決戦のその後
エンペラーベアーを塵も残さず消し去った俺はその場に座り込んでしまった。
まだ完全には馴染んでおらず負担が大きい。全力で走った後のような高揚感と倦怠感が襲ってくる。
《マスター。ご無事ですか》
《ああ、なんとかな》
《お主、本当にお主かのう?》
《どういう意味だ》
《存在力が先ほどまでとは桁違いなのじゃ》
《ああ、それは神格を得たからな》
《神格ですか?》
《ああ、さっき神に会ってきてもらった》
《どういうことですか?》
そして2人にことの顛末を話した。
《邪神、ですか》
《そんなことがのう》
《メイは邪神について知ってることとかあるか?》
《うむ。聞いた話じゃと神が神格を堕とすと堕神となり神殺しをした堕神を邪神と呼ぶそうじゃ》
《てことは少なくとも神と同等の力を身につけないと勝てそうにないな》
《エンペラーベアー程度、恐らく邪神にとってとるに足らんじゃろ》
《ところでマスター、ステータスはどのようになったのですか?》
《そういえば見てなかったな》
鑑定を使って自分のステータスを表示する。
《名前》 ロザリオ・シール・クラウン
《年齢》 3歳
《種族》 半神 Lv.1
HP 1E12/1E12
MP 1E12/1E12
GP 1E12/1E12
《魔法》
全属性魔法Lv.10
煉獄魔法Lv.7
氷結魔法Lv.7
雷撃魔法Lv.9
岩石魔法Lv.5
神聖魔法Lv.10
暗黒魔法Lv.5
古代魔法Lv.10
神代魔法Lv.1
《スキル》
全武器適正
全魔法適正
神眼
神隠し
超成長
無詠唱
世界辞書:トア
短剣術Lv.8
見切り
急所突き
神威開放
《加護》
8柱の加護
イルミネスの加護
《称号》
家族に愛されしもの
神に愛されしもの
賢者
魔道王
魔法の申し子
人外
バッドスレイヤー
ウルフスレイヤー
ベアースレイヤー
リベンジャー
半神
神格者
半神:神格を得た人間がなることが出来る種族
神力(GP):神代魔法などを使うのに必要なもの。魔力のようなもの。
神代魔法:神の力を神力を消費して使うことが出来る。反動が大きく何度も連発は出来ない。
神威開放:神力を使い自身の神格を一時的に上げる。
ステータスの数値がばぐった。種族が変わるのはまだわかる。だが数値がおかしい。
《主よ、この数値はどういう意味なのじゃ?》
《Eの後ろの数だけ0が付くってことだ。だから1E12は1兆かな》
《主よ、神にでもなるつもりかのう?》
《みんなを守れるだけの力が欲しかっただけだよ》
《さすがはマスターです》
《メイはどうなったの?》
《妾もレベルアップしたのじゃ》
《名前》 メイ
《年齢》 10000
《種類》 メタモルインテリジェンスシリーズ
《スキル》
変形Lv.3(短剣 片手直剣 長剣 刀)
不壊
自動修復
斬撃強化
持ち主固定
持ち主:ロザリオ・シール・クラウン
《刀になれるようになったのか》
《うむ。このままもっと強化していくのじゃ》
《……》
《どうしたトア?》
《マスターは凄いです。あんなに強かった魔物も倒してしまうなんて。メイさんもどんどん強くなっています。それなのに私はなんの役にも立てていません。私なんかがマスターと一緒にいても意味が無いのです》
《そんな悲しいこと言うなよ。俺はトアに何度も助けてもらってるぞ。メイと出会ったのだってトアがいたからだし、今の俺はもうトアなしじゃ生きれないんだ。だから良かったらこれからも俺と一緒にいて欲しい》
《うむ。妾もトア殿が居らんと寂しいのじゃ》
《私も一緒にいて良いのですか?》
《当たり前だろ》
《う、うわーーー》
トアは泣き出してしまった。
スキルなのに最近は表情?豊かになったよな。
《主よ。そろそろ帰った方が良いのではないかのう》
《ああ。空も明るくなってきちゃったしな。トア、そろそろ泣き止め》
《ずびばぜんー。なぎやみばずー》
白んだ空を背に俺たちは絆を深めて家へと帰っていくのだったが。
