6話:横浜で震度6強
「東京湾に1時間後、震度6強の地震が来るわ!」
あいは叫ぶ。
「おい、マジかよ」
「それって、やばくない?」
俺と真美も焦る。
「地図を見せて」
俺はあいに携帯のマップを見せる。
すると、すすっと画面をスライドし、横浜あたりに指を指す。
「私の分身から報告が来たわ。ここら辺」
「横浜だと!?しかもみなとみらいじゃないか!」
1時間後、横浜で震度6強が起きれば東京にも被害がものすごいことになる。日本の経済も衰退することになるだろう。
「周波数からすると、前にスルーガ湾(駿河湾)で地震があった時に転生してきたやつの仕業ね。ヨコハーマ(横浜)に使い魔を召喚しようとしているわ。それでは」
あいはそう言って、空に飛び立とうとする仕草をする。
「おい待て、どこにいく」
俺は反射的にあいの手を握っていた。
「離して。今からヨコハーマに行って歪んだ空間を戻さなければならないの。しかも今回の使い魔はあのサーシャの使い魔。気性が荒いから何をするか分からないの。マグニチュード9以上の地震を起こす可能性もあるわ。私の世界では、あの使い魔のせいで一つの森で覆われた大陸が一晩にして火の大陸になったわ」
「そんなやつが横浜に来るのか!?」
俺は侮っていた。あいの世界を。
あいの世界は科学ではなく魔術。
魔術に対する偏見ではあるが、我々の科学よりも優れた威力を持っていると俺は考えている。
「俺も一緒にいかせてくれ。この目であいの世界を見たい」
あいは黙る。
「私も行かせて欲しい。力になれないし、邪魔だと思うけどあいちゃんの本当の姿、見てみたい」
真美も同行を選択した。
「危ないけど、いいの?」
「「当たり前だよ」」
俺たち二人は意気投合したかのようにハモった。
「でもあと1時間って、電車で間に合うのか?」
「申し訳ないけど、私は急がなきゃいけない。先に空から行くわ」
あいは飛んでいく。
「がんばれ!応援してるからな!」
俺は心から願った。
「あいちゃん!ファイトーーーーー!」
真美も力一杯に応援した。
そして俺と真美は取り残された。
「じゃあ俺らも横浜に向かうぞ。こっからだったら45分だってよ」
「わかった。急ご!!」
俺たちは秋葉原駅構内に入り、そして駆け込み乗車する。(駆け込み乗車は危険ですのでおやめください)
秋葉原からまず山手線東京、品川方面で東京まで出る。そして東京からJR東海道本線 熱海行きで横浜まで出て、横浜からはみなとみらい線各停 元町・中華街行きで、みなとみらいに到着する。
いつもは爽やかに感じる海の音が、今日は穏やかな日なのに荒れ狂っているように感じた。
「ねぇ、地震起きるのってあと15分くらいだよね、やばくない?」
「大丈夫。あいならなんとかしてくれる。信じよう」
俺は拳を握る。
すると突然国際橋の方から爆発音が聞こえてきた。
「なんだ!」
心臓の鼓動が大きくなる。脈の動きが早くなるように感じた。
よく見ると一人の人間が空を飛んでいた。
「あいちゃんだ!」
真美は叫ぶ。
しかし、その空を飛んでいる一人の人間は、逆さま落下していった。