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異世界勇者と女子高生の恋  作者: 中町 プー
11/19

第11話

 中学校時代の私といえば、バスケ部の練習に遠征などで夏休みに友達と遊んだ記憶などほとんどなかった。


 しかし、今年の夏は楽しかった。


 瞳とショッピングや楽器店まわりをしたり、彩羽と女子三人でプールに行ったりと充実していた。


 学生の夏の風物詩である夏祭りや海にも行き、またバンド練習を行っているうちに他の部員との交流も増えた。


 他の部員たちからは距離を置かれていたが、彩羽の持ち前の顔の広さで私と瞳もなかなか部に馴染めてきたのではないかと思われる。


 そのため、部活の友達と大人数で遊ぶこともあった。


 夏休みの目まぐるしい行事を思い返すと、私は青春を謳歌していると胸を張って言える。


 しかし、そうこうしているうちに夏が終わる。


 あまりの行事の多さに、中学校の頃に比べて夏が短く感じる。


 しかし、今日を過ぎれば目立ったイベントももうないのだ。


 そう。

 軽音楽部の秋の文化祭のオーディションの日である。








 部員全員が軽音部の部室に入るため、部室は普段より狭く思える。


 部室最奥の仮設ステージの横に審査員の席があり、ステージから少しの余裕を持ち観客席となっている。


 そのため、観客席は2,3年生が座り、1年生は後ろの方で立ち見となる。


 オーディションは学年順に一つのバンドが1曲ずつ披露していく。


 私たち一年生の順番は学年ではじめに演奏することになっており、次に二年生、最後が三年生となっている。


 演奏の評価は主に三年生が行う。


 そして、2,3年生は審査員の評価の良いバンドから順に秋の文化祭での演奏権を得ていくシステムである。


 一年生は少し特殊であり、2バンドのみに演奏権を与えられる。


 なので実質1年生は1年生同士で競い合うことになる。


 私たちの出番は一年生の中で二番手にあたる。


 私たちは3スリーピースバンドということもあり、キーボードやセカンドギター用のアンプも不要で、機材の準備に時間がかからないことから二番手ないしは三番手になることを予見していたので、さほど驚きもせず自分の順番を冷静に待つことが出来た。


 彩羽は何かあたふたとして緊張した面持ちであったが、瞳と私はいつも通りに楽器を手入れして順番を待つ。


 前の出番のバンドが終わると私たちは楽器のセッティングに入る。


 瞳が音出しのためにベースを弾いていると、先輩たちが目を丸くしてその7弦ベースを見ている。


 ほら見ろ。やっぱりそんなベースを使う人間は少数派なんだよと彩羽と苦笑してしまう。


 瞳の変なベースが功をなし、良い具合に彩羽の緊張感を緩和していた。


 しかし、私は何故か突然、手に震えてきた。


 彩羽は知っているだろうが、私と瞳はこの場にいるほとんどの先輩を知らない。また初めて人前で演奏することから皆の前に立って楽器を構えると途端に緊張感が私を襲ったのだ。