本当の地獄がこれから待ち受けているとはこのときは誰も思わなかった…。
自分の部屋の窓に手をかけ、音をたてないように入る。
「はー、疲れた。本当に色々あったなー。明日からは母様たちが帰ってきちゃうからなー、大人しくしないとな」
「へー、私たちが何かしら。それに色々あったって何かな?」
冷え切った声を聞いて背筋が凍った。
そのまま声のする方をゆっくり振り返ると目の笑っていない笑みを浮かべた母親、腕を組み般若のような顔で俺を見るフィーネ、それに便乗しているマイン姉さま。そんな俺をかわいそうな顔で見る父様と兄さまたち。
「あ、あのーなんでいるのですか?帰ってくるのが早いような」
「あら、親が子供の心配をして急いで帰ってくるのはいけないのかしら?」
感情のこもっていない声色で母様が言う。これはマジギレだ。やばい、体が震えてくる。下手したらエンペラーベアーなんて目じゃないぞ。
「いけなくはないのですが、あのー。今日はもう遅いので明日に……」
「何かおっしゃいました?」
「い、いえあのですね、そのー」
母様の目がより鋭くなる。
これは返答を間違えたら終わるやつだ。
「何もないです、はい」
「そうよね。それでこんな時間まで何してたのかしら?私聞きたいわー、3歳の子供がこんな時間まで何をしているのか?ねえ」
「はい。私もロザリオ様が夜こっそりと抜け出す悪い子だとは知りませんでした、悲しいです」
「お姉ちゃんに内緒でこんな事する悪い子だと思わなかったなー。これはお仕置きが必要だよねー」
般若が3体。あれ、エンペラーベアーって雑魚だっけ?あんなに命がけだったのに今ではそれがちっぽけに思えてくる。
「お父様、助けて」
精一杯の甘えた声で父様に懇願する。
「ま、まあその辺で許してあげなよ。こうして無事に帰って来たんだし」
ギロリ。3人に睨まれて父様は隅っこでうずくまってしまった。
ちっ、使えないな。こうなったら兄さまたちだ。
「テオ兄さま、助けてー」
抱き着きながら言うも
「反省してー」
華麗に避けられてしまった。
こうなったら次は
「スグルド兄さまー、助けてー」
スグルド兄さまは避けづにギュッとしてくれた。
「だめだよ、リオ。ちゃんと訳を話して謝らないと」
ブルータス《スグルド》、お前もか!!
逃げ出そうとするが全然逃げられない。しまった、捕まった。
「私たちのことをほっといて随分と楽しそうね、リオ。これはもっと叱ってってことかしらねえ」
ああ、ミスったのか。おれ。このあとどうなるのかなー。いつのまにかさんにんのはんにゃがまわりをとりかこんでいる。こうしておれのぼうけんはまくをとじたのだった。
おわり。
ということはなく、その後この1週間何をしていたのかを話し、そこから自分が転生者だということも話させられ……。快く話した。もちろん自分の意志で。嘘じゃないよ…。
初めはびっくりしていたが、それでも自分の子だと、弟だと認めてくれたみんなに泣きついてしまったのはご愛敬だ。
しかし1人で森に入っていったのはめちゃくちゃに怒られた。5時間も正座をさせられた。ほんと母様
達には困っちゃうよね。ブルブル。あれ寒気が。ごめんなさい、僕が全面的に悪いです。はい。
次の日にも家族に色々と話を聞かれ、本当のステータスを見せたり、トアやメイの事を話した。
やはり驚かれたがそれでも俺を受け入れてくれた。特にフィーネは抱き着いたまま1日中離してくれなかった。
こんなほっこりとしたいい話でクマ編は幕を閉じた。
それとこの世には逆らってはいけないものがあることを学べた。
ちなみに父様は口を挟んだことで母様にしばらくの間無視されていた。兄さまたちとなんとか慰めて仕事が出来るようにした。
最近暑くなってきましたねえ。
所で唐突なんですけど3月に「3月なのに寒くない」っていうやつに1言言いたいんですけど、それ毎年言ってない?
3月は寒いで?
失礼いたしましたm(_ _"m)