第27話 死人形
*ランディ
ランディとアルデフォードの距離は20メートル程空いている。それに対して、ランディが使った“空間”ー“隔絶結界”は、ランディのいる場所を基点に半径1キロメートルを覆っている。この結界は、ただ術者の敵をこの中に留め、そして、異能力の使用を制限する。そのうえ、術者自身は自由に動ける。それこそ、結界外部から結界内部への敵へと攻撃することすら可能だ。しかし、結界内部に囚われた敵は、結界内部から結界内部への攻撃は可能だが、内部から外部へは、攻撃が通らない。結界から出るには、術者自身に解除してもらうか、術者を斃して結界を解除するしか手はない。攻撃が敵の基準は術者の自由なので、集団対集団においては、扱うのにかなりの技量を要する。しかし、この場は一対一。普通に使用するには問題ない。
「異能力を封じた程度で、僕に勝てる、とでも言いたいのかな?」
「ああ、勝てるよ。何せ、君の戦闘方法は熟知している。もう一つ、言っておこうか。私は、ここから一歩も動くことはない。」
こうした対話の間にも、ランディは準備を進める。
アルデフォードは、無言で距離を詰め、そしてAランク鍠竜刀でランディの首を落とそうとするが、SSランク鍠双対刀メリスカスの消滅刀で受け流され、Aランク鍠竜刀は消滅した。
「何、消えた!?」
アルデフォードが、慌ててランディの方を見ると、彼女はいつの間にか両手で構えていたSSランク鍠双対刀メリスカスを直し、片手にアルデフォードの方に向けて、不気味な人の形を象った漆黒の人形を持っていた。
「なんだそれは?その人形で僕に勝てるとでも言いたいのか!」
「ああ、そうだとも。一つ、君の勘違いを正しておこう。君は、私が持っているSSランク装備が、死神参式装備の七つだけだと思ったかい?」
アルデフォードの頬にたらりと嫌な汗が流れる。
「まさか。」
「そう、そのまさか、さ。死神装備は零式から参式までそれぞれ7個、合計28個あるんだ。ちなみに、参式が一番弱い。この世界の人やダンジョンを相手にするには、参式で十分でね。ふう、やっと準備ができたよ。死神弐式装備其の七。死人形ー取り込み」
ランディのその言葉に従い、死人形は不気味な煙でアルデフォードを包むと、そこに残ったのは、アルデフォード本人と、アルデフォードと瓜二つの人形があった。変わったいるところと言えば、アルデフォードが動いてもその人形は動かないこと。
そして、ランディはそれを“空間”に仕舞った。そして、飛ぶ。
「それじゃあ、目的は達成したから私は帰るね?バイバーイ。」
後に残ったのは驚愕に顔の染まったアルデフォード(本人)のみだった。




