修行《終》 決戦1
その後も索敵と殲滅を繰り返した。受け流しは慣れてきた。最後の方は受け流しから急所を突くまで自然にできるようになった。
《マスター、今夜はこの辺で良いのではないでしょうか?》
《妾も今夜はもう休みたいのじゃ》
《分かった。今日はもう戻ろう》
全部で200匹以上は倒しただろうか。その結果がこれだ。
《名前》 ロザリオ・シール・クラウン
《年齢》 3歳
《種族》 人間 Lv.46
HP 372000/372000
MP 6200000/6200000
《魔法》
火魔法Lv.5
水魔法Lv.7
土魔法Lv.3
光魔法Lv.10
闇魔法Lv.4
時空魔法Lv.4
空間魔法Lv.7
神聖魔法Lv.0
古代魔法Lv.1
《スキル》
全武器適正
全魔法適正
神眼
神隠し
超成長
無詠唱
世界辞書:トア
短剣術Lv.7
見切り
急所突き
《加護》
8柱の加護
イルミネスの加護
《称号》
家族に愛されしもの
神に愛されしもの
魔道王
魔法の申し子
人外予備軍
敗北を経験せしもの
生還せしもの
バッドスレイヤー
ウルフスレイヤー
《もう少し上がってると思ったんだけどな》
《将来メイン武器にするならいいと思いますが、受け流すだけなら十分かと》
《そうじゃの。それに魔法も鍛えないといかんからのう》
《明日からはみっちり魔法訓練ですね》
《ああ。明日もよろしくな》
いつも通りに帰り眠りについた。そしてまた朝が来てご飯を食べ修行に行く。こんな生活も今夜で6日目となった。
《いよいよ明日ですね》
《ああ。ようやくだ》
《緊張しているのかのう》
《そりゃな。初めて負けた相手だからな。だけどそれ以上に自分の力がどれだけ通用するか楽しみでもある》
《あまり無理はしないでください》
《分かってるよ》
この一週間の修行によりステータスも伸びた。それでもエンペラーベアーにはとどいていない。
《名前》 ロザリオ・シール・クラウン
《年齢》 3歳
《種族》 人間? Lv.62
HP 7300000/7300000
MP 42000000/42000000
《魔法》
全属性魔法Lv.10
煉獄魔法Lv.5
氷結魔法Lv.6
雷撃魔法Lv.7
岩石魔法Lv.3
神聖魔法Lv.8
暗黒魔法Lv.3
古代魔法Lv.7
《スキル》
全武器適正
全魔法適正
神眼
神隠し
超成長
無詠唱
世界辞書:トア
短剣術Lv.7
見切り
急所突き
《加護》
8柱の加護
イルミネスの加護
《称号》
家族に愛されしもの
神に愛されしもの
賢者
魔道王
魔法の申し子
人外
敗北者
生還者
挑戦者
バッドスレイヤー
ウルフスレイヤー
魔法とスキルのレベルが上がったものの、HPもMPも圧倒的にエンペラーベアーに劣っている。
上位魔法も古代魔法も決め手に欠けそうだ。
急に不安に襲われた。あの鋭い牙と爪に切り裂かれると思うと手足がすくむ。攻撃が全く通じなかったあの化け物を思い出す。
この一週間修行してきたとはいえ相手は格下ばかりだ。
そうこう悩んで眠れないでいるとトアが話しかけてきた。
《眠れないのですか?》
《ん。まあね》
《やっぱり不安ですか?》
《ああ。怖くてたまらない》
《それならいっそ逃げてもいいのでは。いくらマスターが転生者だとしても体は3歳です。それにもう少し修行してからでも》
《俺だってそうしたいさ。でも今ここで逃げ出したらこの先も逃げ出すことになるだろう。俺はそんな人生は嫌だ。いつか守りたいものに出会って、そんな時に敵が怖いから逃げ出しましたなんて俺が許せない。だからこれは俺の覚悟でもあるんだ。圧倒的なまでの理不尽に対してたとえ力で負けていたとしても心では負けたくない。逃げたら一生後悔する。だからさ、明日は勝とう。勝ってざまあみろクマ公って笑ってやろうぜ》
