第10話 鳩と報告
*ランディ・スレイマ
ある朝、ランディとスレイマが屋敷の寝室で起きると窓から鳩が1羽入っていた。
鳩はよく見ると王家の紋章が入った、小さな筒を足に括り付けてある。そして王都のメッセンジャーから届いた封筒。
「これは王家からの直接の依頼かな?」
中の文書の封を切るとやはり王家からの依頼だった。よく見ると、最優先事項と書いてある。中の内容は、ダンジョン発生の知らせだった。場所は、王都近郊のこの間、ギルドの依頼で出向いた森の中心部だった。今回の依頼は、ダンジョンの種類の判別と可能であればダンジョン権利の占有もしくはダンジョンの討伐。
王都のメッセンジャーから届いた封筒は、秘密結社ストロディア王都本部からのあまりよくない知らせと指令だった。封筒に赤いインクで最重要と印鑑が押してある。中身は、ストロディアに属する者の“生命”属性持ちの行方が分からなくなっているという知らせだった。指令はその者の行方を追うことと、裏切りだった場合のその者の処分。ただし、それが困難な場合はその者の調査と行動記録を本部へ送り、本部への援軍要請。
「偶然にしてはできすぎていないか?」
ランディは独り言を漏らす。そのひとりごとの疑問に答える者がいた。スレイマである。
「ただの偶然じゃないだろうね。王家の依頼が来ると同時にストロディア最強クラスの始まりの異能力のうちの一つ、“生命”の使い手が行方不明でそいつの捜索。多分だけど、そいつは王家の依頼がこちらに来ると知っていって、もしくはこちらに来ることを読んでいて行方をくらました。それが隣国との戦争か、それともストロディアの戦力を削ぐことが目的なのか、なんていう目的ははっきりしないけどね。」
ランディはスレイマのその考えを検討しつつ、問うた。
「その仮説が正しいとすると、“生命”の使い手は裏切ったと考えていいのかな?」
「まあ、そうだね。でも、この依頼が来るのと同時にストロディアの知らせも来たから、王宮に頻繁に出入りしているものか、もしくは王宮内部にそいつの内通者がいると考えて間違いない。」
「となると、敵対すると想定されるものは、少なくとも二人以上だね。これからどうする?」
「ひとまずダンジョンの調査。ストロディアの失踪者は、いろんなところと絡んでいそうだから後回し。ダンジョンの調査報告を王宮に送った後はストロディアの失踪者の調査だね。この予定は、一応、総裁には話しておこうか。」
そういうわけでストロディアの紋章が入った伝書鳩にその旨を書いた書状を送った。