 初めて人前で演奏するのがここまで緊張するとは思わなかった。


 皆の視線が一斉に私たちに向くのが怖く、委縮してしまう。


 緊張は焦りにつながる。


 いつもよりも急いで作業をすると、当然粗が出る。


 上手く音が作れない。


 アンプからなかなか自分の望む音が出ない。


 私は焦って二人を見ると、もう準備万端といった様子であり、なお焦ってしまう。


 先輩達の視線にも、心なしか怪訝そうに思えてくる。


 一度冷静になって、再度アンプの調節をする。


 しかし、どうにも酷い歪みの音がする。


 どうしよう………。


 早くしないと………。


 どんどん追い込まれていく。


 なんで、こんなに歪むのか………。


 どうしたら………。


 私は泣きそうになりながら、アンプのネジリと格闘する。


「桜井さん!音量もっと上げていいよ。うん。そうそう。トレブル絞ってゲインを上げた方がいい」


 その時、飛騨先輩の声が聞こえた。


 私はただその声を信じて、その通りに音を作る。するとさっきよりも断然良い音がアンプから流れてきた。


「うん。大丈夫だね」


 飛騨先輩の目がゴーサインを出している。


 私は瞳と彩羽を確認すると、完全に上がっている気分を下げるべく深呼吸をして曲名を言い、もう一度二人を見る。


 彩羽のカウントを合図に曲が始まる。








 私たちの演奏は練習通りの出来栄えであった。


 演奏が終わってしまえば、あんな緊張感の中で演奏していたせいか全く記憶がない。


 彩羽のカウントと曲の終わりしかよく覚えておらず、後はがむしゃらに演奏するのみであったためだ。


 あっけないものである。


 私は自分の演奏が終わると、部室を出て火照った体を冷ますべく外に出た。


 思い出されるのは、自分の失敗と先輩のことである。


 音作りの際はどうしようと焦燥感や羞恥心やらで泣きそうになっていたが、先輩のおかげで上手くできた。


 本当に私が困ったときに助けてくれる人だ。


 それも、適格に。


 自分が一番弱っているときにいつも助けてくれる。物語のヒーローみたいだ。


 そして狡い人である。


 私は自販機でジュースを買うと、自販機の横の壁に背を預ける。


 フウッと息をつくと徐々に落ち着くと思ったが、どうにも胸の高鳴りは収まらない。


 赤らんだ自分の頬にジュース缶を当て、気持ちばかり冷ます。


 なんとも暑い。でもそれはきっと夏のせいや、演奏の後だからではない。








 私は十分に涼むと、部室に戻った。ほかの部員の演奏を聴かねば、部の先輩に叱られてしまうからだ。


 もう、二年生の演奏まで順番がまわっていた。


 ああ、次は飛騨先輩のバンドの出番だ。


 私は部室を見渡し、後ろの方に彩羽と瞳を見つけるとそこに駆け寄った。


 そして出番前の楽器をセッティング中の先輩を見つける。


 しかし、先輩の様子がおかしい。


 気分が悪そうに見える。


 もともと青白い肌の先輩であるが、今は病的ともとれる白い肌に唇は紫がかっている。また、ピックを持つ手がわずかに震えている。


 しかし、そんな様相の先輩を置き去りに演奏が始まる。


 何故、だれも止めないのだろう?