《分かりました。不詳なわが身ではありますが全力でマスターをサポートさせていただきます。あのクマ公にどっちが格上かわからせてやりましょう》
《頼もしいな》
《いい雰囲気なところ悪いのじゃが妾もいるのを忘れてはおらぬかのう》
肝心なところで締まらないな。まあそれが俺たちらしいが。
《明日は俺たちが勝つぞ》
《ええ》
《当たり前なのじゃ》
先ほどまでの震えが嘘のように消え、ロザリオはぐっすりと眠りについた。
その顔には、凶大な敵との戦いへの恐怖は微塵も感じられず、ただひたすらに高みを目指す少年の、または英雄と呼ばれる者たちと同じように、愚かで自由な蛮勇とも思える戦いへの執念が映っていた。そしてこれが後に救世の英雄と呼ばれた男の、英雄へ成った知られざる大胆で愚かでただひたすらに美しい激戦であった。
いつもと変わらない朝。フィーネのノックと共に目を覚まし朝食を済ませる。いつもと変わらない光景。そのはずだ。しかし今の俺は今夜の戦いへの高揚感からかどこか違って見える。いやこれは覚悟の違いだろう。
「あの、失礼ながらロザリオ様。今日はどうなさいましたか。いつもとはどこか雰囲気が違うような」
「そうか?」
「はい。その…なんというか凛々しいというか男らしくなったといいますか」
「ああ、僕も思ったよ、それ。なにかあったのかい」
「いえ。特には。ぐっすりと眠れたからだと思います」
「ならいいけど。何か悩み事があるならすぐ言うんだよ」
「ありがとう」
ロザリオの変化は本人の無意識下で雰囲気や言葉使いに表れていた。
後の辺境伯でロザリオの兄であるテオはこの時のことをこう語った。
『いままで何度か英雄と呼ばれる存在にあったことがあるがあれは別物だ。わずか3歳の子供が英雄をも超える雰囲気をまとっていた。あそこまで圧倒的だと嫉妬なんてわかないさ。むしろ私の弟だ。愛しこそすれ嫉妬などするわけがない。なんせ私の可愛い弟の一人なんだからな』(英雄の故郷ー『家族を訪ねて』より)
手にメイを胸に決意をもって深層へと向かった。浅層、中層を通ったが魔獣の一匹どころか虫一匹出くわさなかった。
《気味が悪いのじゃ》
《そうですね》
《お膳立てされているみたいだな》
それでも迷わずに進んでいく。
すると前回出くわした場所へと続く木々の折れた道が出てきた。
《ここから注意していくぞ》
と同時に索敵を使っていく。
奥に禍々しい気配が一つある。
そこから動くことはなく、しかしこちらを待っているようだ。
《おくにいるな》
《まるで来いと言わんばかりじゃな》
《ああいいさ、やってやる。いくぞ》
開けた場所に出た。目の前にはあの時の…いやあの時以上の存在感を放つエンペラーベアーがいた。
にやりと笑うその口から鋭い牙が見え隠れし、涎が垂れている。
辺りには食い散らかしたのであろう何かの生き物の残骸がある。
即座に鑑定をする。
《名前》
《年齢》 200歳
《種族》 エンペラーベアー Lv.200
HP 630000000/630000000
MP 450000000/450000000
《魔法》
風魔法Lv.10
土魔法Lv.10
雷撃魔法Lv.10
岩石魔法Lv.10
《スキル》
剛腕
健脚
鋭爪
堅体
威圧
飛爪
《加護》
《称号》
進化を遂げしもの
限界を超えしもの
種族の頂点に立つもの
生物の頂点に立つもの
魔王
桁が違うのは今まで通りだが、スキルの成長が大きいな。それに称号に魔王ってある。
《マスター、逃げましょう。これは勝てません》
《妾もさすがにこれは厳しいと思うのじゃ》
《だろうな。でも逃げないよ。攻撃が強いんなら当たらなければいいんだ》
こうして俺とエンペラーベアーの死闘が始まった。
ナレーション?みたいなのをワン〇ースをイメージしてみました。