(1000000円)

大金貨10枚=白金貨(10000000円)

1セル=1円

なお、この世界では世界通貨は共通

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