 これでは満足な演奏なんて出来ないだろう。


 私は少しの苛立ちを自制し、先輩を見守る。


 飛騨先輩のバンドは九十九先輩がボーカルをするロックバンドであり、二年生の技巧派があつまったバンドである。


 先輩は何かに耐えるようにギターを弾き続ける。


 見ているこっちが苦しくなるような光景だ。本当にどうしたのだろう。


 飛騨先輩は何度かふらふらと揺れながらも弦をはじく。


 私はただただ心配そうに見守ることしか出来ない。


 やるせない気持ちでいっぱいになる。


 いつも先輩に助けてもらいながら私は何も先輩に返せないのかと。


 先輩はなお一心不乱にギターを弾き続ける。


 しかし、それも限界にきたのだろう。


 ギターのパートの休みのタイミングで緊張の糸が切れたのか、ピックを持つ手は震えが大きくなり、ピックを落としてしまう。


 先輩は目に見えて狼狽している。


 しかし、目の焦点は定まっておらず、落としたピックを探すことも困難なようだ。


 もうギターのパートが始まる。


 私はその状況を目の当たりにして自分のことのように動揺し、どうにかしなくてはと模索する。


 しかし、私は考えるよりも先に体が勝手に動いていた。


 前列の部員がなにやら騒いでいる。


 私は焦燥感から考えなしに後列から前に飛び出し、先輩の前に行くと、先輩の名を叫びながら、たまたまポケットにあった自分のピックをがむしゃらに先輩に投げつけた。


 先輩は私の声に気がついたようで、そのピックをキャッチすると何事もなかったようにギターを弾く。


 他のメンバーも何もなかったように演奏を続ける。


 先輩は未だ震える右手で優しく曲を弾き終えた。


 私は曲が終わるとどうにか気を落ち着かせて、先輩に駆け寄る。


 先輩は弾き終えて力尽きたようにその場に倒れこみ、胡乱だ瞳で私を見た。


「ああ…………。桜井さん。ピックありがとう。………たすかったよ」


「大丈夫ですから……。立てますか?とりあえず保健室に行きましょう」


「ああ………」


 それきり先輩はなにも言わず、私が差し出した手にも気が付いていない様子で、ふらふらの体を無理やり持ち上げ、部室のドアに向かって歩き始めた。


 ボーカルの九十九先輩は慌てた様子で私たちを見ると、飛騨先輩の背中を見ながら申し訳なさそうに謝ってきた。


「すまん。飛騨、気づかなかった。桜井さん、楽器とかは俺が片付けておくから飛騨を保健室に連れて行ってやってくれないか?」


「はい」


 そう短く返事をすると、私は急いで先輩のあとを追った。


 誰も先輩を気にしていなかった。


 どうして………。同じバンドメンバーなのに。


 それは九十九先輩たちは部内での立場もあり、演奏も高いクオリティーを求められるのだろうが、こんな状態の先輩を無視して演奏していたことが許せない。


 先輩への心配と行き場のない怒りが自分の中で混ざり合って錯綜しながらも、先輩を追う。


 私に今、できることはあの人を保健室に連れていくことだけだから。


 途中、職員室に寄り保健室のカギを借りる。


 今は夏休み中ということもあり、先生は誰もいない。軽音楽部の文化祭オーディションもいつものことであるため顧問の教師も終わりにしか顔を出さないのである。


 私が鍵をもって保健室に着いたときには、先輩は保健室前で倒れこんでいた。


「先輩!飛騨先輩!大丈夫ですか?」


 私は急いで保健室のドアを開くと、すぐに先輩をベッドに寝かせる。


 いくら飛騨先輩が細身であるといっても男性を背負って、移動させるのは流石に骨が折れる。


 先輩は眉間にしわを寄せて、汗をかき、えらくしんどそうに右手を抑えている。


 その右手はシャツの上からでも分かるほど赤く滲んでいる。


 なんだろう………?これは血か。


 私はおそるおそるその右手のシャツを捲り上げる。


 すると、咬み傷が腕にある。


 だから演奏中、手が震えていたのか……。


 しかし、これはなんだろう?

