第32話 ダンジョン攻略3
*ランディ&杏林
ランディと杏林は、深層へと進んでいた。だが、進めば進むほど、階層はどんどん広くなり、複雑になっていく。さらには、このダンジョンが、どこまで続いているのかすら分からない。長い時間の同じ行動というものは、集中力を奪われ、精神力を奪われ、それが運動ならば体力すらも奪われる。詰まるところ、時間をかければかけるほど、探索は進まなくなる。
そして現在、彼女らは、グループを分け探索を始めて4時間、見つかったものは下層へと続く門と階段。ただそれだけだ。あとは、何もおらず、ただ静かな、いや、静かすぎて無音な空間がただただ広がっているのみである。
そんな静寂を破ったのは、ランディであった。彼女は、気付いたことを簡潔に杏林へと伝える。
「ねぇ、この空間何かおかしくないかな?」
「…それは静かすぎるということを言っているのか?」
「それもあるけれど、もっと別の感覚。なんというか、誰かに見られているというか、得体のしれないものが近づいてくるというか…。」
そんなランディの言葉に、納得しそうになった時、杏林は、おかしな感覚に襲われる。その正体を探り後ろを見た。
慌てて、ランディに警告を飛ばす。
「後ろだ!!数8!」
ランディが振り向くと、今さっき出てきたはずの通路が壁になり、炎弾が8個飛来していた。だが、ランディは難なく対処する。
「遅いなあ、十分に撃ち落とせるよ。」
ランディは、そういうと、SSランク生命進化銃シュレピタルを構え、そこに“物質消去”と“分裂”と“追尾”の異能力を込め、弾丸を発射する。すると、炎弾に向かって高速で発射された一発の弾丸は、8つに分かれ、全ての炎弾を文字通り消滅させた。さらには術者自身(この場合は壁に擬態していた魔物だが)へと大量に斬り付け、粉砕した後で“物質消去”の異能力を込めた弾丸を発射し、壁の粉末すらも残さず消し去った。
「相変わらず、いや、少し腕を上げたか。」
「そりゃねぇ、だいたい杏林とペア組んでたのって、何年前だと思ってるのさ?」
「うーん?私がこの世界に来たのが5年前で、貴女とペア組んで、貴女を鍛えたのがさらに5年前。だから、10年ほど前かな?」
「でしょ?そんだけ経っていたら、いやでも腕は上がるさ。戦闘でもそのほかの面でも、ね?」
「全くその通りだな。なぜ私は、こんなことを忘れていたのだろうな?」
後に残ったのは、初めから何もなかったような空間のみである。




