第25話 戦場の一角ー王国本陣VS帝国本陣ー
*セイルフォン平野 南
フェステル帝国軍100万は、開戦当時、全員がDランクの装備に身を包み、サーレイド王国軍を蹂躙するのを今か今かと待ち望んでいた。だが、現在フェステル帝国軍は秘密結社ストロディアから王国へと送られた4名の援軍によって、35万までに数を減らしていた。
「おかしい。私の作戦に穴はなかった。こうなったのも、あのストロディアの4名がイレギュラーすぎた。」
帝国4公で、此度の作戦立案に最も貢献したフェルフェイス・シーラ公爵は、自身が率いる軍勢がこれほどにまで数を減らすと思ってはいなかった。第一の敗因は、ランディ、スレイマ、ディル・ジル、杏林風花の4名の力を読み違えていたこと。あまりにも規格外すぎた。第二の敗因は戦力を分散させたこと。そのために、あの4名に蹂躙された。しかし、フェルフェイス・シーラ公爵は絶対に敗れるとわかっていても、退くに退けない。なぜなら、これが自身の考え、敬愛する帝国皇帝に奏上した作戦であり、これに失敗して帝国に戻ろうものなら、彼自身が皇帝から破滅させられるしか道はない。
一方サーレイド王国軍50万は、現在、全員がCランクの装備に身を包み、総司令をフィル・ジモン公爵、副官をフェイラース・テリー侯爵とした軍勢だ。彼らは帝国軍とは違い、とってもやる気に満ち溢れていた。
「魔術師団用意、撃て。」
フィル・ジモンの号令に合わせ、王国軍の魔術師団が一斉に風爆弾を帝国軍に向けて発射する。彼らの装備にはランディによって無詠唱の付与がされていた。だから、普通は詠唱で時間のかかる魔術であってもノータイムで撃て、かつ、連射できる。突然のことで帝国軍の前方に布陣していた重装騎兵は対応できず、一騎残らず、壊滅した。その時、いつの間にかフィル・ジモンの右隣にいたスレイマ(幻影分身)から、声が発された。
『今、杏林から連絡が届いたんですけど、帝国軍の目的はどうやら王国軍をこの戦場に少しでも長く留めておくことらしいです。何か心当たりありますか?』
フィル・ジモンは、その通信に律儀に答える。
「いえ、特にそのようなものはございません。」
『一応、私たちの方で結論を出した結果、帝国が占領していた武器のダンジョンのように、スタンピードがすでに起こっていて空間系の異能力で魔物を中に閉じ込めているか、スタンピード直前のダンジョンがあるのではないかってことになって。ですから、この戦場には、ランディを残して、それ以外は王国に向かいますね。』
総司令フィル・ジモン公爵と副官フェイラース・テリー侯爵は、そろって顔を見合わせた。
「あり得ますな。ですが、まずはこの目の前の戦場をなんとかせねば。悔しいですが、あちらはスレイマ殿たちにお任せしましょう。」
フィルは黙ってうなづいた。