 一般的な犬猫の咬み傷ではない気がする。何がもっと人の歯に近い歯型が付いている


 まるで子供に噛まれた後のような………。


 私はとにかく保健室に常備してある救急キットを用いて、あってるか分からないが傷の処置を行う。

 血は既に止まっており、先輩の呼吸も落ちついてきた。


 そして先輩が眠ったことを確認すると、とりあえず飲み物を買ってこようと保健室を出た。


 保健室に戻ってくると、もう先輩は寝息を立てていた。


 気持ち良さそうに眠っているものだから、私は彼のそばに椅子を置き、寝顔を盗み見る。

 その寝顔を見ていると、私も緊張が解けたのか、意識は自然と薄れていった。











「琥珀!オーディション終わったよ……?」


 そこには保健室のベッドに眠る飛騨巧と、その隣に椅子に座ったまま眠っている琥珀がいた。


 いつもの猫みたいな切れ長の目が閉じている。


 この子は寝ているときでも絵になる美人さんだなと感心して琥珀の寝顔を見る。


 ちょっと頬を押してみる。


「あらま………。寝ちゃってるのかな……?ん………?あ、飛騨先輩起きましたか?」


 琥珀ではなく、飛騨先輩の方が起きた。


 頬を押された琥珀は手で頬をかくと、またスースーと寝息を立てている。


 私はその琥珀の仕草を見て笑ってしまう。


「ああ、え………えっと辻井さん……?」


「フフ。琥珀がまだ寝てるので静かに……。琥珀が飛騨先輩を運んでくれたんですよ。起きたら礼を言ってあげてくださいね」


「そうなのか……。わかったよ」


 まだ、飛騨巧はすこし意識がぼんやりしている。


「ああ、そうだ。飛騨先輩。さっき琥珀から受け取ったピック持ってますか?ちょっと貸してくれますか?」


「ああ、あるよ。ほら」


 そう言うと飛騨巧はポケットから私にピックを渡す。


「……………」


 はい、ありがとうございます。と、私はピックを飛騨巧に返す。


 飛騨巧は怪訝そうにこちらを見ている。


「ああ、そういえば琥珀がそのピックはもう飛騨先輩にあげると言ってました。あと、琥珀が目を覚ましたら、オーディションのことで話があるから起きたら部室に来るよう伝えてください。では、また」


