第34話 ダンジョン攻略5
*ランディ&杏林
スレイマとディルが、白牢を発見していたころ、こちらでも新たな発見があった。というのもダンジョンのつくりが変わっていたのだ。今までは細長い通路に加え、その通路のところどころに、物理的・魔法的トラップがあったものだが、今ではそんなものはない。それどころか、今までは通路の奥は、一つの扉だったのに、扉が二つ右と左、隣り合わせで並んでいる。
「これはどっちのパターンだろうね?」
「どっちとは?」
ランディは杏林へと問いかけた。杏林は質問の意味が分からず、問い返した。
「いやさ、こういうのって一人づつしか入れない分断型か、どちらかが当たりでどちらかが外れの抽選型かしかないじゃん?この扉は、それのどちらかな、と思ってね。」
「そういうことなら少し待っていてね。…“同調”。」
杏林はそういうと、目を瞑り、“同調”を発動させた。しばらくすると目を開け、“同調”で得た情報をランディに伝える。
「右の扉を進むと下層への階段があるわね。左は扉を開けると無数の物理的・魔法的トラップが発動するみたい。」
「右に行こうか。ところでさっき使った“同調”っていう異能力は、どうやって手に入れたんだい?少なくともそんな異能力を受け継いでいる家系は、私の知る限りなかったはずだけど。」
異能力を獲得する手段は大きく分けて三つある。一つ目は、一番簡単なもので、異能力を持つ人間の子供として生まれれば、血統的に異能力を色濃く受け継ぐことができる。二つ目は、異能力保持者が、自身の持ち合わせている異能力を複製して、他者へと与えること。これは、よほど
信頼がない限り、与えられることはないので、可能性はほぼゼロである。最後に、自身に多大な精神的ダメージ、もしくは受け入れられないほどのストレスを他者から与えられたときに偶発的に発現する場合である。
「油断したわ。まあ、いずれは露見するだろうし、教えても問題ないかしら。この異能力はね、
私自身の“異能力作成”というもので作ったの。まあ、一つ作るのに8時間は昏睡状態に陥るので、戦場などでとっさに思い付いたものを作るということはできないので安心してほしいね。もっと言えば、一度作った後は、その後3週間は使えなくなるわ。だから、万能というわけでもないのよね。」
つまり、異能力を自身で作ることができるというのであれば、それは、たとえデメリットが大きくても、大きなアドバンテージとなり、いざとなれば、保身にも使える。そういう意味でも、杏林の“異能力作成”というのは、強すぎるのだ。それこそ、大国が数十年分の国家予算をつぎ込んででも自陣営に引き入れたくなるほどに。
ランディたちは、話しながら下へと続く階段を下りていく。
「その異能力、他人には絶対にしゃべらないように。」
「わかっているわ。油断していただけよ。話せば、私自身が新たな火種になりかねないのだから。」
長い長い階段を下りた先で待ち構えていたものは、小部屋。それと、直径20センチほどの球体で漆黒のダンジョン核だった。




