第19話 偵察任務
*ランディ・スレイマ
ランディとスレイマは、王宮を出た後、スレイマの“転移門”にて、王国と帝国の国境となる東のセイルフォン平野へと跳んだ。スレイマの“転移門”は、一度行ったことのある場所にしか直通で門を開けないのだが、この世界に召喚されてすぐ、スレイマが“特殊ー分身”にて、万一、王国軍と戦闘になった場合に備えて王都もしくはその周辺の地形などを調べるために訪れたことがあった。そのため、直通で“転移門”を開くことができる。ただ、この“転移門”は、術者本人が望んだわけでもないのに、装飾が多く華美なため、とても目立つ。だから、“特殊ー分身”にて安全確認した後にしか、“転移門”を開かないようにしている。今回も、いつもと同じように“特殊ー分身”にて安全確認して、周囲に人がいないことを確認し、“転移門”を開いた。
「うーん、やっぱりいつ使っても、スレイマの“転移門”は目立つねぇ。」
「仕方ないよ。私が意図的に見た目をいじってるわけでもないのに。」
そんな言葉をこぼしながら、門を開くと同時に中へと入り、3秒後には、目的のセイルフォン平野へと着いていた。ランディは、偵察のために、Sランク蒼天の眼を取り出す。この武器は主に偵察に使うもので、見た目は小型の単眼望遠鏡。だが、生物を見た場合、使用者が任意で、空中にレンズを生み出し太陽光を収束させ、その生物へ照射することも可能な、お手頃な偵察用のれっきとした武器である。異能力者の場合、特に熟練した“生命”の持ち主の場合、そこらの小動物と視界を共有して、偵察することも可能である。そんなわけで念のため、殺しておいた方が、情報は漏れにくい。一時、辺りをSランク蒼天の眼で見回すと、特に問題もなかったので、スレイマは王宮に置いておいた、“特殊ー分身”にリンクさせるとリーナレックに報告する。スレイマからリーナレックが報告を受け取ると、リーナレックが国王へと知らせる手筈だ。
「セイルフォン平野に敵影なし。また、敵軍の基地等も発見できませんでした。」
「了解、伝えておくよ。他に報告すべきことはあるかい?」
「特には。ただ、二週間前にもかかわらず、何もないというのが、逆に不審です。」
「確かにね。トラップや魔法陣などは隠蔽されてないね?」
「ええ、何度か確認しましたが、発見できませんでした。」
「わかったよ。きっちり伝えておく。これで終わりかな?」
「はい、以上です。これより帰還します。」
ランディは、そういうと王都にある、秘密結社ストロディア地下第5拠点へと、“転移門”を開いて転移した。




