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記憶喪失(のフリ)やってます!~異世界に馴染むまでの奮闘記~  作者: 丸晴eM
転:怒涛の流れに身を任せ(強制連行)
18/26

前例は無い方がよかった

最初の二日間は、街はただのチェックポイントで素通りしてきたけど

三日目からは立ち寄って買い食いしたり観光したりさせてくれた。

普通に楽しい旅行気分。


結局お城までは9日かかった。

これが、転移魔法陣を使えたら1日かからずってのは聞きたくなかった…。

魔力を無効化してしまう私には、この先も利用できない便利な代物情報なんて必要ないのだよ。

まぁ、永遠ロデオでここまで来てたら恨みが募っただろうけど、道中楽しかったから文句はない。


「おれが王と話をつけるから、アンリちゃんは座ってるだけでいいよ」


城に着いて早々に、私達は王様に会うことになった。

兵士がずらっと壁にそって並んでる謁見の間で…ってイメージしてたけど、普通に部屋に通されてる。


「座ってるだけでって言ったら、本当に座ってるだけしかしないよ?マナーとか知らないからね、もう常識も知らないと思ってくれてた方がいい、マジで」

「いいよ、逆にそれでいい」

「ほんとに?王様が入ってきたら立って頭下げて、面をあげろって言われるまで待つとかしなくていいの?」

「大丈夫、他の国から召喚されたってことは理解してるだろうからね。変なこと言われるぐらいなら黙っててくれたほうがありがたいぐらいだよ」


そうは言っても、やっぱ挨拶ぐらいはしたほうがいいんじゃない?って思うけど

そう言うからにはただ座ってた方がいいんだろうなとも思う。


「じゃあ、本当に黙って座ってるからね!何か質問されたらどうする?答えたほうが良い?」

「そうだね、話しかけられたら答えて。分からなかったら素直にそう言っていいからね」

「了解」


あー、お偉いさんに会うなんて緊張するなぁ。

就職の面談とかも凄く嫌いだったんだ、もうね、あのガッチガチの空気が無理!


せめてこの場に慣れようと、ゴージャスな部屋に目を向けてみる。

絨毯がブーツを履いていても分かるぐらいふわふかで、天井近くまで伸びる大きな窓を薄く覆うレースのカーテンも刺繍が入っててお高そう。

おぉいいぞいいぞ、あまりにも場違い過ぎて観光モードになってきた!


「おぉ勇者よ、長旅ご苦労であった。ディエドはどうだ、困ったことはないか」


壁に飾られている絵に目線をやっていると、初めて聞く男の声がした。

反射的にそっちを見ると、首元にふっかふかのファーがついた重そうなマントを付けた王様(多分)が居た。

ノックもなく、扉があまりにも静かに開いたものだからかなり不意打ち。

目が合ったから思わず会釈したけど、大丈夫かコレ?不敬?


「お久しぶりです陛下」


私には座ってろっていいながら、自分だけしっかり礼儀正しく挨拶するんだよなぁコイツ。

私の態度の悪さが目立つじゃん!

印象悪くするのやめてよねー。


「魔樹を隔離する計画も順調です。それに、彼女を見つけることができました。私がディエドへ向かったのはやはり必然だったのでしょう」

「うむ、ではその娘が巫女に召喚された…」

「はい。ローブを身に着けた状態で森を彷徨っていました。彼女はあらゆる魔力を無効化してしまうようで、転移術が発動しなかったみたいですね」


ん?何かクロードが私を保護したみたいな言い方してない?

私自力で街まで行ったんですけど…。


「既に報告を受けておられるでしょうが、彼女の力があればレトラ魔草が吸い上げた魔力を霧散させることなく回収することができます。魔力溜りを枯渇できれば、魔物の発生も減るでしょう。彼女を私の助手として預けてくださいませんか?」

「ふむ、勇者が望むのであれば…。正直その娘の処遇は意見がまとまらず困っていた所だ。何せ人が召喚されたのは魔王以来だからな」

「……ぇ」


北国の人…が、魔王だったの!?

前例がそんなんだったら、私超危険因子じゃない?

弁解したいところだけど、ハッキリ黙ってろって言われちゃってるんだよね。

いくらでも仕事手伝うから、頑張って私を連れて帰ってほしい!


「…だからこそ、私の剣が届く範囲に置きたいのです。私を信じてお任せください。閉じ込めるなど、殺すなど勿体ないですよ、巫女がもたらした奇跡です。有効につかいましょう」


え、クロード知ってたの?

っつーか言い方な!悪者っぽいぞ!


「うむ…。そうだな、勇者の傍に置くのが一番安心だ。皆には私から説明しよう」

「ありがとうございます。ええ、まだ幼い娘です、利用した後も脅威にならぬよう、私がきちんと教育致しましょう」


お 前 よ り 年 上 だ か ら な。

教育されるまでもなく骨の髄から平和主義者だっつーの。平和ボケした日本人なめんなよ。


「では、記憶を消したのち勇者に預けるとしよう」

「記憶を…?」

「魔王も、最初は善良で大人しい人物だったと聞く。しかし元居た国での知識を隠し、独自に研究を進め魔物を操る術を編み出した。我が国の力になると言いながら、主導権を握り好き勝手に力をふるうようになった…。歴史を繰り返さない為にも、自我は消してしまったほうが良い。使える能力は惜しいから元より殺めることは考えておらん」


凄いな、さすが王様。

この人を人とは思ってない感じ、さては暴君だな?

一方的に召喚しといて、言うこと聞くのが当然みたいな思考回路。

何されるの私!?


私は物じゃない。

アンタのモノじゃない。


殺されないらしいし、このまま大人しくしててもクロードと一緒に帰れるみたい。

だけど、非人道的な事をされるのは、ないわ。

常識的に考えてこの王様は頭がおかしい。

異世界は無法地帯で怖いわ…よかった、最初に悪い人に連れていかれなくて!


「あの、」


殺害予告に等しい事を言われて、黙ってちゃだめでしょ。

クロードだってこの国の人なんだから、最後に自分を守れるのは自分だけだ。


声をあげると、ずっとクロードとだけ向き合って話をしていた王様がやっとこっちを見た。

眉を顰めるようなその表情が何を意味するのか、普通に生きてきた私には分からない。


「私…」


真剣な視線が、怖い。

こ、これが眼力…目力ってやつ…!?

負けるな私、言ってやれ。私の最強の切り札を…!



「私、ちょうど記憶喪失なので!もう大丈夫ですっ!!」



うん、勢いで言えたけど、日本語が不自由!!

 




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