 私はそれだけ言うと、保健室を後にした。








 あれ……。寝ちゃったか。


 起きると、飛騨先輩がこちらを見下ろしていた。


「おはよう。桜井さん」


「え?ほえ?お、おはようございます。先輩」


 ああ、思い出した。保健室にジュース缶を買って帰ってきて、先輩の寝顔を見てたらつい寝ちゃったのか。私の手にはジュース缶が二つ握られていた。


「あの、ありがとう。ここまで連れてきてくれたんでしょ?あと、腕の処置と」


「えっと、はい」


 寝顔を見られていることに意識が向き、少し戸惑ってしまう。

 こんなはずではなかった。

 起きた先輩にさっきのことをお礼して一緒にジュースでも飲もうと思っていたのに。


 恥ずかしさで上手く話せない。


「ああ、そういえば辻井さんが起きたら部室に来るよう言っていたよ」


「あ、瞳も来たんですね。わかりました」


「あと、ピックもありがとう。」


「え……。あ、はい。ギター演奏した後ポケットに入れる癖のおかげです。ん……。何を言ってるんだろう……」


 私は恥ずかしく髪をいじりながら、腕の方に目がいく。


「そういえば先輩、その腕どうしたんですか?」


 少し恥ずかしさを紛らわすつもりで軽く聞いたつもりだった。


「え?あー。犬に噛まれたんだ」


「犬飼ってるんですか?」


「飼ってないね。野良だよ」


「そうなんですか。今日日、野良犬なんて見ませんけど…………」


 そんなに言及するつもりはなかった。しかし、腕のことについて触れた途端に先輩の顔から表情が消えていくから。


 どんどん先輩ではなくなっていく。


 だからなのか………。


 いつもなら聞かないような ことも聞いてしまった。


「先輩、今、大丈夫ですか?体調は」


「うん。大丈夫だよ」


「そうですか。腕は大丈夫そうに見えませんが…………」


「大丈夫。大丈夫だよ。ただ噛まれただけだしね」


「そうですか………。あの………。何か困ったときは言ってください。私じゃ何もできないかもしれませんが、言ってくれたらできる限りで何とかします」


「えっと………。どうして?」


「先輩にはいろいろとお世話になっていますから……。何かお返ししたいのです」


「別にないよ……。君に出来ることは」


「え………」


「君に出来ることなど何もない。ありがとう。早く部室に行きな」


「………そうですか」


 私は静かに保健室を後にした。


 廊下を歩くスピードが否応なしに速くなってしまう。


 飛騨先輩の無表情な顔が私に言い放つ様が頭に残る。


 確かに私は馬鹿なことを言っていたかもしれない。余計なお世話だと。


 しかし、あんなフウに一刀両断されるとは夢にも思っていなかった。


 これは……拒絶というのではないか。


 なぜあそこまで拒絶されたのか……。


 いや、意味は分かる。


 しかし、どうにも腑に落ちない。


 なんでもよかった。どんなことでも言ってくれれば………。


 もしかしたら拒絶されるようなことを言ってしまったのか………。


 最近まであんなに上手く飛騨先輩と話せていたのに…………。


 考えているうちにどんどん嫌な方向へと思考は向かう。


 もしかしたら嫌われたかもしれない。


 泣きそうになるが、どうにか我慢する。


 手にある二つのジュースを私はカバンに入れて、部室に向かった。










「瞳」


「ああ、琥珀。目が覚めたんだね……」


 部室には瞳が一人、椅子に腰かけていた。仮設ステージはそのままに、部員は皆、帰ってしまったのだろう。


「どうしたの?何かあった?」


「ううん。なんでもない。それで、瞳こそどうしたの」


「うん。本当は彩羽もいてくれればよかったんだけど。私たち、秋の文化祭受かったよ!文化祭で演奏できるよ!」


「え…。あ。そうなんだ」


「あれ。嬉しくない?私はすごくうれしいけど……」


「いや、嬉しいんだけど。えっと…………。あの」


 あ、駄目だ。


 飛騨先輩との一件が自分の中で上手く消化できていなかったのか、瞳の顔を見ると安心してしまったからなのか。


 何故か涙があふれてきた。


 急にボロボロと大粒の涙を流す私に瞳が慌てる。


「え!どうしたの?そんなに文化祭出たくないの?ほんとにどうしたの?」


「ううん。ごめん。それは嬉しいよ。ごめん。大丈夫」


 どうにか突発的に出た涙を止めるべく努める。静かに深呼吸して…………。うん大丈夫。


 案外、一度泣いてしまえば気が楽になるものだ。


「えっと、本当にどうしたの?もしかして、飛騨先輩になにかされたとか?」


「ううん。何もされてない。飛騨先輩は悪くないの。なんていうか踏み込みすぎて失敗したというか………。ほんと大丈夫」


「飛騨先輩の腕のことでも聞いた?それとも夢のこと?」


「え?なにそれ?」


「ううん。なんでもない」


「えっと何のこと………?」


「ううん。そうか………。踏み込みすぎてね。まあ、ちょっと時間をおいてもう一度話してみれば?寝起きで気分が悪かっただけかもしれないし………」


「そっか………。そうだね。分かった」


 しかし、このまま帰るには何か引っかかる。


 このまま帰って、家に着いた時に何を思い出すのか。


 それは悲しみではなく、怒りである。


 そもそもなんで、あそこまで言われないといけないのかという逆ギレのような感情がふつふつと込み上げてくる。


「なんかムカつくな。なんであんな言われ方しないといけないのか。確かに余計なお世話かもしれないけども………」


「あれあれ………?琥珀さん?もう……泣いたり怒ったり忙しいね。どうするの?」


「えっと、どうしよう…………?」


「行ってきたら?どうせ今は怒ってるけど後でまた悲しくなって大泣きするんだし」


「分かったようなことを………。んー。よし!行ってくる!」


「はいはい。行ってらっしゃい」


 私は瞳に揶揄われながらも確かにその通りだと得心がいき、保健室に向かって走り出した。










 もう残り少なくなってきた。


 すこしの呪いで体にヒビが入る。


 どうにも不便な世界だ。


 こちらの世界では空気中に魔素もなければ、精霊もいない。


 魔法使いは精霊の力を借りて魔法を放つが、魔術師は空気中の魔素に対して術式を媒介に魔法を発動する。


 魔素がない世界なら、自らの魔素を排出しなくては魔法は発動できない。しかし、それは魔術師の禁忌である。


 それは、自らの魔素が枯渇すれば死ぬからだ。


 もう残り少ない。


 このままだと………。



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